夜中の2時ごろ

わこ

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4.サービスしてやるよ

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とある日のこと。ちょっと思った。パッと頭に浮かんだ。
風呂場から出てきて早々、迷わず煙草に火を点けた三上。嫌味かってほど見事な上半身を晒すその背後で、ベッドに転がってゴロゴロしていた俺はなんとなく思った。

もしかしてアレか。売春料金の減額は、俺のサービス不足が原因だったりするのか。買われている割には、いつでもシーツに埋まっているだけだった。イロイロされた記憶はあるけど、イロイロしてやった記憶は一切ない。
駄目なのかな。俺の考え、甘いかな。今まで三上が何も要求してこなかったから、ベッドの上ではマグロ体勢を決め込んでいたけど。最近になって遂に一晩の単価を百円にまで下げられたから、俺もそろそろ手を打つべきなのかも。

こっちに背を向けてベッド際に座る三上を眺めた。ノロノロと起き上がり、シーツに手をついてちょっと近付いてみる。斜め後ろに身を寄せると三上は俺に顔を向けたけど、すぐにまた前を向いて、吐き出したのは煙草の煙。
どうすっかなあ。これ言うのって結構勇気が要る。恥ずかしいってのもあるし、何が起こるか分からないから怖いというのもかなりある。
でもま、いっか。なるようになるだろ。てな訳で。

「三上さん……俺もなんかした方がいい?」

何が、とは敢えて言わない。ていうか言えない。三上は怪訝そうな目を俺に向けてきた。

「なんかって?」
「…………あんじゃん。イロイロ」

前戯的な。ご奉仕的な。

「……シてほしい?」
「…………」

無反応。

うわ。ハズ。すげえ恥ずかしい。つーか怖いな自分が。今の俺、相当キモかった。
でも言っちゃったものは仕方がないから、料金アップしてくれんならやるよ?みたいな目線を三上に送った。

その時、軽く上目遣い。なんでかって言うと、エロ雑誌をパラパラ捲っている時に、俺のポイントを確実に抑えてくる女といえばだいたい皆こんな表情をしているから。
上目遣いで見つめられたら、間違いなくコロッといっちゃう。立ち読みだけで済ますつもりだったはずが、気づけばレジにいた経験は数知れず。アダルト出版物の罠だ
だけど残念なことに、俺は上目遣い初挑戦の男。これで三上を騙せるはずもなく、小バカにしたような態度で笑われただけだった。

ムカつく。でも全く効果がなかったというワケでもないらしい。三上は煙草を灰皿に押しつけて、機嫌良さげに笑いながら俺の手首を掴んだ。いつも思うんだけど、なんでいちいち掴むかな。

「できんの? させるからな、そういうこと言ってると」

また馬鹿にされた。俺にだってソープ嬢の真似ゴトくらいできるし。たぶん。

改めて聞かれると自信がなくなってくる。急速にオドオドし始める俺の内心を察したようで、三上は逃がさないとでも言いたげな様子でベッドに足を上げた。
向かい合って、手は両方とも取られる。そのままクイっと引っ張られて、三上の腕の中に収まった俺。だけど三上はシャワーを浴びてきたばっかり。だから体はまだ、ちょっとだけホカホカの状態だ。
そんな感じのあったかい腕で、動物園のパンダがタイヤのおもちゃにするような抱っこをされるとどうにも……。
眠くなる。

「……おい。誘っといて寝かけてんじゃねえよ」
「へ?」

呆れた呼び声によって覚醒。ハッとして顔を上げると、眉を寄せて呆れ果てた三上の目とぶつかった。

「……すんません」
「危機感ねえなホントに。食っちまうぞ」
「いくらくれる?」
「お前次第」

物騒な。悪意しか感じ取れない薄ら笑い、ヤメロよ。

なんて思っていたら本当に食われた。口で口をガブッと。ではなくて。チュッと。
性格は極悪なくせに、なんでキスだとこうも甘ったるいんだろう。もしやこいつ、隠れツンデレ?いや、違うな。そんな可愛い部類じゃない。
俺をきつく抱きしめながら、キスを深めていくのがその証拠。しつこく舌を絡めつつ、手際良く俺の服を剥いでいくのが三上の小ワザ。
気づくと真っパにされてるもん、常に。て言うのはさすがにちょっと、話盛ったけど。

「……ん」

唇は離れた。だけど三上の手は動いたまま。肌蹴たシャツを俺の肩から滑らせて、襟に隠れていた首元に食いついてくる。
そのうち血の一滴でも吸われそうで怖いよ。三上のせいで俺の体には、所々噛み跡が付くようになった。痛くはないけど、この状態で女を抱くのは躊躇われる。ちくしょう、三上。

「三上さん……」
「…………」
「なあ」

しつけえよ。

微妙に体重をかけられ始め、このままいくと確実に押し倒される。でも料金アップの望みがかかっている俺としては、今日は大人しくサバかれる訳にはいかない。
マグロの反逆。三上の肩に手を付いて、押し倒されるのを阻止した。顔を上げた三上は不服そうだけど、俺の意図を知っているから文句はつけてこない。

「……何すればいい?」

反逆者のくせして要領が分かっていない。残念。

さすがにまだね。心の準備が。なんといっても相手は男。そりゃどこをどうすれば喜ぶかくらいは分かるよ、俺もこいつと同じ生き物だから。でもいきなり実行しちゃっていいのかどうか。トークも無しに自由意思で始めるのはキツイ。
だからできれば。要求するなり、指示を出すなりしてほしい。

「してほしいコト言えよ。ヤルから」
「自分で考えろ」

嘘でしょ。そんな馬鹿な。まさかの反逆返し。困ったな。俺はこの後どうすりゃいいんだ。定番でフェラっとけばいいか?

結局、指示されたのは自由意思。仕方ないから決意を固め、三上が穿いているズボンに目を落した。
ヤル側は未経験でも、工程はちゃんと知っているし。まあ問題ないだろう。とにかく脱がせばいい。とにかく勃たせりゃいい。とにかく抜いてやればいい。
でもまずは一息ついて、ちょっとしたイメージトレーニングから。

「…………」

想像。そして硬直。どうした、俺。

ヤバいな。できんのかな。できそうにないよ。今ここで初めて思った。三上って凄い。俺なんか妄想で脱落したのに、よくもこいつは男のモノなんか咥えられるな。
よくよく考えてみれば、確かに俺は金をもらえる立場じゃないのかも。むしろ俺が支払うべきだったりして。
いや、でも待て。言ってみれば俺は生贄だ。三上に体を差し出した翌朝の鈍痛は尋常じゃない。よし。大丈夫。ふんぞり返っていこう。

「おい、固まってんじゃねえよ。ヤルのかヤラねえのかハッキリしろ」
「あ、ハイ。すいません」

ああ。ふんぞり返りたいのに。俺がもたもたしていると、せっかち三上は多少イライラしながら押し迫ってきた。怒られてついつい謝罪。

三上のズボンに手をかける事すらままならない俺とは違って、こいつの迷惑な行動力は一流だ。肘に引っ掛かっているシャツをさっさと脱がされた直後、今度こそ本当に押し倒された。
ボフッとシーツに埋まる背中。肩に噛みつかれると同時に、三上の右手は俺の下半身へ。展開早えな。

「……三上さん、俺まだなんもしてないよ?」
「お前のこと待ってたら朝になる」

そいつはお待たせして申し訳ありませんね。俺はあんたみたいな図太い神経してねえんだよ。なんて言える訳がないから。

「さっきのはちょっと精神統一を…」
「黙ってろ」

言い訳は即刻却下された。虚しい。
シャツと同じように下も摺り下げられ、俺は完全にマグロへと逆戻り。反逆は不発に終わった。
平ったい胸は撫で繰り回されて、体のあちこちには舌を這わせられて。なんでこんな事してんだろうと思う反面、三上を覚え込まされたこの体は俺の意思を汲もうともしない。
与えられる刺激は、全て必要以上に感知する。熱っぽい舌とか指先とか、その動きに合わせて心拍数が上がっていった。

初めてじゃないのに。三上とはもう、何度となくして寝てきた。だけどいつもこうなる。なんでなんだか。三上がプロすぎるのか、俺が感度良すぎなのか。なるべく後者は避けたい。
屈辱心なんて煩わしいモノは、とっくの昔に燃えるゴミに出した。そうでもしないと耐えられないだろうな。恥ずかしいのレベルじゃないもん。
今だって、俺は片脚を押し上げられて半開脚。こんなポーズは男がしてても楽しくない。ところが目の前にいるこの男は、俺の滑稽な姿で存分に楽しめるみたいだ。太腿の付け根の超キワどい部分を指先で撫でられて、思わず肩を竦めると小さく笑われた。

「それは何。わざと?」
「ん、ぅ……っ」
「反応、盛ってる?」

盛ってねえよ。俺が盛るのは話だけだよ。

いちいちムカつくな、こいつ。内心は抗議で一杯だけど、スッと脇腹に唇を落とされて押し黙った。くすぐったさとは訳が違う感覚に加え、内太腿をイヤラシク揉まれて死にそう。
片一方の手では骨盤をガッチリ押さえている。脇腹からスルスルと下りてきた唇と併せて、緩く皮膚を撫でてきた。骨盤の前側。縦に浮き出た骨格に触れれば、ラインに沿って歯を立てられる。

「ッ……」

ホント死ぬ。この骨の部分、上前腸骨棘って言うんだってさ。やたら感じるもんだから、人知れず調べてみちゃう俺って何だろう。

「伊織」
「ぁっ……」

言う事が急ならやる事も急だ。いきなり触られたソコ。いつか握り潰されるんじゃないかと、実は密かな不安要素。
だけど三上がしてくるのは、そんな惨たらしい拷問とは真逆だった。男キラーのヤバい手テク。こいつは自分の事をノン気だって言い張っているけど、そんなの絶対に嘘だとしか思えない。
だってなんだよこの、絶妙な手捌き。扱かれ具合は相当ヤバめ。クラクラしそうな快感で身悶えていると、脅迫寸前の物騒な声が俺の耳に届いてきた。

「分かんねえなら今ここで覚えろ。教えてやるから」
「ンッ……え……?」

何が、と問う間もなく、直後に舌先でつつくようにして舐められた。勃ち上がったモノの頂点を。そのささやかな刺激にさえ体はピクッと揺れて、両足を半端に開かされれば俺はもう観念するしかない。

「次はヤレよ」
「っあ……ッ」
「自分から言い出しといて固まるのはナシだろ」
「んッ……ぁ……」
「期待させるだけ期待させやがって」

一回舐めるにつき一つの文句を垂れてくる。それよりこの人、期待してたんだ。
追加サービスの断念は、意外にも根に持たれていた。シテほしいならシテほしいと素直に言えばいいのに。どうでもいいけど、ソコにキスはやめろよ。この上なく変態クサい。

「三上さん……ッそれ、ヤダ……っ」

もー。誰ですかい、このか細い声は。生まれたての小鹿みたいに弱々しい。さすがに泣けてくる。三上のせいで俺までどうかしちゃった。こいつと寝る毎におかしくなっていくような気がする。
だけどそれにしても、舌使いがやたらと卑猥だ。人の下半身に顔を埋めているこの変態をどうにかしたくて、その頭を突っぱねた。ものの、敵を刺激しただけだった。パクリとやられる。

「ぅあッ、ア……っ」

ヤベえな。最後にヌいたのいつだっけ。すげえキモチイイ。
とかなんとか浸っている最中にも、唇と舌を駆使して容赦なくしゃぶり付かれる。頭が仰け反りそうな疼きで、三上を押し返す手には無意識に力が入った。でもこいつがヤメルはずはない。そう言っている俺も、ここで止められるとかなり困る。

だからってモゴモゴすんな、三上。早漏グセでもついたらどうしてくれんだ。ていう。コレがもう。切実な悩み。

「んんッ……」

やっぱイイ。こいつ巧い。

「どしたよ。もう限界か」
「ぁ……だっ、て……」
「……なに?」
「ンっ、ッぁ……」

言いかけた事を聞き返してくる割には、三上は俺に喋らせようとしない。咥えられている時には悶絶だし、口を離されてもその瞬間に指がくびれ付近を詰ってくるから、息をつく暇もなかった。
俺よりこいつの方がよっぽど稼げそう。口と手だけなら。だけど教えてやると言うからには、俺にもコレと同じことをしろって事だよな。次はヤレとまで言ってたし。そもそも最初に迫ったのは俺だった。
どうしよう。コレのリプレイをする勇気が今の所は欠片もない。変な挑発しなければよかった。
後に悔むから後悔か。そうかいそうかい、そうですかい。

「っは、ぁ……」
「ここまでヨくしてくれる女がいたか? 俺の方がお前のこと分かってる」
「ッ……なに、言って……」

三上は三上で何か言ってるし。対抗意識を発揮するポイントがおかしい。なんでここに来て女が出てくんの。いきなりイミ分かんねえよ。
大体、ここ数カ月というもの俺は三上としか寝ていない。三上のせいで。無駄に噛み跡付けるから。
だっつーのに、当の本人はトンチンカン。なんだか知らないけど変にこだわっている。

「なあ、どっちだよ。俺の方がイイ?」
「っなんで、そんな……ッ」

聞かなくたって、そんなの見りゃ分かんだろ!あんたスゲエよ!!
とは言えないから押し黙る俺。三上の指先に翻弄されて、体は素直な反応を示していた。
こいつみたいな男がいちいちそんな事を訊いてくるってのも意外だけど、今の俺はとてもそれどころじゃない。顔の片側をシーツに埋めて、なんとかやり過ごそうと深く息をついた。

「っあ、ぁ……三上さん……ッ」

それでも追い詰めてくる。長くて骨ばった指と、大きな掌で、しつこくしつこく。肩の側でシーツが沈んで、三上がそこに手を付いたのが分かった。肌と肌が触れるくらいに距離が狭くなる。
与えられる快感はそのまま。目を開けて見上げれば、すぐ近くで三上の視線と絡まった。

「ッ……ぁ……」

なんか……。こいつ、こんなカオだっか。三上が男前なのはいつものこと。だけどいつもよりもさらに……カッコよく見える。
これはもしかすると危なかったりして。危険な境地に達する寸前なのかも。

「伊織」
「っ……」

不覚にも、三上相手に。俺としたことが、男相手に。本気でドキッときた。

……待ってよ。


「なんか、今日……変だよ、三上さん」

困ったときは責任転嫁をしましょう。実際三上は変なんだし、俺は悪くない。はず。でもやっぱ、こいつには効かなかった。無駄口叩いてんじゃねえって感じに、下半身を弄る手が先端を詰ってくる。親指の腹でグリッと。

「あぁッ、くっ……」

歯を食いしばって耐える。気持ち良すぎるのも拷問だ。間なんか開けずに唇を重ねられ、当然のように舌が差し込まれる。
頬とか髪とか、三上に触られる場所は馬鹿みたいに気持ち良くて、扱かれているソコも限界だった。
これはもう決定的。サービスをしてやるはずが、完全にサービスをされている。

「ふ……」

舌が出ていく。チュッと小さく音を立てて、そこでキスは終了。名残惜しいと、少しでも思った俺は終わってる。
 
「伊織……」
「ッあ」

裏筋を撫でると同時に先端を緩く引っかかれ、三上の手の中で張り詰めていたものが震えた。上からジッと顔を見られている。馬鹿にすることも、鼻で笑うこともなく。こういう時こそ、嘲笑ってくれた方が楽なのに。
ダメだ。そう思った時には果てていた。

「ぁあ……ッ」

掌に覆われた熱が震えた。妙に心臓がうるさい。三上が目の前にいるというだけで、頭の中の真っ白加減がやけに強かった。
最近になって特に表れるようになったこの症状。三上の目に晒されて、三上の手に翻弄されて、もはやこれ以上の快感なんて他にはなくなっていた。
自分でするよりも断然キモチいい。俺が放ったものを三上は全て自分の手で受け止めた。
その手を後ろへと宛がわれても、必要以上にゆっくりといやらしく擦り付けられても、俺はベッドに沈んでされるがままだ。

ハシタ金のために、こうして男に犯される俺の日々。なのにそこまでヒドい屈辱感とか、殺意が芽生えるほどの憎悪感とかは、不思議なことに一切生まれてこない。投げつけられる言葉の数々は強迫的だけど、それとは裏腹に三上の手はどんな時でもとにかく優しい。犯されているというよりは、なんとなく普通にセックスっていう感じ。

「伊織……」

サクサクやってサクサク終わせばいいのに。なんでいちいち呼ぶんだよ。人に怪しい心理コントロールかけてくんな。
そう思うけど。結構イヤじゃない。

「ん……」

キスされる。合間合間に何度だってされる。お互いの唇がまだほとんど重なる位置で、名前を呼ばれて目を開けた。

「お前は俺とだけ寝てればいい」
「……え?」

なに。なんの話。半分キョトン状態で、離れていく三上の顔を見上げた。だけど言葉の真意を確かめるよりも早く、後ろのその場所には馴染んだ感覚が伝わる。

「っン……ぅ……」

指を押し入れられて無意識に眉根が寄る。進みながら中を徐々に掻き回され始め、息をついて耐えた。その間も三上はずっと俺を見ていて、反応を確かめながら狙ったように言ってくる。

「ん、ぁっ……ぁ……」
「お前は女とやりたいってよく言ってるけど、俺としてる方が得だって多いだろ。女なんか構ってねえで俺といればいい」

だから何の話だよ。女とヤリたいなんて俺がいつ言った。

……言ったか。言ったな。そういや夕べもそんな感じのことを言った。なんてことはない、憂さ晴らしのつもりで。たいした意味も無く、ちょっとした軽い言葉のつもりで。どういうつもりだか三上は俺を手放そうとしないから。
俺にだって私生活を満喫する権利はあるんだぞー、みたいなノリで、冗談めかして言っただけだ。女でも引っかけてくっかなあ、って。それをこの野郎、根に持ちやがったな。

「他のヤツと寝るな」
「待っ……んん……ッ」
「俺だけいればいいだろ」
「ッぁ……」

言わなきゃよかった。三上のこだわりってホントに良く分からない。気にするような事でもないじゃん。
つーか俺いま物凄いコト言われた。よくもこいつは男に向かって、平気でそんな口を叩けるな。

「三上さ……っ」

そもそもあんたのせいで女なんか作れないし。そう反論する前に、またしても口を塞がれた。中毒症状を引き起こす三上のキスで、一発で黙らされる俺。情けねえ。
 
「ん……ッあ」
「お前のカラダ、一番よく分かってんのは俺だ。そうだろ?」
「っ……ぅあッ……」
「そうだよな?」

会ってから、まだ数カ月しか経っていない。そんな奴になんの筋合いがあって……。
反論はできないけど。

「……三上さんッ」

理性が負けるのはあっという間。堪らず三上の腕にすがった。俺が指じゃ足りなくなっていることくらい、こいつは分かっている。三上が小さく笑ったのが見えたけど、嘲笑とはまるでベツモノ。
中でバラバラと動かされていた指が出て行き、足を思いっきり開かされた。体に慣らされたオトコの欲で、中を満たされる瞬間を、待ち望んでいる自分がここにいる。
なんだかもう終わってるけど。これはこれで悪くない。いざとなったら、全部三上のせいにすればいいんだ。



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