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~第2部~第1章、加速する敵意
第13話、英雄の背中。
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ライオウの話が終わり、俺達は町に戻ってきた。
門の周りには、まだ多くの兵士や冒険者が集まっていた。
ハクヨウの伝言を聞いてはいたものの、やっぱり俺達の姿を見るまでは警戒を緩めなれないと言っていた。
直接、悪魔と戦った訳では無い、だけど町の人の避難とか町を守る為に出来るだけの準備や対策をしていたんだろうと考えると大変だったのは俺達と変わらないと思う。
兵士や冒険者を見ると疲れが見える。
門を潜る際に皆から感謝や心配の声を色々と掛けられた。
町に入ると、町の人の姿はまだ多くない。
悪魔がいなくなったからと言ってすぐに元の生活に戻れる訳じゃないしな。
何人か冒険者や兵士とかと会話しつつギルドへと歩を進める。
いつもの様にギルドの中に入ると、避難している町の人の姿が何人か見えた。
子供の姿もちらほら見える、疲れていたのか母親に抱かれて寝ている姿も見える。
ただ、悪魔が倒された事を聞いているのか、子供を見る表情は安心した様な顔をしていた。
それを横目にしながら受付に向かった。
「レフィーさんただいま、ギルドマスターに会いたいんだけど?」
悪魔を倒した事を含め、これから起こる侵攻の事も話さなければならない事が沢山ある。
「ふえ!?」
書類整理をしていたレフィーさんは俺の存在に気が付いてなかったらしく、俺に声を掛けられビックリしたようだ。
「あ!?マサムネ様!?確か悪魔と戦っていたとか!ご無事で本当に安心しました!ギルドマスターですね?少々お待ちください!今、話を通してきますので!」
そう言うと、バタバタ走っていくレフィーさん、別に走らせるくらい焦らせたつもりは無かったけど………あ、転んだ。
それでも、恥ずかしそうに周りをキョロキョロ確認しながら立上がり、また走り出した………だから急がなくても良いのに。
5分後、息を切らして戻ってきたレフィーさん。ゼーゼー言ってるけど、そんなに距離は無かったと思うんだけど?
後で運動した方が良いとアドバイスしておこうかな?
「お、おまたへぇしましゅた!……あぅ、舌噛んじゃった」
相変わらず色々可愛い人だなと苦笑いをしてレフィーさんを見ていると、隣にいたリリムが頬を膨らまして怒った様にしながら俺の太股をつねってくる………何故だ?
それからレフィーさんの案内で、いつもの部屋へと行きギルドマスターへ報告する。
「失礼します、ギルドマスター。いきなりですいませんけど、倒した悪魔が話していたんですけど、魔王が世界を征服する為にいよいよ動き出したと話してました」
「な、何だと!?」
バン!と両手でテーブルを叩き、驚愕の声を上げるギルドマスター。
俺はギルドマスターが落ち着くのを待ってから話を続ける。
「フー………すまない、話を続けてくれ………」
コクンと俺は首肯くと話を続ける。
「追い詰められていたグレートデーモンが話した事だから、恐らく本当の事だと思うんですが。
グレートデーモンの話だと、どうやら魔族や悪魔、そしてそれに率いられたモンスターの軍勢が、世界中の国や町、そして村等を蹂躙する。一部では始まっていると。
そして俺達が倒した今回のを合わせて二体の悪魔は斥候として、そして可能であれば滅ぼす事を目的として、この町に来たようでした」
ギルドマスターは、顎に手を当て考え込んでいた。
それを見て俺はギルドマスターが話すまで待つ。
そして数分後、ようやくギルドマスターが話し出した。
「そうだな………先ずは、悪魔討伐ご苦労だった。それに魔王の情報、そして何より何度もこの町を救ってくれて、この町を代表して心より感謝する。」
「感謝なんて……俺達は自分達が出来ることをしたまでです」
その言葉にコウとリリムも首肯く。
ちなみにレツガは外にいる。ハクヨウは……知らない。
たぶん屋台をハシゴしてるんじゃないか?
「本当は、この町を守るハズの俺達ギルドマスターとして何も出来ず。冒険者に全てを任せて自分が引きこもる。
情けなかったと感じているがな。何より、お前ら以外の上位ランクの冒険者が、この町に殆んど居ない事も原因の1つにもなっておるが………だからと言って、これからもお前らだけに守られる訳にはいかない。お前らのお陰で、強い装備も少しずつだが揃って来ているしな」
ギルドマスターは、俺達の顔を見回すと、おもむろに頭を下げる。
「もう一度言う、本当に感謝する!」
ギルドマスターが一番歯痒い思いをしているだろう。
現役時代なら自分も高ランクの冒険者で、自らも戦闘に立ち町を守ってきたハズだ……だが今はギルドマスターとして、町の人々を守り導かなければならない立場の人間だろうし、何も出来ず俺達に任せるしか出来ない事に憤りを感じていたのだろう………
「ギルドマスター、さっきも言った通り、俺達はやれる事をしただけ、何も気にやむ事では無いです。何故なら俺達もこの町の冒険者ですから……だから、その頭を上げて下さい」
いまだに頭を下げるギルドマスターに、顔を上げるように促した。
そして、ギルドマスターは頭を上げると口を開いた。
「お前らが自分の身を危険にさらしてまで、この町を何度も救ってくれた姿を見て、このギルドの冒険者達も自分の力を高めようと、そして逃げないで戦う為に前を向こうと言う、今まで感じた事の無い程のヤル気で満ちている。
お前らの……イヤ、この町の英雄の背中に少しでも追い付こうと、そして横に並び立とうと必死に努力している。お前らは、間違いなく、この町の英雄だ!」
ギルドマスターに、そんな事を言われ俺は、正直照れ臭い。
どうやら、コウやリリムも同じらしい。
ギルドマスターは、これから周囲の町のギルド、そして国とも連絡を取り、魔族の襲来に備えると言っていた。
「それは、それとして………ちょっとお前達に言いたい事があってな……」
◇
ギルドマスターはあの後、俺達が悪魔を倒した事を知らせるのを忘れていた事、教えたのが遅かった事、ハクヨウが屋台で食い過ぎれ転がっていた所を見つけられ、それから倒した報告を聞いた事。
てか良く屋台閉めてなかったな。命より金とったのか?
それからついでにと今までの事を含めて、1時間みっちり説教された。
何故か正座で……悪魔戦よりダメージが大きかったかもしれない。(主に足)
◇
俺達は再びギルドの受付に戻りレフィーさんにギルドマスターとの話が終わった事を伝え、ギルドを後にする。
もう少しレフィーさんと話したかったがリリムが破裂しそうな位に頬を膨らませてたから止めておいた。
その時、ギルドに居た何人かの冒険者が俺達に声をかけてきた。
「また町を守ってくれてありがとうな!」
「今度は俺達も戦うからな!」
「お前達は、俺らの誇りだ!」
「お前らより強くなって、今度は俺達も俺が英雄になる!」
俺はそれを聞くと思わず嬉しくなり自然に笑みを浮かべた。
「俺達を越えられるもんなら越えてみろ!待ってるぞ!」
俺が挑発的に言うと冒険者達は笑いながら手を振っていた。
何気ない言葉が。
気持ちが。
今、俺の心を満たしている。
それが自分の中に力として漲っている気がした。
今なら魔王をワンパンで倒せそうだ。
「あれを見てみろ、あれが英雄の背中だ。あの人達がいなかったら、この町は全滅してたかもしれないからな」
「うん、わかった!えいゆうかっこいいね!」
後ろの方で、そんな親子の会話が聞こえた。
マジで、恥ずかしいんですけど!
恥ずかしさのあまり、全員が早歩きで宿に向かったのは言うまでもない。
あ、ちなみにアホウドリは軒先に吊るしておきました。
門の周りには、まだ多くの兵士や冒険者が集まっていた。
ハクヨウの伝言を聞いてはいたものの、やっぱり俺達の姿を見るまでは警戒を緩めなれないと言っていた。
直接、悪魔と戦った訳では無い、だけど町の人の避難とか町を守る為に出来るだけの準備や対策をしていたんだろうと考えると大変だったのは俺達と変わらないと思う。
兵士や冒険者を見ると疲れが見える。
門を潜る際に皆から感謝や心配の声を色々と掛けられた。
町に入ると、町の人の姿はまだ多くない。
悪魔がいなくなったからと言ってすぐに元の生活に戻れる訳じゃないしな。
何人か冒険者や兵士とかと会話しつつギルドへと歩を進める。
いつもの様にギルドの中に入ると、避難している町の人の姿が何人か見えた。
子供の姿もちらほら見える、疲れていたのか母親に抱かれて寝ている姿も見える。
ただ、悪魔が倒された事を聞いているのか、子供を見る表情は安心した様な顔をしていた。
それを横目にしながら受付に向かった。
「レフィーさんただいま、ギルドマスターに会いたいんだけど?」
悪魔を倒した事を含め、これから起こる侵攻の事も話さなければならない事が沢山ある。
「ふえ!?」
書類整理をしていたレフィーさんは俺の存在に気が付いてなかったらしく、俺に声を掛けられビックリしたようだ。
「あ!?マサムネ様!?確か悪魔と戦っていたとか!ご無事で本当に安心しました!ギルドマスターですね?少々お待ちください!今、話を通してきますので!」
そう言うと、バタバタ走っていくレフィーさん、別に走らせるくらい焦らせたつもりは無かったけど………あ、転んだ。
それでも、恥ずかしそうに周りをキョロキョロ確認しながら立上がり、また走り出した………だから急がなくても良いのに。
5分後、息を切らして戻ってきたレフィーさん。ゼーゼー言ってるけど、そんなに距離は無かったと思うんだけど?
後で運動した方が良いとアドバイスしておこうかな?
「お、おまたへぇしましゅた!……あぅ、舌噛んじゃった」
相変わらず色々可愛い人だなと苦笑いをしてレフィーさんを見ていると、隣にいたリリムが頬を膨らまして怒った様にしながら俺の太股をつねってくる………何故だ?
それからレフィーさんの案内で、いつもの部屋へと行きギルドマスターへ報告する。
「失礼します、ギルドマスター。いきなりですいませんけど、倒した悪魔が話していたんですけど、魔王が世界を征服する為にいよいよ動き出したと話してました」
「な、何だと!?」
バン!と両手でテーブルを叩き、驚愕の声を上げるギルドマスター。
俺はギルドマスターが落ち着くのを待ってから話を続ける。
「フー………すまない、話を続けてくれ………」
コクンと俺は首肯くと話を続ける。
「追い詰められていたグレートデーモンが話した事だから、恐らく本当の事だと思うんですが。
グレートデーモンの話だと、どうやら魔族や悪魔、そしてそれに率いられたモンスターの軍勢が、世界中の国や町、そして村等を蹂躙する。一部では始まっていると。
そして俺達が倒した今回のを合わせて二体の悪魔は斥候として、そして可能であれば滅ぼす事を目的として、この町に来たようでした」
ギルドマスターは、顎に手を当て考え込んでいた。
それを見て俺はギルドマスターが話すまで待つ。
そして数分後、ようやくギルドマスターが話し出した。
「そうだな………先ずは、悪魔討伐ご苦労だった。それに魔王の情報、そして何より何度もこの町を救ってくれて、この町を代表して心より感謝する。」
「感謝なんて……俺達は自分達が出来ることをしたまでです」
その言葉にコウとリリムも首肯く。
ちなみにレツガは外にいる。ハクヨウは……知らない。
たぶん屋台をハシゴしてるんじゃないか?
「本当は、この町を守るハズの俺達ギルドマスターとして何も出来ず。冒険者に全てを任せて自分が引きこもる。
情けなかったと感じているがな。何より、お前ら以外の上位ランクの冒険者が、この町に殆んど居ない事も原因の1つにもなっておるが………だからと言って、これからもお前らだけに守られる訳にはいかない。お前らのお陰で、強い装備も少しずつだが揃って来ているしな」
ギルドマスターは、俺達の顔を見回すと、おもむろに頭を下げる。
「もう一度言う、本当に感謝する!」
ギルドマスターが一番歯痒い思いをしているだろう。
現役時代なら自分も高ランクの冒険者で、自らも戦闘に立ち町を守ってきたハズだ……だが今はギルドマスターとして、町の人々を守り導かなければならない立場の人間だろうし、何も出来ず俺達に任せるしか出来ない事に憤りを感じていたのだろう………
「ギルドマスター、さっきも言った通り、俺達はやれる事をしただけ、何も気にやむ事では無いです。何故なら俺達もこの町の冒険者ですから……だから、その頭を上げて下さい」
いまだに頭を下げるギルドマスターに、顔を上げるように促した。
そして、ギルドマスターは頭を上げると口を開いた。
「お前らが自分の身を危険にさらしてまで、この町を何度も救ってくれた姿を見て、このギルドの冒険者達も自分の力を高めようと、そして逃げないで戦う為に前を向こうと言う、今まで感じた事の無い程のヤル気で満ちている。
お前らの……イヤ、この町の英雄の背中に少しでも追い付こうと、そして横に並び立とうと必死に努力している。お前らは、間違いなく、この町の英雄だ!」
ギルドマスターに、そんな事を言われ俺は、正直照れ臭い。
どうやら、コウやリリムも同じらしい。
ギルドマスターは、これから周囲の町のギルド、そして国とも連絡を取り、魔族の襲来に備えると言っていた。
「それは、それとして………ちょっとお前達に言いたい事があってな……」
◇
ギルドマスターはあの後、俺達が悪魔を倒した事を知らせるのを忘れていた事、教えたのが遅かった事、ハクヨウが屋台で食い過ぎれ転がっていた所を見つけられ、それから倒した報告を聞いた事。
てか良く屋台閉めてなかったな。命より金とったのか?
それからついでにと今までの事を含めて、1時間みっちり説教された。
何故か正座で……悪魔戦よりダメージが大きかったかもしれない。(主に足)
◇
俺達は再びギルドの受付に戻りレフィーさんにギルドマスターとの話が終わった事を伝え、ギルドを後にする。
もう少しレフィーさんと話したかったがリリムが破裂しそうな位に頬を膨らませてたから止めておいた。
その時、ギルドに居た何人かの冒険者が俺達に声をかけてきた。
「また町を守ってくれてありがとうな!」
「今度は俺達も戦うからな!」
「お前達は、俺らの誇りだ!」
「お前らより強くなって、今度は俺達も俺が英雄になる!」
俺はそれを聞くと思わず嬉しくなり自然に笑みを浮かべた。
「俺達を越えられるもんなら越えてみろ!待ってるぞ!」
俺が挑発的に言うと冒険者達は笑いながら手を振っていた。
何気ない言葉が。
気持ちが。
今、俺の心を満たしている。
それが自分の中に力として漲っている気がした。
今なら魔王をワンパンで倒せそうだ。
「あれを見てみろ、あれが英雄の背中だ。あの人達がいなかったら、この町は全滅してたかもしれないからな」
「うん、わかった!えいゆうかっこいいね!」
後ろの方で、そんな親子の会話が聞こえた。
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