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10.添い寝Ⅱ
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アパートを引き払ってから数日が過ぎた。比内さんの家の中で俺に与えられた部屋には今のところ家具も何もない。持ち込んだ自分の荷物がぽつぽつとまとめて置いてあるだけ。
必要な家具類はあとで見に行く。比内さんからはそう言われていた。あの人は貴重な休日の時間を俺のために使おうとしている。
何かと怖くて口も悪くて時々乱暴で近寄りがたい。だけど今はもう確信できる。数日一緒に過ごせば分かった。こんなに優しい人はいない。
困ります。アパートを引き払ってきたあの日、ついついそんな口答えをした。あの時は比内さんのお人好しを痛感させられた瞬間でもあった。
ぼろアパートから出てきたその足で俺達が向かったのは警察署だった。母親の行方不明者届を出せ。そう指示したのはもちろん比内さん。
有無を言わせぬ態度と口調で目の前に用紙を叩きつけられてさすがに少々たじろいだ。今までずっと出せなかった届だ。こんな物は出したくなかった。そもそも意味があるのかも分からない。平和をウリにしているこの国にだってうんざりするほど失踪者はいる。
それでも比内さんは書けと言った。さっさとしろと命じられ、やむなくその届け出用紙に必要事項を記入した。
家族がいなくなりました。なのでこの人を捜してください。そういう意味の届を出して、落ち込んでいる暇もないうちに戻ってきたのは法律事務所。
比内さんの執務室に入ったその時、全てを失くしてしまった事をふっと唐突に思い出した。
笑いたくなるほど何も持ってない。元はと言えば金がないからこんな事になってしまった。ならば俺はこの人に、これからかかるはずの金をどうやって払えばいいのか。
「……比内さん」
「お前も座れ。いくつか質問するから分かる範囲で答えろ」
アパートから持ち出してきた請求書の束がソファーの前のテーブルに置かれた。比内さんが腰を下ろした向かいのソファーを見下ろしたものの、言われた通りにするよりも前に震えた声がこぼれていった。
「俺……」
「どうした。座れ」
「返せるか……分かりません」
「だからその話を今からするんだろ」
「あなたにです」
比内さんの目が俺を見上げた。座った姿勢で低い位置から鋭く射抜かれ、思わず口を閉ざしそうになるのを寸前で堪えている。
「こんな、してもらっても……俺には金がないんです。比内さんに払えるものなんてない……」
診療所で朝比奈先生には大丈夫だと言われた。お金のことはひとまず忘れなさいとまで。
それは無理だ。これは現実だ。大丈夫な事なんて何もない。ちょっとした悩み相談とは違う。この人はこの人の職業として、俺を助けようとしている。
知識を提供してくれる。あいつらから俺を守るために。その知識は比内さんにとっての商売道具と言うべきものだ。仕事を全うしてもらったら、支払って返すのが世の中の常識だ。
「……比内さんに……ちゃんと、返せるかどうか……」
大家さんに渡した封筒の中身もそう。これからこの人の家で世話になる事だってそう。
助けて下さいと俺は言った。この人に自分で言ってしまった。赤の他人であるこの大人から、無償の善意なんて受け取れない。
「俺、やっぱり……」
「メシ」
厳しく睨まれるのを覚悟で断ろうとした。やっぱりいいです。自分でなんとかしますって。できないからこうなってるくせに。
でも俺はそれを言えなかった。俺がまた諦める前に、比内さんが言葉を被せた。メシと。
「……え?」
「食事を作れ」
「は……」
「これくらいは一度で理解しろ」
そう言われても理解できずにパチパチと瞬きを繰り返した。立ち尽くしたままその顔を凝視する。ふざけているような様子ではない。
「メシ作れっつってんだ。あとは掃除と洗濯も。自慢じゃねえがウチは広い。お前の仕事は山ほどある」
「ちょっと待……何を……」
「当面の対価だ。とりあえずそれでいい」
「そんな事……」
「そんな事じゃねえ。そうやって軽々しく言うけどな、同じ内容を家事代行に依頼すると料金バカにならねえんだぞ」
男の一人暮らしのはずなのに整えられていたあの室内。それなりに手を掛けなければあそこまで見栄えよくは保てないだろう。業者に依頼していたとするならあの部屋にも納得だ。
「近くでガキをウロチョロさせるなら有効に活用してやった方がいい。今頼んでいるサービス契約は解約する。明日からはお前がハウスキーパー並みに働け」
「でも……それじゃ比内さんの得になる事なんて一つも……」
「損か得かは俺が決める。お前の主観は求めてない」
どうしてと訊ねたところで納得のいく答えはもらえないのだろう。この人はそもそも俺に見返りを求めていない。
「非力なガキでも家事くらいはできんだろ」
「それは、まあ……」
「ならやれ」
再び投げつけられたシンプルな命令。ありがとうと言うべきか、ごめんなさいと言うべきか、どちらを口に出しても優しい目を向けてくれる事はないと思う。
比内さんが決めた事を俺が跳ね返すのは許されない。しかし従っても不安は多い。日常の家事はともかくとして、食事を作れと、俺に命じたこの人は。
「比内さん、料理……自分でしてましたよね……」
見事な腕前を見せつけられたばかりだ。美味くて綺麗な料理を作れる人だ。人並み程度にしかならない料理をこの人に出すのは気が引ける。
「自分の口に入れるものだから料理だけは仕方なく覚えた。別に好きでやってる訳じゃねえ。できる事ならやりたくない」
「でも……」
「でもでもうるせえな。口答えはするなと言ったはずだ」
「……さすがに、ここまでしてもらったら俺……」
「だから当面だっつってんだろ、頑固だなテメエも。今後お前の手元に金が入る事があったら必要経費くらいは請求してやるから安心しろ」
言い捨てながら比内さんは請求書の一枚を手に取った。
「いいから従え。そんな甘ったれたこと言ってられんのも今のうちだ。せいぜいこき使ってやるから覚悟しとけよ」
「比内さん……」
「突っ立ってねえでさっさと座れ。悪びれてる暇があるなら俺の一秒を無駄にさせるな」
「…………」
頷くしかなかった。俺がソファーに腰を下ろすと比内さんは書類の確認を始めた。
そんな事があった日の夜だった。生活費を渡された。食事もその他の家事も全てこれで賄えと言いながら、手渡されたのは万札。一枚や二枚どころじゃない。それで言った。困りますと。
この人は何を考えているのか。本気で比内さんの正気を疑った。
こんな訳の分からない子供に易々と金を差し出してくる。普通じゃない。疑いはないのか。俺が目先の金を奪って行方をくらます事だって、十分に考えられるはずなのに。
「……多すぎます」
「多いかどうかの判断をするのは俺だ。勘違いするなよ、そこには俺の分の食費だって入ってるんだからな。変なもん食わせやがったらベランダから吊るしてやる」
脅迫しながら現金を突きつけてくる。ほとんど無理矢理に近い形で多めの紙幣を握らされた。
この人にとってはハシタ金なのかもしれない。真っ当な職業に就いて、広いマンションの一室で寝起きをする比内さんの金銭感覚がどうなっているのか俺には分からない。分かるのはこの金が俺にとっては莫大な価値に思えるということ。
金を持ったまま立ち尽くした。毎月の返済でわずかに残った金額でしか生活できなかった。今でも俺に余裕はない。これはこの人が俺に渡した。
手の中の金を見下ろす。すると比内さんは何を思ってか、俺の頭に腕を伸ばした。
「わ……っ」
バフッと、ボールでも叩くみたいに頭に手を乗せられた。見上げるとパチリと目が合った。
「お前に任せる」
「……え?」
「この家の中の事は全部任せる。そのために必要な金も渡す。それをお前が管理しろ」
比内さんの手は頭に乗ったまま。俺は比内さんを見上げたまま。
「居候のガキをその辺にただ寝転がせておくつもりはない。これが当面の対価だと言っただろ。しっかり働け。それがお前の義務だ」
「…………」
呆気に取られて何も言えない。ごくごく当たり前の事のように、全て俺に任せると。
やっぱりこの人はどうかしている。こんな大人を俺は知らないからポカンと目を見開いていた。しばらくして痺れを切らせたこの人に、ペシッとデコを叩かれるまで。
「った……」
「アホ面引っ提げてんじゃねえよ。馬鹿みたいに見えるからやめろ」
「……すみません」
とんでもないお人好しだ。
***
居候生活はこれといったトラブルもなくまあまあ順調に進んでいる。ただ一つを除いては。
「…………」
使えと言って与えられた俺の部屋には何もない。そのため寝具も今はまだない。
寝る場所が床の上になっても大した問題にならないのだが、俺が良くても比内さんがそうすることを許さなかった。その時の比内さんの言葉はこう。
お前を床の上なんかで寝かせてみろ。平治と中川がこぞって俺を非難してくるに決まってる。あいつらの小言にはうんざりだ。いちいちゴチャゴチャ言いやがって。
仏頂面で憎々しげにクソうぜぇなんて吐き捨てていた。そんな大人に腕を引かれ、連れられたのが比内さんの寝室。
俺の背をトンと押したのもここで寝ろと言ったのもこの人。寝る時はこのベッドを使えと。ソファーで、と蚊の鳴くような声で言った俺の提案はその場ですぐに却下された。そのため現在の俺の寝床はダブルベットの片半分。
「あの……」
「ああ」
「仕事は……」
「済んだ」
「……そうですか」
夕べまでの比内さんは遅くまで仕事をしていた。先に寝ていろ。俺には素っ気なくそれだけ言ってこの人は深夜まで書斎にこもる。朝になって起きてみれば俺の隣で比内さんが寝ている。
今朝まではそうだった。今夜はすでに俺の隣。真ん中にスペースを空けて、向こうを向いて就寝体勢に入っている比内さんがいる。
真横の存在を目の当たりにして跳ね起きる毎朝も心臓に悪いが、これはこれで居心地が良くない。ガチガチ寸前で仰向けになっていた。
ここはこの人の部屋で、これはこの人のベッドなのだから、比内さんがこの場所で寝るのは当然のことなのだけれど。邪魔しているのは俺の方だから何を言う権利もないのだけれど。
言葉にならないこの緊張感。チラリと比内さんの方に目を向けた。
普段からそうなのか、それとも俺がいるからなのか、間接照明は朝までつけられたままだ。眠りに就くのには程よい薄明り。室内をぼんやりと照らすランプに視界を助けてもらいながら、背を向けている比内さんをこっそりと目に映した。
「……すみません」
「あぁ?」
「その……ベッド……」
使わせてもらって。小さく付け足した。
一日中働いて、疲れた体を休める場所だ。そんな所にこんなガキがいたら嫌にならない訳がない。
ずっと背を向けていた比内さんが布団の下でもぞっと動いた。面倒くさそうにこっちを向いて、俺の頭に腕を伸ばした。
ぽふっと、乗っけられた手のひら。目に映る比内さんの顔は思ったよりも近くにあった。
「寝ろ」
「え?」
「ガキはもう寝る時間だ」
月明かりと同じくらいの光に照らされたその表情。意外にも穏やかだ。ポンと頭に触れてきた手は叩くと言うよりも撫でるに近い。
人を寄せ付けない雰囲気を全身に纏っている割に、比内さんはよく俺を撫でた。不意に、ポンと。時々バフッと。わしゃわしゃ掻き乱される事もあるしそのやり方は様々だけど、何かにつけては犬みたいに撫でられる。
「あの……」
記憶の片隅にあった出来事と、この動作がマッチする。あれはただの夢じゃなかった。撫でられる度に確信に変わった。
最初にこのベッドを貸してもらったあの夜。発熱と眠気によって頭はしっかり回っていなかった。けれどあの時の優しい手つきと、大丈夫だと囁いた声を、俺はちゃんと覚えてる。あれは絶対に夢じゃない。
「……この前、俺が熱出してた時も……こうしてくれましたか」
この部屋で。このベッドで。あとはもしかすると多分、朝比奈先生の診療所でも。
「あれ、比内さんですよね……?」
診療所でのあの手こそ、夢だろうと思っていたけど。
比内さんは黙ったまま俺の頭から手を放し、再びごろんと背を向けた。
「……さあ。知らねえな」
顔も見えなくなってしまったからこの人の表情ももう分からない。
知らないそうだ。素っ気ない言葉だ。そうですかと俺も返して、短いコミュニケーションは終わった。
さっさと寝よう。怒られる前に。もしも明日寝不足だったらどれだけの冷たい視線を浴びせられるか分かったもんじゃない。
ああでも、ひとつ。忘れていた。寝る前にもう一言だけ。
「……比内さん」
「うるせえ、寝ろ」
「……おやすみなさい」
言っていなかった。
思い出したから今言わないと。
「おやすみなさい」
もう一度同じことを呟く。すると少し間を置いてから、背を向けたままの比内さんからは静かな声が返ってきた。
「……おやすみ」
見えていないのをいいことに、ちょっとだけ口角を上げた。
***
「どこで覚えた」
「はい?」
「メシの作り方」
「ああ……」
珍しく比内さんから雑談を持ちかけられた朝食の席。ワンプレートに盛り付けたおかずと、パンとスープとリンゴヨーグルト。比内さんが洋食派なのか和食派なのかは知らない。聞いたらどっちでもいいとしか言われなかったからこの人の好みは謎のまま。
必須なものがあるとすれば起き抜けのブラックコーヒーだ。うんと濃いやつ。嫌でも一発で目が覚めるような。空腹時にいきなりこれは良くないのではと申し出てみたが、本人曰くこれがないとどうにもこうにも駄目らしい。コーヒーメーカーなんてこれまで一度も使った事はなかったものの、ここに来てからはずいぶん世話になっている。毎朝の頼もしい相棒だ。
「昔母が作っていたのを……見よう見真似で適当に……」
「そうか」
「……すみません。口に合いませんか」
「いや。美味い」
さらりと返されて動きが止まる。綺麗に食べ進める比内さんの姿を、向かいの席から失礼なまでにまじまじと見つめる事になった。
「……なんだよ」
「いえ……」
怪訝な眼差しはきつくなっていく。その目から逃れるようにパンを手に取り、頬張ってモグモグしていると比内さんの視線も外れた。
「窒息しない程度にさっさと食え。遅刻するぞ」
「ふぁい」
ひたすらモグモグしてパンを飲み込む。比内さんは呆れたようにコーヒーをすすっていた。
美味いと言ってもらえた。初めてだった。ベランダから吊るされるリスクもこれならば低そうだ。
最初にここのキッチンに立った時は、料理上手なこの人に何を出せばいいのか困惑させられた。不味いなんて冷たく言われたら俺はしばらく立ち直れない。
怖々と調理を開始し、この家で初めて作った料理は無難にシチューだった。煮込むのに十分な時間があったし、シチューで失敗した経験がないから。
その日の夕食で何を言われるかと思ってびくびくと顔色を窺っていたが、この人から返ってくる反応はこれと言って特に何もなかった。ただ淡々と腹に収める。食事という動作でしかないそれは、美味いだとか不味いだとかの感想を一切欠いていた。
そんな事があった翌朝。比内さんは朝食を取るのかどうか、今度はそれで頭を悩ませた。
その前の日は俺の分だけ作って自分はコーヒー一杯だった。そんな事を思い出しつつも、要らなかったら要らなかったで俺が昼食の弁当にでもすればいいかと、そう思って二人分用意した。その時の朝食にも比内さんは手を付け、しかしやっぱり感想はない。朝食はパンで良かったのだろうかと別の疑問が浮上しただけだった。
そういう事が続いていた。居候生活の中で繰り広げられる食卓の風景は、小ざっぱりを通り越して殺風景で笑いもない。気に入ってはもらえないかも。落ち込みかけていた今日この頃、ここに来てまさかの美味い発言。嬉しくないと言ったら大嘘だ。すごく嬉しい。褒められた。褒められたって程でもないけど。
さて、どうしよう。迷いながらその後を過ごした。
キッチンを片付け、身支度を整え、通学用のカバンに荷物を詰めた。その荷物のうち一つは自分の昼食用の弁当。そしてカバンの傍らに、もう一つ弁当の入ったミニバッグ。
「…………」
あの人は顔をしかめるだろうか。いらないと言われるかもしれない。
弁当を作るのは貧乏生活の中で身に付いた節約の一環でしかない。ほんの少し前までは毎日の食事さえも危ういところだったから、腹に入れられればなんでもよかった。そのため弁当箱の中身は主に朝食の残り物。そうしていた。昨日までは。
だけど今日はちょっと違う。弁当箱を入れた小さなランチバッグを見下ろす。
「……食わねえかな」
一人呟き、その直後。ドアが外からノックされた。
「おい陽向。さっさとしろ」
「あっ、はい。すみません」
扉越しに呼ばれて廊下へと慌てて飛び出す。スタスタと玄関の方に向かって歩く比内さんを追いかけた。
皺ひとつないピンと張ったスーツの、広い背中を後ろから見つめる。この部屋から出た後に比内さんが向かうのは事務所ではない。わざわざ俺を学校まで送り届けてくれる。
送迎なんて滅相もないし、電車ですぐですと俺は言ったが比内さんがそれを却下した。あのアパートから突然姿をくらました俺をあいつらが見つけたらどうなるか。それくらい想像もつくだろうと、厳しい顔で怒られた。
そこまでしてくれる人だ。そこまでしてくれる人に何をしても大した恩返しにはならない。分かっていても何かしたい。だから弁当をもう一つ作った。
「……比内さん」
「何度も言うが学校から帰ったら家の中にいろ。迎えには行くからそれまで勝手に動くなよ」
「分かりました。すみません……。それとあの、比内さん……」
比内さんに差し出したミニバッグ。いらないと言って突き返される三秒後の自分が目に浮かぶ。
「あの、昼にでもと思って……。もし良かったら」
弁当の中身はもちろん朝食の残り物なんかじゃない。
「その……中川さんから聞きました。比内さん、あんま昼メシ食ってないって」
「…………」
「すみません。時間がないってのは分かるんですけど、やっぱちょっとは食った方がいいかと……。つまめるような物入れたつもりなので、その……」
余計な事だっただろうか。どんどん言い訳がましくなっていく。
昨日は学校が終わった後に比内さんの事務所へ連れていかれた。そこでこっそり中川さんから耳打ちされた提案だ。どうせなら昼メシの面倒も見てやったらどうだい、と。
「……すみません。必要なければ全然……」
無反応に挫けて自分から引っ込めようとした。しかしそこで比内さんの手が小さなバッグの持ち手を掴んだ。それは俺の手から比内さんの手に移る。
「もらっていく」
「……はい」
無事に受け取ってもらえた弁当。こうもすんなりいくとは予想外。
見上げる比内さんの表情は至っていつも通りだけど、手だけは俺の頭に伸びて、ワシャッと髪を掻き乱された。
「えっ、ちょ……」
「…………」
「比内さん……っ」
時々俺の頭は比内さんのおもちゃにされる。
必要な家具類はあとで見に行く。比内さんからはそう言われていた。あの人は貴重な休日の時間を俺のために使おうとしている。
何かと怖くて口も悪くて時々乱暴で近寄りがたい。だけど今はもう確信できる。数日一緒に過ごせば分かった。こんなに優しい人はいない。
困ります。アパートを引き払ってきたあの日、ついついそんな口答えをした。あの時は比内さんのお人好しを痛感させられた瞬間でもあった。
ぼろアパートから出てきたその足で俺達が向かったのは警察署だった。母親の行方不明者届を出せ。そう指示したのはもちろん比内さん。
有無を言わせぬ態度と口調で目の前に用紙を叩きつけられてさすがに少々たじろいだ。今までずっと出せなかった届だ。こんな物は出したくなかった。そもそも意味があるのかも分からない。平和をウリにしているこの国にだってうんざりするほど失踪者はいる。
それでも比内さんは書けと言った。さっさとしろと命じられ、やむなくその届け出用紙に必要事項を記入した。
家族がいなくなりました。なのでこの人を捜してください。そういう意味の届を出して、落ち込んでいる暇もないうちに戻ってきたのは法律事務所。
比内さんの執務室に入ったその時、全てを失くしてしまった事をふっと唐突に思い出した。
笑いたくなるほど何も持ってない。元はと言えば金がないからこんな事になってしまった。ならば俺はこの人に、これからかかるはずの金をどうやって払えばいいのか。
「……比内さん」
「お前も座れ。いくつか質問するから分かる範囲で答えろ」
アパートから持ち出してきた請求書の束がソファーの前のテーブルに置かれた。比内さんが腰を下ろした向かいのソファーを見下ろしたものの、言われた通りにするよりも前に震えた声がこぼれていった。
「俺……」
「どうした。座れ」
「返せるか……分かりません」
「だからその話を今からするんだろ」
「あなたにです」
比内さんの目が俺を見上げた。座った姿勢で低い位置から鋭く射抜かれ、思わず口を閉ざしそうになるのを寸前で堪えている。
「こんな、してもらっても……俺には金がないんです。比内さんに払えるものなんてない……」
診療所で朝比奈先生には大丈夫だと言われた。お金のことはひとまず忘れなさいとまで。
それは無理だ。これは現実だ。大丈夫な事なんて何もない。ちょっとした悩み相談とは違う。この人はこの人の職業として、俺を助けようとしている。
知識を提供してくれる。あいつらから俺を守るために。その知識は比内さんにとっての商売道具と言うべきものだ。仕事を全うしてもらったら、支払って返すのが世の中の常識だ。
「……比内さんに……ちゃんと、返せるかどうか……」
大家さんに渡した封筒の中身もそう。これからこの人の家で世話になる事だってそう。
助けて下さいと俺は言った。この人に自分で言ってしまった。赤の他人であるこの大人から、無償の善意なんて受け取れない。
「俺、やっぱり……」
「メシ」
厳しく睨まれるのを覚悟で断ろうとした。やっぱりいいです。自分でなんとかしますって。できないからこうなってるくせに。
でも俺はそれを言えなかった。俺がまた諦める前に、比内さんが言葉を被せた。メシと。
「……え?」
「食事を作れ」
「は……」
「これくらいは一度で理解しろ」
そう言われても理解できずにパチパチと瞬きを繰り返した。立ち尽くしたままその顔を凝視する。ふざけているような様子ではない。
「メシ作れっつってんだ。あとは掃除と洗濯も。自慢じゃねえがウチは広い。お前の仕事は山ほどある」
「ちょっと待……何を……」
「当面の対価だ。とりあえずそれでいい」
「そんな事……」
「そんな事じゃねえ。そうやって軽々しく言うけどな、同じ内容を家事代行に依頼すると料金バカにならねえんだぞ」
男の一人暮らしのはずなのに整えられていたあの室内。それなりに手を掛けなければあそこまで見栄えよくは保てないだろう。業者に依頼していたとするならあの部屋にも納得だ。
「近くでガキをウロチョロさせるなら有効に活用してやった方がいい。今頼んでいるサービス契約は解約する。明日からはお前がハウスキーパー並みに働け」
「でも……それじゃ比内さんの得になる事なんて一つも……」
「損か得かは俺が決める。お前の主観は求めてない」
どうしてと訊ねたところで納得のいく答えはもらえないのだろう。この人はそもそも俺に見返りを求めていない。
「非力なガキでも家事くらいはできんだろ」
「それは、まあ……」
「ならやれ」
再び投げつけられたシンプルな命令。ありがとうと言うべきか、ごめんなさいと言うべきか、どちらを口に出しても優しい目を向けてくれる事はないと思う。
比内さんが決めた事を俺が跳ね返すのは許されない。しかし従っても不安は多い。日常の家事はともかくとして、食事を作れと、俺に命じたこの人は。
「比内さん、料理……自分でしてましたよね……」
見事な腕前を見せつけられたばかりだ。美味くて綺麗な料理を作れる人だ。人並み程度にしかならない料理をこの人に出すのは気が引ける。
「自分の口に入れるものだから料理だけは仕方なく覚えた。別に好きでやってる訳じゃねえ。できる事ならやりたくない」
「でも……」
「でもでもうるせえな。口答えはするなと言ったはずだ」
「……さすがに、ここまでしてもらったら俺……」
「だから当面だっつってんだろ、頑固だなテメエも。今後お前の手元に金が入る事があったら必要経費くらいは請求してやるから安心しろ」
言い捨てながら比内さんは請求書の一枚を手に取った。
「いいから従え。そんな甘ったれたこと言ってられんのも今のうちだ。せいぜいこき使ってやるから覚悟しとけよ」
「比内さん……」
「突っ立ってねえでさっさと座れ。悪びれてる暇があるなら俺の一秒を無駄にさせるな」
「…………」
頷くしかなかった。俺がソファーに腰を下ろすと比内さんは書類の確認を始めた。
そんな事があった日の夜だった。生活費を渡された。食事もその他の家事も全てこれで賄えと言いながら、手渡されたのは万札。一枚や二枚どころじゃない。それで言った。困りますと。
この人は何を考えているのか。本気で比内さんの正気を疑った。
こんな訳の分からない子供に易々と金を差し出してくる。普通じゃない。疑いはないのか。俺が目先の金を奪って行方をくらます事だって、十分に考えられるはずなのに。
「……多すぎます」
「多いかどうかの判断をするのは俺だ。勘違いするなよ、そこには俺の分の食費だって入ってるんだからな。変なもん食わせやがったらベランダから吊るしてやる」
脅迫しながら現金を突きつけてくる。ほとんど無理矢理に近い形で多めの紙幣を握らされた。
この人にとってはハシタ金なのかもしれない。真っ当な職業に就いて、広いマンションの一室で寝起きをする比内さんの金銭感覚がどうなっているのか俺には分からない。分かるのはこの金が俺にとっては莫大な価値に思えるということ。
金を持ったまま立ち尽くした。毎月の返済でわずかに残った金額でしか生活できなかった。今でも俺に余裕はない。これはこの人が俺に渡した。
手の中の金を見下ろす。すると比内さんは何を思ってか、俺の頭に腕を伸ばした。
「わ……っ」
バフッと、ボールでも叩くみたいに頭に手を乗せられた。見上げるとパチリと目が合った。
「お前に任せる」
「……え?」
「この家の中の事は全部任せる。そのために必要な金も渡す。それをお前が管理しろ」
比内さんの手は頭に乗ったまま。俺は比内さんを見上げたまま。
「居候のガキをその辺にただ寝転がせておくつもりはない。これが当面の対価だと言っただろ。しっかり働け。それがお前の義務だ」
「…………」
呆気に取られて何も言えない。ごくごく当たり前の事のように、全て俺に任せると。
やっぱりこの人はどうかしている。こんな大人を俺は知らないからポカンと目を見開いていた。しばらくして痺れを切らせたこの人に、ペシッとデコを叩かれるまで。
「った……」
「アホ面引っ提げてんじゃねえよ。馬鹿みたいに見えるからやめろ」
「……すみません」
とんでもないお人好しだ。
***
居候生活はこれといったトラブルもなくまあまあ順調に進んでいる。ただ一つを除いては。
「…………」
使えと言って与えられた俺の部屋には何もない。そのため寝具も今はまだない。
寝る場所が床の上になっても大した問題にならないのだが、俺が良くても比内さんがそうすることを許さなかった。その時の比内さんの言葉はこう。
お前を床の上なんかで寝かせてみろ。平治と中川がこぞって俺を非難してくるに決まってる。あいつらの小言にはうんざりだ。いちいちゴチャゴチャ言いやがって。
仏頂面で憎々しげにクソうぜぇなんて吐き捨てていた。そんな大人に腕を引かれ、連れられたのが比内さんの寝室。
俺の背をトンと押したのもここで寝ろと言ったのもこの人。寝る時はこのベッドを使えと。ソファーで、と蚊の鳴くような声で言った俺の提案はその場ですぐに却下された。そのため現在の俺の寝床はダブルベットの片半分。
「あの……」
「ああ」
「仕事は……」
「済んだ」
「……そうですか」
夕べまでの比内さんは遅くまで仕事をしていた。先に寝ていろ。俺には素っ気なくそれだけ言ってこの人は深夜まで書斎にこもる。朝になって起きてみれば俺の隣で比内さんが寝ている。
今朝まではそうだった。今夜はすでに俺の隣。真ん中にスペースを空けて、向こうを向いて就寝体勢に入っている比内さんがいる。
真横の存在を目の当たりにして跳ね起きる毎朝も心臓に悪いが、これはこれで居心地が良くない。ガチガチ寸前で仰向けになっていた。
ここはこの人の部屋で、これはこの人のベッドなのだから、比内さんがこの場所で寝るのは当然のことなのだけれど。邪魔しているのは俺の方だから何を言う権利もないのだけれど。
言葉にならないこの緊張感。チラリと比内さんの方に目を向けた。
普段からそうなのか、それとも俺がいるからなのか、間接照明は朝までつけられたままだ。眠りに就くのには程よい薄明り。室内をぼんやりと照らすランプに視界を助けてもらいながら、背を向けている比内さんをこっそりと目に映した。
「……すみません」
「あぁ?」
「その……ベッド……」
使わせてもらって。小さく付け足した。
一日中働いて、疲れた体を休める場所だ。そんな所にこんなガキがいたら嫌にならない訳がない。
ずっと背を向けていた比内さんが布団の下でもぞっと動いた。面倒くさそうにこっちを向いて、俺の頭に腕を伸ばした。
ぽふっと、乗っけられた手のひら。目に映る比内さんの顔は思ったよりも近くにあった。
「寝ろ」
「え?」
「ガキはもう寝る時間だ」
月明かりと同じくらいの光に照らされたその表情。意外にも穏やかだ。ポンと頭に触れてきた手は叩くと言うよりも撫でるに近い。
人を寄せ付けない雰囲気を全身に纏っている割に、比内さんはよく俺を撫でた。不意に、ポンと。時々バフッと。わしゃわしゃ掻き乱される事もあるしそのやり方は様々だけど、何かにつけては犬みたいに撫でられる。
「あの……」
記憶の片隅にあった出来事と、この動作がマッチする。あれはただの夢じゃなかった。撫でられる度に確信に変わった。
最初にこのベッドを貸してもらったあの夜。発熱と眠気によって頭はしっかり回っていなかった。けれどあの時の優しい手つきと、大丈夫だと囁いた声を、俺はちゃんと覚えてる。あれは絶対に夢じゃない。
「……この前、俺が熱出してた時も……こうしてくれましたか」
この部屋で。このベッドで。あとはもしかすると多分、朝比奈先生の診療所でも。
「あれ、比内さんですよね……?」
診療所でのあの手こそ、夢だろうと思っていたけど。
比内さんは黙ったまま俺の頭から手を放し、再びごろんと背を向けた。
「……さあ。知らねえな」
顔も見えなくなってしまったからこの人の表情ももう分からない。
知らないそうだ。素っ気ない言葉だ。そうですかと俺も返して、短いコミュニケーションは終わった。
さっさと寝よう。怒られる前に。もしも明日寝不足だったらどれだけの冷たい視線を浴びせられるか分かったもんじゃない。
ああでも、ひとつ。忘れていた。寝る前にもう一言だけ。
「……比内さん」
「うるせえ、寝ろ」
「……おやすみなさい」
言っていなかった。
思い出したから今言わないと。
「おやすみなさい」
もう一度同じことを呟く。すると少し間を置いてから、背を向けたままの比内さんからは静かな声が返ってきた。
「……おやすみ」
見えていないのをいいことに、ちょっとだけ口角を上げた。
***
「どこで覚えた」
「はい?」
「メシの作り方」
「ああ……」
珍しく比内さんから雑談を持ちかけられた朝食の席。ワンプレートに盛り付けたおかずと、パンとスープとリンゴヨーグルト。比内さんが洋食派なのか和食派なのかは知らない。聞いたらどっちでもいいとしか言われなかったからこの人の好みは謎のまま。
必須なものがあるとすれば起き抜けのブラックコーヒーだ。うんと濃いやつ。嫌でも一発で目が覚めるような。空腹時にいきなりこれは良くないのではと申し出てみたが、本人曰くこれがないとどうにもこうにも駄目らしい。コーヒーメーカーなんてこれまで一度も使った事はなかったものの、ここに来てからはずいぶん世話になっている。毎朝の頼もしい相棒だ。
「昔母が作っていたのを……見よう見真似で適当に……」
「そうか」
「……すみません。口に合いませんか」
「いや。美味い」
さらりと返されて動きが止まる。綺麗に食べ進める比内さんの姿を、向かいの席から失礼なまでにまじまじと見つめる事になった。
「……なんだよ」
「いえ……」
怪訝な眼差しはきつくなっていく。その目から逃れるようにパンを手に取り、頬張ってモグモグしていると比内さんの視線も外れた。
「窒息しない程度にさっさと食え。遅刻するぞ」
「ふぁい」
ひたすらモグモグしてパンを飲み込む。比内さんは呆れたようにコーヒーをすすっていた。
美味いと言ってもらえた。初めてだった。ベランダから吊るされるリスクもこれならば低そうだ。
最初にここのキッチンに立った時は、料理上手なこの人に何を出せばいいのか困惑させられた。不味いなんて冷たく言われたら俺はしばらく立ち直れない。
怖々と調理を開始し、この家で初めて作った料理は無難にシチューだった。煮込むのに十分な時間があったし、シチューで失敗した経験がないから。
その日の夕食で何を言われるかと思ってびくびくと顔色を窺っていたが、この人から返ってくる反応はこれと言って特に何もなかった。ただ淡々と腹に収める。食事という動作でしかないそれは、美味いだとか不味いだとかの感想を一切欠いていた。
そんな事があった翌朝。比内さんは朝食を取るのかどうか、今度はそれで頭を悩ませた。
その前の日は俺の分だけ作って自分はコーヒー一杯だった。そんな事を思い出しつつも、要らなかったら要らなかったで俺が昼食の弁当にでもすればいいかと、そう思って二人分用意した。その時の朝食にも比内さんは手を付け、しかしやっぱり感想はない。朝食はパンで良かったのだろうかと別の疑問が浮上しただけだった。
そういう事が続いていた。居候生活の中で繰り広げられる食卓の風景は、小ざっぱりを通り越して殺風景で笑いもない。気に入ってはもらえないかも。落ち込みかけていた今日この頃、ここに来てまさかの美味い発言。嬉しくないと言ったら大嘘だ。すごく嬉しい。褒められた。褒められたって程でもないけど。
さて、どうしよう。迷いながらその後を過ごした。
キッチンを片付け、身支度を整え、通学用のカバンに荷物を詰めた。その荷物のうち一つは自分の昼食用の弁当。そしてカバンの傍らに、もう一つ弁当の入ったミニバッグ。
「…………」
あの人は顔をしかめるだろうか。いらないと言われるかもしれない。
弁当を作るのは貧乏生活の中で身に付いた節約の一環でしかない。ほんの少し前までは毎日の食事さえも危ういところだったから、腹に入れられればなんでもよかった。そのため弁当箱の中身は主に朝食の残り物。そうしていた。昨日までは。
だけど今日はちょっと違う。弁当箱を入れた小さなランチバッグを見下ろす。
「……食わねえかな」
一人呟き、その直後。ドアが外からノックされた。
「おい陽向。さっさとしろ」
「あっ、はい。すみません」
扉越しに呼ばれて廊下へと慌てて飛び出す。スタスタと玄関の方に向かって歩く比内さんを追いかけた。
皺ひとつないピンと張ったスーツの、広い背中を後ろから見つめる。この部屋から出た後に比内さんが向かうのは事務所ではない。わざわざ俺を学校まで送り届けてくれる。
送迎なんて滅相もないし、電車ですぐですと俺は言ったが比内さんがそれを却下した。あのアパートから突然姿をくらました俺をあいつらが見つけたらどうなるか。それくらい想像もつくだろうと、厳しい顔で怒られた。
そこまでしてくれる人だ。そこまでしてくれる人に何をしても大した恩返しにはならない。分かっていても何かしたい。だから弁当をもう一つ作った。
「……比内さん」
「何度も言うが学校から帰ったら家の中にいろ。迎えには行くからそれまで勝手に動くなよ」
「分かりました。すみません……。それとあの、比内さん……」
比内さんに差し出したミニバッグ。いらないと言って突き返される三秒後の自分が目に浮かぶ。
「あの、昼にでもと思って……。もし良かったら」
弁当の中身はもちろん朝食の残り物なんかじゃない。
「その……中川さんから聞きました。比内さん、あんま昼メシ食ってないって」
「…………」
「すみません。時間がないってのは分かるんですけど、やっぱちょっとは食った方がいいかと……。つまめるような物入れたつもりなので、その……」
余計な事だっただろうか。どんどん言い訳がましくなっていく。
昨日は学校が終わった後に比内さんの事務所へ連れていかれた。そこでこっそり中川さんから耳打ちされた提案だ。どうせなら昼メシの面倒も見てやったらどうだい、と。
「……すみません。必要なければ全然……」
無反応に挫けて自分から引っ込めようとした。しかしそこで比内さんの手が小さなバッグの持ち手を掴んだ。それは俺の手から比内さんの手に移る。
「もらっていく」
「……はい」
無事に受け取ってもらえた弁当。こうもすんなりいくとは予想外。
見上げる比内さんの表情は至っていつも通りだけど、手だけは俺の頭に伸びて、ワシャッと髪を掻き乱された。
「えっ、ちょ……」
「…………」
「比内さん……っ」
時々俺の頭は比内さんのおもちゃにされる。
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