No morals

第二部

４６．男の会話①

昭「つー訳だ。びっくりだろ」

樹「そう……なんですか……」

竜「裕也には俺が喋ったって言うなよ。ぶっ殺される」

昭「お前の心配はそこかよ。おい、平気か樹?　こいつが男走ったなんてショックもいいとこだよなあ?」

樹「あ、いえ。そういう訳では……普通に驚きましたけど。でも裕也さんならなんとなく……」

昭「なんとなく?」

樹「……裕也さんって誰が見ても絶対カッコイイと思うんですけど、なんていうか……綺麗なかっこよさみたいな」

竜「やっぱそう思うか?　だよなあ、美人だろ?　実はすげえ色っぽいトコあるんだぞ」

昭「犯罪くせぇ……」

樹「あれだけ顔整ってる方ですし、最初見た時は正直キツそうな印象持ったんですよ。でも実際話してみたらすげえ優しくて。笑うと雰囲気もやわらかくなりますよね」

竜「……笑うと?」

樹「ええ。はい。……え?」

竜「…………」

昭「樹。お前が見たのはとんでもねえレア映像だぞ」

樹「レア……?」

昭「あいつきっと小さい生き物には優しいよな」

竜「捨て猫素通りできないタイプ?　俺なんかいつも睨まれるか殴られるか蹴られるか……」

昭「お前のは自業自得だろうがな。俺らみてえな汚れた大人にはニコリともしねえ」

竜「俺でも泣かすことはできたんだけどなあ」

昭「やめとけ」

樹「裕也さんでも泣くことあるんですか?」

竜「いろんな意味でな」

昭「聞くな、樹。今のこいつはただのヘンタイだ」

竜「ひでえ」