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第二部
90.錯乱
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二十四時間のうちほんの数時間。一日の中で俺が竜崎と一緒にいる時間がそれだ。どちらかの部屋に泊まったとしても、前の晩から次の日の朝まで、トータルでも半日にも満たない。
短い。いや、まさか。長いくらいだ。これ以上こいつと顔を突き合わせていたら、俺は三日で気が狂う。
「ぁ、っ……あッ……」
竜崎の部屋の、馴染んだベッドの上。ギシギシと軋む音が耳に付く。抱きしめるその体は間違いなく男のもので、荒い呼吸を刻みながら激しく俺を攻め立ててくる。
欲情されて込み上げるのは、快感のみ。すでに狂っているかも。この口から漏れ出てくる声は女みたいに甘ったるくて、こんなものはできれば聞きたくないし、ボロアパートの壁だって薄くはない。
なのにこいつは聞きたがる。抑えるな。我慢するな。そうやっていつも、耳元で囁く。
「あぁ……ぁ……は、ぁ……っ」
優しいけど容赦なく突き上げられて、回した腕でぎゅっと抱いた。爪を立てないようにだけ気を付けた。気を付けてはいてもそれ以上に強い波が絶え間なく来るから、短く切りそろえたはずの爪も竜崎の背中に食い込んでいる。
悶えるほどの衝撃を、どこにぶつければいいのか分からない。気持ちいいのが強すぎる。ぎりっと、指先にまで力が入った。
「っ……」
「ンっ、あ……ぁあッ……」
こいつは時折息を詰める。その様子にさえ、煽られる。頭が仰け反り、喉元を晒せば、そこに迷わず噛みつかれた。
軽く歯を立てて撫でながら、首筋へと下りていく。わざと目につく位置で吸われる。こいつのアト。もっと、ほしい。
「あっ……んん……っ」
目尻が濡れてる。熱に浮かされたような。目元には、竜崎の唇が触れた。
「……裕也」
「っあ……ン……」
男の声。視線を上げて、間近に見たその顔。抱きしめた。きつく抱き寄せればそのたびに、奥を突いて応えてくれる。
狂ってる。きっとこいつは知らない。どんなに欲しいか。求めているか。
丁寧に優しく労わられるのが、嬉しいのに、半面でまだまだ足りない。いっそ喉を噛みきられたら、とんでもなく気持ちいかもしれない。
中を快感で満たされながらこの男に全部絶たれたら、それはどれだけ幸せだろう。そんなことがふと、頭をよぎった。
「ああっ、あっ、ぁ……んんっ」
「はっ……ッ……く……裕也……」
「りゅ、ぅ……ぁあっ、あ……だめ……もっとッ……」
限界なのにもっと欲しい。ちょっとでも隙間ができるのは嫌だ。中を擦られ、最奥を突き上げられ、意識を保っているだけでも精一杯。うわ言のように口走りながら、距離を埋めるために抱きしめた。
おかしくなっていくのが分かる。もっとほしい。もっとよくさせたい。全身がこの男を受け入れたがっているのを思い知る。
体だけはいつでも正直。ほとんど触られていなくたって、熱を持って、勃起する。反り立ったそれの先端から溢れるカウパーで腹は汚れて、卑猥で、誘うみたいな音が立つ。支配される。体も、精神も。
どうされたって構わないし、どうにだってしてほしい。優しくされたくて、でも酷くされたい。甚振って欲望を押し付けて。気が済むまで、犯してほしい。
ギリギリのところで抑えている。そんなこいつの苦悶の表情。大事にされてる。よく知っている。だけど今すぐ、壊されたい。
「あぁッ、あっ……りゅうざき……っ」
「ッ……」
ギチギチに締め付けて、短い爪がその背をかきむしる。抉られるような強い快感。今にもトびそう。気づいたら、イッてる。
射精しながら突き上げられることがどれだけ気持ちいいかこいつで知った。打ち付けられる。つらい。気持ちいい。ビクビクする体を抱きしめられて、愛されながら中を犯された。体はとっくに限界なのに、それでも貪欲に求めてしまう。
「あ、はっ……きて……っ」
中に。そう懇願すれば、中の昂ぶりは更に熱を増す。ズチャズチャと擦られ、直後、訪れる。奥で感じる。この男の絶頂。
「んんっ……ッ」
息が荒い。呼吸、できてんのかなこれ。体をこの男で満たされて、最後まで出し切ってもしばらくはそのまま、お互い荒い呼吸が落ち着く事もなく抱き合いながら動かずにいた。
体が重い。こいつも身を伏せて俺に乗っかっている。それを抱きしめ、中はまだ熱い。硬い。形もはっきり分かる。
まだもうちょっと入れていてほしくて、抱き寄せてそれを伝えたいのに、腕には力が入らない。指一本さえ動かすのは億劫。でもまだ入ってる。じっと感じた。
抜かないでいてくれるのがうれしい。キスしたいけど、もう眠い。
ぐったりとした俺の髪を優しさのこもった指先が梳き、頬に触れた。キスだ。その唇は、そっとこの口にも重なる。
「……裕也?」
全部もらえた。目を閉じた。心配そうな声が俺を呼ぶ。今の顔も見たいと思ったが、そんな気力は残っていなかった。
このまま死ねたらどんな感じだろう。たぶんすごく、気持ちいいと思う。体の内も外も俺の全てが、この男のものだったらいいのに。
一つでいることにここまでの意味を感じる。繋がってる。離したくない。
言い逃れのできない地点まで、この男は、俺をオトした。
短い。いや、まさか。長いくらいだ。これ以上こいつと顔を突き合わせていたら、俺は三日で気が狂う。
「ぁ、っ……あッ……」
竜崎の部屋の、馴染んだベッドの上。ギシギシと軋む音が耳に付く。抱きしめるその体は間違いなく男のもので、荒い呼吸を刻みながら激しく俺を攻め立ててくる。
欲情されて込み上げるのは、快感のみ。すでに狂っているかも。この口から漏れ出てくる声は女みたいに甘ったるくて、こんなものはできれば聞きたくないし、ボロアパートの壁だって薄くはない。
なのにこいつは聞きたがる。抑えるな。我慢するな。そうやっていつも、耳元で囁く。
「あぁ……ぁ……は、ぁ……っ」
優しいけど容赦なく突き上げられて、回した腕でぎゅっと抱いた。爪を立てないようにだけ気を付けた。気を付けてはいてもそれ以上に強い波が絶え間なく来るから、短く切りそろえたはずの爪も竜崎の背中に食い込んでいる。
悶えるほどの衝撃を、どこにぶつければいいのか分からない。気持ちいいのが強すぎる。ぎりっと、指先にまで力が入った。
「っ……」
「ンっ、あ……ぁあッ……」
こいつは時折息を詰める。その様子にさえ、煽られる。頭が仰け反り、喉元を晒せば、そこに迷わず噛みつかれた。
軽く歯を立てて撫でながら、首筋へと下りていく。わざと目につく位置で吸われる。こいつのアト。もっと、ほしい。
「あっ……んん……っ」
目尻が濡れてる。熱に浮かされたような。目元には、竜崎の唇が触れた。
「……裕也」
「っあ……ン……」
男の声。視線を上げて、間近に見たその顔。抱きしめた。きつく抱き寄せればそのたびに、奥を突いて応えてくれる。
狂ってる。きっとこいつは知らない。どんなに欲しいか。求めているか。
丁寧に優しく労わられるのが、嬉しいのに、半面でまだまだ足りない。いっそ喉を噛みきられたら、とんでもなく気持ちいかもしれない。
中を快感で満たされながらこの男に全部絶たれたら、それはどれだけ幸せだろう。そんなことがふと、頭をよぎった。
「ああっ、あっ、ぁ……んんっ」
「はっ……ッ……く……裕也……」
「りゅ、ぅ……ぁあっ、あ……だめ……もっとッ……」
限界なのにもっと欲しい。ちょっとでも隙間ができるのは嫌だ。中を擦られ、最奥を突き上げられ、意識を保っているだけでも精一杯。うわ言のように口走りながら、距離を埋めるために抱きしめた。
おかしくなっていくのが分かる。もっとほしい。もっとよくさせたい。全身がこの男を受け入れたがっているのを思い知る。
体だけはいつでも正直。ほとんど触られていなくたって、熱を持って、勃起する。反り立ったそれの先端から溢れるカウパーで腹は汚れて、卑猥で、誘うみたいな音が立つ。支配される。体も、精神も。
どうされたって構わないし、どうにだってしてほしい。優しくされたくて、でも酷くされたい。甚振って欲望を押し付けて。気が済むまで、犯してほしい。
ギリギリのところで抑えている。そんなこいつの苦悶の表情。大事にされてる。よく知っている。だけど今すぐ、壊されたい。
「あぁッ、あっ……りゅうざき……っ」
「ッ……」
ギチギチに締め付けて、短い爪がその背をかきむしる。抉られるような強い快感。今にもトびそう。気づいたら、イッてる。
射精しながら突き上げられることがどれだけ気持ちいいかこいつで知った。打ち付けられる。つらい。気持ちいい。ビクビクする体を抱きしめられて、愛されながら中を犯された。体はとっくに限界なのに、それでも貪欲に求めてしまう。
「あ、はっ……きて……っ」
中に。そう懇願すれば、中の昂ぶりは更に熱を増す。ズチャズチャと擦られ、直後、訪れる。奥で感じる。この男の絶頂。
「んんっ……ッ」
息が荒い。呼吸、できてんのかなこれ。体をこの男で満たされて、最後まで出し切ってもしばらくはそのまま、お互い荒い呼吸が落ち着く事もなく抱き合いながら動かずにいた。
体が重い。こいつも身を伏せて俺に乗っかっている。それを抱きしめ、中はまだ熱い。硬い。形もはっきり分かる。
まだもうちょっと入れていてほしくて、抱き寄せてそれを伝えたいのに、腕には力が入らない。指一本さえ動かすのは億劫。でもまだ入ってる。じっと感じた。
抜かないでいてくれるのがうれしい。キスしたいけど、もう眠い。
ぐったりとした俺の髪を優しさのこもった指先が梳き、頬に触れた。キスだ。その唇は、そっとこの口にも重なる。
「……裕也?」
全部もらえた。目を閉じた。心配そうな声が俺を呼ぶ。今の顔も見たいと思ったが、そんな気力は残っていなかった。
このまま死ねたらどんな感じだろう。たぶんすごく、気持ちいいと思う。体の内も外も俺の全てが、この男のものだったらいいのに。
一つでいることにここまでの意味を感じる。繋がってる。離したくない。
言い逃れのできない地点まで、この男は、俺をオトした。
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