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121.見慣れた風景Ⅳ
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本格的な夏が来るほんの少し前。梅雨の合間の、久々にカラリと晴れた日。特に目的がある訳でもなく瀬名さんと二人で街にいた。
ふかふかのパンケーキが美味い店でベリー山盛りのスイーツを平らげ、たらふく食って満足しながらレジに向かうとちょっと混み合っていた。すぐ行くから先に外出て待ってろ。気の利く男にそう言われたのでお言葉に甘えて先に店を出て、出入り口から少々横のところでボサッとバカみたいに突っ立ていたら見知らぬ女二人組に声をかけられた。
ちょっとだけお時間よろしいですか。そこにヘアサロンがあるんですけど私たちそこの者でして。
そんなようなことを言っていたのを話半分に聞いていたところ、会計を済ませた瀬名さんが出てきた。
俺の方を見た瞬間、いささかピクリと寄せられた眉間。若干うざったそうなその顔。それが機嫌を損ねたときの顔なのを俺は良く知っているが、急に現れた男前を前にして二人組はパッと色めいた。それを見事なまでにスルーし、割り込むように押したのは俺の背中。
「申し訳ありませんが急ぎますので」
俺らがツレだと気づいた二人組は瀬名さんにも声をかけようとした。対するこの人は丁寧な口調ながらも素っ気なく冷たい態度でバッサリ。やや強めに俺の腕を引っぱりその場からスタスタ無言で離れた。
大股で歩く瀬名さんに連れられ人の流れに紛れ込む。そのまま少々歩いたところで、いかにもうんざりといったような溜め息を深々と聞かされた。
「全くお前は……ほんの数分目を離しただけでこれか」
「美容室の人たちですよ」
「ああ?」
「無料で髪切ってくれるって」
「……カットモデル?」
「たぶん。腹いっぱいで良く聞いてなかったんですけど、なんか協力すると報酬くれるみたいなことも言ってました」
「そりゃサロンモデルだ。見習い美容師のための練習用モルモットとは違ぇ。写真撮ってSNSなりホームページなりにアップされるぞ」
「え。それはヤだな」
「無料ってとこ以外もちゃんと聞いとけよ危なっかしい」
この世にタダの物はないというのはおおよそこの世の真実だ。
「街中で知らない奴に声かけられたらとりあえずシカトきめとけ。お前は誰にでもすぐホイホイついてく」
「行きませんってば」
「いいや、行く。アメなんか与えられたら一発だからな」
「心外です」
ちょうどそろそろ髪を切りたかったから無料でやってくれるのお得だなとは確かにぼやっと思ったけれども。
少し大きな通りに出ると、いつもよりはやい歩調に瀬名さんも自分で気づいたのだろう。徐々にそっとペースを緩め、そこでようやく二の腕からも大きな手が離れていった。その手とは反対側の手を、こっちに向けて差し出してくる。
持っていたのは小さな紙袋。
「やるよ」
「なんです?」
「さっきのとこのレジ横に置いてあった。フィナンシェだ」
「やった!」
「ほら見ろ」
「…………」
お返しする言葉もねえが一言だけ許されるなら、コレ飴じゃないもん。焼き菓子の王様たるフィナンシェだもん。
屈辱ながらも俺が黙ると瀬名さんは微かな苦笑とともに言った。
「お前には俺の名前でも書いておきたい」
静かな声。落とされたそれと一緒に、甘いのだろうおやつを受け取る。離れていくその手に目が行った。今ここで俺が手を伸ばしたら、瀬名さんは握り返してくれるのだろう。
名前を書いておきたい。そんなの俺だって。この人は何も分かってない。さっきのあの二人組の、あんたを見る目にあんたは気づいたか。
表明したいのは俺の方だ。瀬名さん以上に俺が思っている。いつだって周りに知らしめておきたい。
そういう目でこの人のことを、見てもいいのは俺だけだ。
***
農家カフェは可愛らしい雰囲気の外観だった。年末年始はお休みのようでドアの真ん中に営業日の貼り紙が一枚掲示してあった。
どうやら年明けは五日からだそう。水曜と木曜と日曜は定休日らしい。程よくガツガツしていない店だ。農家の方が本業なのかな。
しばらく周辺を散歩してきて、本格的に冷たい風になる前に小さな神社に戻った。そこの石段の下から三段目にショウくんと隣同士腰を下ろし、無礼に背を向けても許してくれるだろう神様の前でタラタラと話した。
「先生には……?」
ショウくんの問いかけには首を左右に振って答えた。
この辺の人たちはみんな、うちの親父を先生と呼ぶ。親父より年上のじいちゃんばあちゃんも皆がそう呼んでいるから、その子世代と孫世代もそうやって呼ぶのが定着したようだ。
人から先生と呼ばれるような父親になんといって話せばいいのだろう。普段からろくに会話もないのに、同性の恋人のことを告白する勇気は出ない。
俺は男が好きなわけじゃない。けれど恋人は男の人だ。年だってずっと離れていて、接点といえば住んでいるマンションが同じことだけ。他には何もない。
「……瀬名さんは、挨拶したいって言ってくれてる」
はたから見たら眉をひそめられるような関係かもしれない。俺が自分でそう思っている。だが瀬名さんは俺にそう言う。
迷いも躊躇も何もなく、お前がいいって、言ってくれた。
「向こうの親には会ったんだ」
「そんな話進んでんのか?」
「いや、そういうのじゃなくて……夏休みに実家連れてってもらってそこでたまたま。二人とも旅行中で家空けてたからそうなる予定じゃなかったんだけど」
「……どうなった」
「歓迎されたよ。付き合ってるって打ち明けたらハグされた」
少々想像が難しかったのか数秒止まったショウくんは、直後にふっと笑顔に変わった。
「明るいな」
「かなり」
アメリカのホームコメディに出ていても違和感のないご家族だ。
「瀬名さんの実家に猫が二匹いてね、たまに動画とか送ってくれる」
「連絡とり合ってんのか?」
「実の親とよりも喋ってるよ」
前回はマユちゃんさんがスマホのビデオ通話越しにキキココとお喋りさせてくれた。
ココはひたすらニャアニャア言っていてキキも端的にニャーと言ったけどそれが単なる挨拶だったのかなんらかの要求だったのか、はたまた苦情の類だったのかその詳細は分からない。だが瀬名さんは俺の隣から余計なお世話だと二匹に向けて淡々と言い返していたから、たぶん猫語が分かるんだと思う。
瀬名家はとても温かい。人も猫も、みんな優しい。
「俺は受け入れてもらえた。でも親父と母さんは、瀬名さんのこと……」
ウチはどうだろうかなんて考えるまでもない。だって単純に、知っている。俺はここで育った人間だ。
「会わせたって反対されるの分かってるから、俺がずっと先延ばしてる」
地元の人たちは親切でいい人ばかり。うちの家族だって善良な地元民だ。しかし善良な人間であることと考え方の傾向がどうであるかは関係がない。好むか好まないか、大勢と同じかそうじゃないかだ。保守的な田舎ともなれば殊更に。
絶対に反対される。そうなるに決まっている。
何を考えてる。馬鹿を言うな。具体的な返答は分からなくても、反対されるのは分かってる。
「言ってもお前まだ十九だろ。先延ばしも何もねえよ。俺なんか見てみろ、お前よりいくつ年くってると思ってんだ」
「……瀬名さんも同じようなこと言ってた。お前は若いんだから考える時間はあるって」
「余裕だな」
「どうなんだろう……」
「その人はいくつ?」
「三十三」
適齢期と言われる頃だ。あのご両親だから結婚はいつだとか子供はまだかとかそういう催促とは縁がなさそうだが、瀬名さんは十分そういう年だ。
もしも俺と出会っていなければ、どこかの誰か、きっと美人な女と、とても気立てのいい人と、そうなっていてもおかしくはなかった。結婚して、綺麗な家に住んで、子供はたぶん、ふたりくらい。もしかしたら三人かもしれない。上から順に男男女。それがあの人にとっての理想。
瀬名さんと出会ってしまった俺にとっては、想像だけでも結構きつい。
「……これでいいのかな」
俺にはどれもできないことだ。できないくせに執着だけは強い。三人目を身ごもる女を、俺はあの人から奪ったかもしれない。
決して口には出せなかったことが声になって零れ出ていた。やはり気が抜けるのか。兄ちゃんみたいな人が隣にいると、ただでさえガキだというのにさらにもっとガキになる。
これでいいのか。負担じゃないだろうか。一緒にいるのは俺でいいのか。考えなかった日があっただろうか。
俺があの部屋に越してこなければ瀬名さんの今は大きく違った。学生にお菓子を貢ぐこともなければアヒルにハマることもなかった。男のガキを実家に招くことも両親と対面させることもない。キキとココに会わせることも、ルルのお墓参りをさせることも。
ここ二年の瀬名さんの記憶は俺にとっての思い出でもある。全部が全部とても大事だ。それを今さら、なかったことになんて。
「なあ」
「……うん」
「やっぱお前はひとまず俺にその瀬名さんって奴を会わせた方がいい」
横で俺が静かになると、ショウくんが唐突にそう言った。
顔を横に向けてもそこに深刻そうな感情はない。むしろなんだか楽しそうだ。
「予行演習にもなるだろ?」
「……ショウくんが個人的に見たいだけなんじゃないの」
「正直それもある」
「茶化すなよ。こっちは真剣なんだから」
むっとすればイタズラっぽく笑われる。頭にはポンと手が乗った。おそらくは神様よりも、ずっとおおらかな顔を見せられている。
「大人になったな」
「やめてよ……」
「でっかくなりやがって」
「……茶化すなってば」
笑いながらグシャグシャにされた頭は、すぐには直したくない気分だった。
ふかふかのパンケーキが美味い店でベリー山盛りのスイーツを平らげ、たらふく食って満足しながらレジに向かうとちょっと混み合っていた。すぐ行くから先に外出て待ってろ。気の利く男にそう言われたのでお言葉に甘えて先に店を出て、出入り口から少々横のところでボサッとバカみたいに突っ立ていたら見知らぬ女二人組に声をかけられた。
ちょっとだけお時間よろしいですか。そこにヘアサロンがあるんですけど私たちそこの者でして。
そんなようなことを言っていたのを話半分に聞いていたところ、会計を済ませた瀬名さんが出てきた。
俺の方を見た瞬間、いささかピクリと寄せられた眉間。若干うざったそうなその顔。それが機嫌を損ねたときの顔なのを俺は良く知っているが、急に現れた男前を前にして二人組はパッと色めいた。それを見事なまでにスルーし、割り込むように押したのは俺の背中。
「申し訳ありませんが急ぎますので」
俺らがツレだと気づいた二人組は瀬名さんにも声をかけようとした。対するこの人は丁寧な口調ながらも素っ気なく冷たい態度でバッサリ。やや強めに俺の腕を引っぱりその場からスタスタ無言で離れた。
大股で歩く瀬名さんに連れられ人の流れに紛れ込む。そのまま少々歩いたところで、いかにもうんざりといったような溜め息を深々と聞かされた。
「全くお前は……ほんの数分目を離しただけでこれか」
「美容室の人たちですよ」
「ああ?」
「無料で髪切ってくれるって」
「……カットモデル?」
「たぶん。腹いっぱいで良く聞いてなかったんですけど、なんか協力すると報酬くれるみたいなことも言ってました」
「そりゃサロンモデルだ。見習い美容師のための練習用モルモットとは違ぇ。写真撮ってSNSなりホームページなりにアップされるぞ」
「え。それはヤだな」
「無料ってとこ以外もちゃんと聞いとけよ危なっかしい」
この世にタダの物はないというのはおおよそこの世の真実だ。
「街中で知らない奴に声かけられたらとりあえずシカトきめとけ。お前は誰にでもすぐホイホイついてく」
「行きませんってば」
「いいや、行く。アメなんか与えられたら一発だからな」
「心外です」
ちょうどそろそろ髪を切りたかったから無料でやってくれるのお得だなとは確かにぼやっと思ったけれども。
少し大きな通りに出ると、いつもよりはやい歩調に瀬名さんも自分で気づいたのだろう。徐々にそっとペースを緩め、そこでようやく二の腕からも大きな手が離れていった。その手とは反対側の手を、こっちに向けて差し出してくる。
持っていたのは小さな紙袋。
「やるよ」
「なんです?」
「さっきのとこのレジ横に置いてあった。フィナンシェだ」
「やった!」
「ほら見ろ」
「…………」
お返しする言葉もねえが一言だけ許されるなら、コレ飴じゃないもん。焼き菓子の王様たるフィナンシェだもん。
屈辱ながらも俺が黙ると瀬名さんは微かな苦笑とともに言った。
「お前には俺の名前でも書いておきたい」
静かな声。落とされたそれと一緒に、甘いのだろうおやつを受け取る。離れていくその手に目が行った。今ここで俺が手を伸ばしたら、瀬名さんは握り返してくれるのだろう。
名前を書いておきたい。そんなの俺だって。この人は何も分かってない。さっきのあの二人組の、あんたを見る目にあんたは気づいたか。
表明したいのは俺の方だ。瀬名さん以上に俺が思っている。いつだって周りに知らしめておきたい。
そういう目でこの人のことを、見てもいいのは俺だけだ。
***
農家カフェは可愛らしい雰囲気の外観だった。年末年始はお休みのようでドアの真ん中に営業日の貼り紙が一枚掲示してあった。
どうやら年明けは五日からだそう。水曜と木曜と日曜は定休日らしい。程よくガツガツしていない店だ。農家の方が本業なのかな。
しばらく周辺を散歩してきて、本格的に冷たい風になる前に小さな神社に戻った。そこの石段の下から三段目にショウくんと隣同士腰を下ろし、無礼に背を向けても許してくれるだろう神様の前でタラタラと話した。
「先生には……?」
ショウくんの問いかけには首を左右に振って答えた。
この辺の人たちはみんな、うちの親父を先生と呼ぶ。親父より年上のじいちゃんばあちゃんも皆がそう呼んでいるから、その子世代と孫世代もそうやって呼ぶのが定着したようだ。
人から先生と呼ばれるような父親になんといって話せばいいのだろう。普段からろくに会話もないのに、同性の恋人のことを告白する勇気は出ない。
俺は男が好きなわけじゃない。けれど恋人は男の人だ。年だってずっと離れていて、接点といえば住んでいるマンションが同じことだけ。他には何もない。
「……瀬名さんは、挨拶したいって言ってくれてる」
はたから見たら眉をひそめられるような関係かもしれない。俺が自分でそう思っている。だが瀬名さんは俺にそう言う。
迷いも躊躇も何もなく、お前がいいって、言ってくれた。
「向こうの親には会ったんだ」
「そんな話進んでんのか?」
「いや、そういうのじゃなくて……夏休みに実家連れてってもらってそこでたまたま。二人とも旅行中で家空けてたからそうなる予定じゃなかったんだけど」
「……どうなった」
「歓迎されたよ。付き合ってるって打ち明けたらハグされた」
少々想像が難しかったのか数秒止まったショウくんは、直後にふっと笑顔に変わった。
「明るいな」
「かなり」
アメリカのホームコメディに出ていても違和感のないご家族だ。
「瀬名さんの実家に猫が二匹いてね、たまに動画とか送ってくれる」
「連絡とり合ってんのか?」
「実の親とよりも喋ってるよ」
前回はマユちゃんさんがスマホのビデオ通話越しにキキココとお喋りさせてくれた。
ココはひたすらニャアニャア言っていてキキも端的にニャーと言ったけどそれが単なる挨拶だったのかなんらかの要求だったのか、はたまた苦情の類だったのかその詳細は分からない。だが瀬名さんは俺の隣から余計なお世話だと二匹に向けて淡々と言い返していたから、たぶん猫語が分かるんだと思う。
瀬名家はとても温かい。人も猫も、みんな優しい。
「俺は受け入れてもらえた。でも親父と母さんは、瀬名さんのこと……」
ウチはどうだろうかなんて考えるまでもない。だって単純に、知っている。俺はここで育った人間だ。
「会わせたって反対されるの分かってるから、俺がずっと先延ばしてる」
地元の人たちは親切でいい人ばかり。うちの家族だって善良な地元民だ。しかし善良な人間であることと考え方の傾向がどうであるかは関係がない。好むか好まないか、大勢と同じかそうじゃないかだ。保守的な田舎ともなれば殊更に。
絶対に反対される。そうなるに決まっている。
何を考えてる。馬鹿を言うな。具体的な返答は分からなくても、反対されるのは分かってる。
「言ってもお前まだ十九だろ。先延ばしも何もねえよ。俺なんか見てみろ、お前よりいくつ年くってると思ってんだ」
「……瀬名さんも同じようなこと言ってた。お前は若いんだから考える時間はあるって」
「余裕だな」
「どうなんだろう……」
「その人はいくつ?」
「三十三」
適齢期と言われる頃だ。あのご両親だから結婚はいつだとか子供はまだかとかそういう催促とは縁がなさそうだが、瀬名さんは十分そういう年だ。
もしも俺と出会っていなければ、どこかの誰か、きっと美人な女と、とても気立てのいい人と、そうなっていてもおかしくはなかった。結婚して、綺麗な家に住んで、子供はたぶん、ふたりくらい。もしかしたら三人かもしれない。上から順に男男女。それがあの人にとっての理想。
瀬名さんと出会ってしまった俺にとっては、想像だけでも結構きつい。
「……これでいいのかな」
俺にはどれもできないことだ。できないくせに執着だけは強い。三人目を身ごもる女を、俺はあの人から奪ったかもしれない。
決して口には出せなかったことが声になって零れ出ていた。やはり気が抜けるのか。兄ちゃんみたいな人が隣にいると、ただでさえガキだというのにさらにもっとガキになる。
これでいいのか。負担じゃないだろうか。一緒にいるのは俺でいいのか。考えなかった日があっただろうか。
俺があの部屋に越してこなければ瀬名さんの今は大きく違った。学生にお菓子を貢ぐこともなければアヒルにハマることもなかった。男のガキを実家に招くことも両親と対面させることもない。キキとココに会わせることも、ルルのお墓参りをさせることも。
ここ二年の瀬名さんの記憶は俺にとっての思い出でもある。全部が全部とても大事だ。それを今さら、なかったことになんて。
「なあ」
「……うん」
「やっぱお前はひとまず俺にその瀬名さんって奴を会わせた方がいい」
横で俺が静かになると、ショウくんが唐突にそう言った。
顔を横に向けてもそこに深刻そうな感情はない。むしろなんだか楽しそうだ。
「予行演習にもなるだろ?」
「……ショウくんが個人的に見たいだけなんじゃないの」
「正直それもある」
「茶化すなよ。こっちは真剣なんだから」
むっとすればイタズラっぽく笑われる。頭にはポンと手が乗った。おそらくは神様よりも、ずっとおおらかな顔を見せられている。
「大人になったな」
「やめてよ……」
「でっかくなりやがって」
「……茶化すなってば」
笑いながらグシャグシャにされた頭は、すぐには直したくない気分だった。
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