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~第2部~第1章、加速する敵意
第3話、真夜中の激闘!
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一日休みをとり、リフレッシュした。
次の日、レベル上げに励む。
夕方までにレア度Sのモンスターを危なげ無く5体ほど倒し終えた俺達は、休息がてら戦闘のプチ反省会をしていた。
「さっきのは危なかったな!」
「拙者、仲間とのお別れだと思ったでゴザル」
「マサムネさんが、変な所を見るからですよ~!まったくも~!」
顔を真っ赤にして怒るリリムさん。
何故、リリムさんが怒っているかと言うと………それには深い理由が!
少し時間は戻ります。
それはモンスターと戦っている時だった。
どんなモンスター?口が異様にデカイ狼型のモンスターで、【マッドバトルウルフ(レア度S)】だったかな?確か。
鑑定したけど、すぐに違う所(意味深)を見たから良く覚えてない。
え?違う所?
実は戦っているモンスターが攻撃をした拍子に風が起きたんだけど。
その風の、いや!奇跡の神風様のお陰でリリムさんの「キャ!?」の声と共にスカートがフワッと舞い上がった。
俺は当然、ガン見したのです。
男なら仕方ない、そう仕方ないんだよ!
諸君なら分かってくれるはずだ!
でも結局、後少しの所で見えなかったんだけど………ザンネンデス。
と言う訳で、リリムさんがプリプリ怒っているのですよ。
ちなみに戦闘中なので、大きな隙を見せる事になった俺は頭から丸かじりされそうになりました。
でも、後悔はしてません!
だって男の子だもん!(意味不明)
バカ?自業自得?フッ、それがどうした?
もう一度言うが、後悔は無い!(キリッ
無事(?)に戦闘が終わり、何度も謝り倒してやっとリリムさんに許してもらえた。
時間的にも最後の1回と言う事でモンスターが単体でいる反応のある所へと向かって行く。
反応まで残り100メートルまで接近すると目の前には急斜面の上り坂があった。
「あの高台の上に居るハズだ」
俺の合図と共に急な斜面を身を低くして皆で登っていく。
高台の頂上付近に着くと大きな岩が地面から出ていて、恐る恐るその岩の陰から顔を出してモンスターの姿を確認する。
そこには「漆黒」と言う言葉がピッタリな黒い毛をなびかせる大型の狼の姿があった。
ちょうど風下だからなのか気付かれてはいなそうだ。
「鑑定」
俺は直ぐに鑑定を発動する。
◇
《ハイブラック セイバーウルフ》レア度SS
HP55000/55000
MP8000/8000
最大の特長は、その額にある剣の様な「角」で、最大の武器にもなり、また魔法の威力を上げる役割もある。
その他にも、雷の様な圧倒的スピードと岩をも簡単に噛み砕く牙での攻撃も凄まじい。
しかも、その戦闘力は夜に最も発揮され、その体毛の黒とも相まって夜の戦いは格上のモンスターですら圧倒する。
【スキル】
《ライトニングセイバー》角に電撃を纏い、電撃のダメージと角のダメージを相手に与える。
《ブラックライトニング》角から黒い雷を放ち、対象を焼き尽くす。
《ハウリングノヴァ》超振動の咆哮を放ち、対象の内部から破壊する。
《ナイトフォーム》夜になると、体が漆黒になり、攻撃力と俊敏力が3倍になる。
《ソニックブーム》瞬間的に音速で移動し、衝撃波で攻撃する。
◇
「ヤバいな。SSのモンスターだ。気が付かれる前に退くぞ」
俺の言葉を合図に音をたてない様に一斉にそして慎重に斜面を降りていく。
斜面が終わり平坦な場所に来ると全員で身体強化とアクセルウィンドを纏い、その場から離れる。
そのまま10分程走り続けマップを見てモンスターが居ない事を確認すると皆に声を掛けて立ち止まる。
「ふぅ~何とか逃げ切れたようだな」
「あの気配、今はまだ勝つのは難しいでゴザルな」
リリムは胸の前で震える手を合わせている。
『グルル』(悔しいです)
『マスター、早くハウスに戻ろうよ~』
「ハクヨウ、もう少し深淵の闇の外周の方に行ってから亜空間に入るぞ、この辺で入口を作るのは良いが、いざ亜空間から出た途端、そのまま襲われたら防ぎようが無いからな」
『はーーい』
瞬間移動を使えれば良かったが、アレはかなりの集中力が必要だ。
混乱とか動揺している時は使えない。
戦闘中は、戦闘に集中しているから使えているが突然の事に弱い。
俺の内面的な問題になる。
どこかで精神面を鍛えないとダメかな?
俺達は、更に奥地から深淵の闇の外周部の方に歩き進める。
暫く歩きそろそろ深淵の闇の境目に着くと思った瞬間、俺達に向けプレッシャーが放たれた。
「何!?」
俺は常にマップを見ながら移動していた。
それなのに突然マップに反応が表れた事に驚く。
混乱しているとコウが俺に声を掛ける。
「マサムネ殿!!」
ハッと我に還り反応のある方向を見ると、さっきの漆黒の狼が巨木の枝に乗り俺達を見下ろしていた。
「どうやら俺達を逃がす気は無い様だな。仕方ない……皆行くぞ」
「分かったでゴザル!」
「は、はい!」
『ご飯食べたかった!』
『ガウ!』(分かりました!)
若干、違う方向に行ってる気がするが無視だ。
「リリムとハクヨウは、ここから支援魔法と回復をメインにして、隙があれば攻撃してくれ。レツガは、ここでリリム達をガード、俺とコウでアイツに突撃する」
俺とコウは身体強化を発動、それに合わせリリムとハクヨウが身体を強化する支援魔法を俺達に掛ける。
勢いを増しスピードを上げながらジャンプして漆黒の狼に一気に迫った。
「ウラァ!」「セイ!」
俺とコウは最速の剣撃を放つ。
ギィィインと響き渡る金属音と共に額の角によって俺達の剣撃は簡単に止められた。
「まだまだぁ!」「ツエェェェイ!」
だけど手を止める訳にはいかない、何度も2人で斬ろうとするが当たらない。
難なく躱されたり角で止められる。
何とか隙をついてリリム達の魔法が放たれる。
ズズズンと凄まじい腹に響く轟音と振動と共に爆風が吹き荒れる。
「どうだ!?」
俺とコウは、その場から離れて煙が晴れるのを待つ、そして段々と土煙が無くなっていくと徐々に見えてくる。
だけど、そこには雷を全身に纏い魔法を全部どうやって防いだのか分からないが、無傷のままの漆黒の狼が微動だにする事無く立っていた。
「クソ!カスリ傷1つ無いのかよ!」
「あの纏っている雷が魔法を防いだのでゴザルな」
「そんな…………私達の魔法が………」
皆が攻撃が全く通じない事に少なくないショックを受ける。
俺は目の前の狼を睨みながら声を上げる。
「皆しっかりしろ!集中しないと死ぬぞ!」
俺の声に皆が反応する。
それを見て、指示を出す。
「俺が何とか隙を作る。だから皆は、ここから離れろ。皆が逃げ切るまで絶対にアイツを通さない。だから先に行け!コウ、後は頼むぞ!」
コウ達が何か言ってたが、俺は後ろを振り向く事もせず、漆黒の狼に向かう。
「ハァァァァア!!」
剣に魔力を纏わせ狼に斬りつける。
だが、当たる瞬間、陽炎の様に揺らめくと狼の姿が突然、消えた。
「な!?どこだ!?」
マップを見ると目の前の巨木の方に反応が現れる。
俺は反応のある場所へ斬撃を飛ばすとモンスターの姿が見えてきた。
そこに俺が放った斬撃が迫っていく。
だが額の角に雷を纏うと、その角で俺の飛ばした斬撃は跡形もなく散らされた。
「これならどうだ!ファイヤーアローレイン!!」
即座に数百本の炎の矢を放つ!
たが今度は狼の角から黒い雷が放たれ、その雷によって火の矢が蹴散らされていく。
俺はジャンプすると狼の脚を狙い横凪ぎで剣を振るう。
だが狼は最小限の動きでそれを躱すと逆に俺に角を使い斬りつけて来た。
何とか剣で角を受けるものの、そのまま数十メートル離れた場所まで飛ばされて巨木に背中から突っ込み大きな衝撃を受けた。
「グフッ」
かなりのダメージを受け意識が飛びかける。
そのまま地面に落下していく。
来るだろう地面との衝突に思わず目を瞑るが、次に来たのは柔らかい感触だった。
「え?」思っていたのとは違う感触に目を開けると、そこには大きく広い毛皮の絨毯が見える。
「え?……レツガ?何でまだここにいるんだ!?早く逃げろ!」
まだレツガが残っていた事に動揺しながらも、レツガを逃がそうとレツガの背から飛び降りモンスターを見る。
そこにはバリバリと空気を引き裂きながら音を立て黒い雷が飛んで来ていた。
何とか防ごうと剣に魔力を込めて、盾がわりに剣を突き出す。
ゴゴゴゴと地響きと同時に土の壁が俺達の前に現れ雷を受け止めた。
魔力を感じ見てみると、そこにはハクヨウが魔力を体から溢れさせ、狼と対峙していた。
「ハクヨウ!?何で!?」
逃げたハズのレツガとハクヨウを見て混乱してくる。
そこに新たな姿が現れる。
コウとリリムだ、どうやら誰もここから離脱しなかったらしい。
俺は、皆を見ると逃げなかった事への怒りが込み上げて来る。
「逃げろって言っただろ!何で、ここに皆が居るんだ!」
リリムが俺に近付いて来る、そして俺を睨み付ける。
俺は、その気迫に圧されてしまう。
「私は……私達は、絶対にマサムネさんを置いて逃げません!行くなら一緒にです!」
リリムが俺を見つめて来る。
「私は、何があってもマサムネさんから絶対に離れません!覚悟してくださいね!」
「お、おう?」妙な気迫に押され思わず返事をすると、少し涙目になっていたリリムは今度はモンスターの方を見つめる。
「あんな犬なんて、私が懲らしめてあげます!」
フンッ!と息を吐き漆黒の狼に向かって宣言するリリムを見て、俺達は、すっかり恐怖の感情を忘れてしまっていた。
思わず笑顔になる。
「さぁ、恐いリリムさんが怒っているから、さっさと済ませて帰ろうか?」
リリムは恥ずかしさに真っ赤になり、皆は苦笑いを浮かべる。
漆黒の狼より恐い存在が現れてしまった。と溜め息をつきながらも剣を握り直し、全員で向かっていく。
さっきまでの雰囲気とは全然違う。
何か、今なら勝てそうだと思いながら、暗闇に支配され夜になった森の中に戦いの音が響き渡るのだった。
次の日、レベル上げに励む。
夕方までにレア度Sのモンスターを危なげ無く5体ほど倒し終えた俺達は、休息がてら戦闘のプチ反省会をしていた。
「さっきのは危なかったな!」
「拙者、仲間とのお別れだと思ったでゴザル」
「マサムネさんが、変な所を見るからですよ~!まったくも~!」
顔を真っ赤にして怒るリリムさん。
何故、リリムさんが怒っているかと言うと………それには深い理由が!
少し時間は戻ります。
それはモンスターと戦っている時だった。
どんなモンスター?口が異様にデカイ狼型のモンスターで、【マッドバトルウルフ(レア度S)】だったかな?確か。
鑑定したけど、すぐに違う所(意味深)を見たから良く覚えてない。
え?違う所?
実は戦っているモンスターが攻撃をした拍子に風が起きたんだけど。
その風の、いや!奇跡の神風様のお陰でリリムさんの「キャ!?」の声と共にスカートがフワッと舞い上がった。
俺は当然、ガン見したのです。
男なら仕方ない、そう仕方ないんだよ!
諸君なら分かってくれるはずだ!
でも結局、後少しの所で見えなかったんだけど………ザンネンデス。
と言う訳で、リリムさんがプリプリ怒っているのですよ。
ちなみに戦闘中なので、大きな隙を見せる事になった俺は頭から丸かじりされそうになりました。
でも、後悔はしてません!
だって男の子だもん!(意味不明)
バカ?自業自得?フッ、それがどうした?
もう一度言うが、後悔は無い!(キリッ
無事(?)に戦闘が終わり、何度も謝り倒してやっとリリムさんに許してもらえた。
時間的にも最後の1回と言う事でモンスターが単体でいる反応のある所へと向かって行く。
反応まで残り100メートルまで接近すると目の前には急斜面の上り坂があった。
「あの高台の上に居るハズだ」
俺の合図と共に急な斜面を身を低くして皆で登っていく。
高台の頂上付近に着くと大きな岩が地面から出ていて、恐る恐るその岩の陰から顔を出してモンスターの姿を確認する。
そこには「漆黒」と言う言葉がピッタリな黒い毛をなびかせる大型の狼の姿があった。
ちょうど風下だからなのか気付かれてはいなそうだ。
「鑑定」
俺は直ぐに鑑定を発動する。
◇
《ハイブラック セイバーウルフ》レア度SS
HP55000/55000
MP8000/8000
最大の特長は、その額にある剣の様な「角」で、最大の武器にもなり、また魔法の威力を上げる役割もある。
その他にも、雷の様な圧倒的スピードと岩をも簡単に噛み砕く牙での攻撃も凄まじい。
しかも、その戦闘力は夜に最も発揮され、その体毛の黒とも相まって夜の戦いは格上のモンスターですら圧倒する。
【スキル】
《ライトニングセイバー》角に電撃を纏い、電撃のダメージと角のダメージを相手に与える。
《ブラックライトニング》角から黒い雷を放ち、対象を焼き尽くす。
《ハウリングノヴァ》超振動の咆哮を放ち、対象の内部から破壊する。
《ナイトフォーム》夜になると、体が漆黒になり、攻撃力と俊敏力が3倍になる。
《ソニックブーム》瞬間的に音速で移動し、衝撃波で攻撃する。
◇
「ヤバいな。SSのモンスターだ。気が付かれる前に退くぞ」
俺の言葉を合図に音をたてない様に一斉にそして慎重に斜面を降りていく。
斜面が終わり平坦な場所に来ると全員で身体強化とアクセルウィンドを纏い、その場から離れる。
そのまま10分程走り続けマップを見てモンスターが居ない事を確認すると皆に声を掛けて立ち止まる。
「ふぅ~何とか逃げ切れたようだな」
「あの気配、今はまだ勝つのは難しいでゴザルな」
リリムは胸の前で震える手を合わせている。
『グルル』(悔しいです)
『マスター、早くハウスに戻ろうよ~』
「ハクヨウ、もう少し深淵の闇の外周の方に行ってから亜空間に入るぞ、この辺で入口を作るのは良いが、いざ亜空間から出た途端、そのまま襲われたら防ぎようが無いからな」
『はーーい』
瞬間移動を使えれば良かったが、アレはかなりの集中力が必要だ。
混乱とか動揺している時は使えない。
戦闘中は、戦闘に集中しているから使えているが突然の事に弱い。
俺の内面的な問題になる。
どこかで精神面を鍛えないとダメかな?
俺達は、更に奥地から深淵の闇の外周部の方に歩き進める。
暫く歩きそろそろ深淵の闇の境目に着くと思った瞬間、俺達に向けプレッシャーが放たれた。
「何!?」
俺は常にマップを見ながら移動していた。
それなのに突然マップに反応が表れた事に驚く。
混乱しているとコウが俺に声を掛ける。
「マサムネ殿!!」
ハッと我に還り反応のある方向を見ると、さっきの漆黒の狼が巨木の枝に乗り俺達を見下ろしていた。
「どうやら俺達を逃がす気は無い様だな。仕方ない……皆行くぞ」
「分かったでゴザル!」
「は、はい!」
『ご飯食べたかった!』
『ガウ!』(分かりました!)
若干、違う方向に行ってる気がするが無視だ。
「リリムとハクヨウは、ここから支援魔法と回復をメインにして、隙があれば攻撃してくれ。レツガは、ここでリリム達をガード、俺とコウでアイツに突撃する」
俺とコウは身体強化を発動、それに合わせリリムとハクヨウが身体を強化する支援魔法を俺達に掛ける。
勢いを増しスピードを上げながらジャンプして漆黒の狼に一気に迫った。
「ウラァ!」「セイ!」
俺とコウは最速の剣撃を放つ。
ギィィインと響き渡る金属音と共に額の角によって俺達の剣撃は簡単に止められた。
「まだまだぁ!」「ツエェェェイ!」
だけど手を止める訳にはいかない、何度も2人で斬ろうとするが当たらない。
難なく躱されたり角で止められる。
何とか隙をついてリリム達の魔法が放たれる。
ズズズンと凄まじい腹に響く轟音と振動と共に爆風が吹き荒れる。
「どうだ!?」
俺とコウは、その場から離れて煙が晴れるのを待つ、そして段々と土煙が無くなっていくと徐々に見えてくる。
だけど、そこには雷を全身に纏い魔法を全部どうやって防いだのか分からないが、無傷のままの漆黒の狼が微動だにする事無く立っていた。
「クソ!カスリ傷1つ無いのかよ!」
「あの纏っている雷が魔法を防いだのでゴザルな」
「そんな…………私達の魔法が………」
皆が攻撃が全く通じない事に少なくないショックを受ける。
俺は目の前の狼を睨みながら声を上げる。
「皆しっかりしろ!集中しないと死ぬぞ!」
俺の声に皆が反応する。
それを見て、指示を出す。
「俺が何とか隙を作る。だから皆は、ここから離れろ。皆が逃げ切るまで絶対にアイツを通さない。だから先に行け!コウ、後は頼むぞ!」
コウ達が何か言ってたが、俺は後ろを振り向く事もせず、漆黒の狼に向かう。
「ハァァァァア!!」
剣に魔力を纏わせ狼に斬りつける。
だが、当たる瞬間、陽炎の様に揺らめくと狼の姿が突然、消えた。
「な!?どこだ!?」
マップを見ると目の前の巨木の方に反応が現れる。
俺は反応のある場所へ斬撃を飛ばすとモンスターの姿が見えてきた。
そこに俺が放った斬撃が迫っていく。
だが額の角に雷を纏うと、その角で俺の飛ばした斬撃は跡形もなく散らされた。
「これならどうだ!ファイヤーアローレイン!!」
即座に数百本の炎の矢を放つ!
たが今度は狼の角から黒い雷が放たれ、その雷によって火の矢が蹴散らされていく。
俺はジャンプすると狼の脚を狙い横凪ぎで剣を振るう。
だが狼は最小限の動きでそれを躱すと逆に俺に角を使い斬りつけて来た。
何とか剣で角を受けるものの、そのまま数十メートル離れた場所まで飛ばされて巨木に背中から突っ込み大きな衝撃を受けた。
「グフッ」
かなりのダメージを受け意識が飛びかける。
そのまま地面に落下していく。
来るだろう地面との衝突に思わず目を瞑るが、次に来たのは柔らかい感触だった。
「え?」思っていたのとは違う感触に目を開けると、そこには大きく広い毛皮の絨毯が見える。
「え?……レツガ?何でまだここにいるんだ!?早く逃げろ!」
まだレツガが残っていた事に動揺しながらも、レツガを逃がそうとレツガの背から飛び降りモンスターを見る。
そこにはバリバリと空気を引き裂きながら音を立て黒い雷が飛んで来ていた。
何とか防ごうと剣に魔力を込めて、盾がわりに剣を突き出す。
ゴゴゴゴと地響きと同時に土の壁が俺達の前に現れ雷を受け止めた。
魔力を感じ見てみると、そこにはハクヨウが魔力を体から溢れさせ、狼と対峙していた。
「ハクヨウ!?何で!?」
逃げたハズのレツガとハクヨウを見て混乱してくる。
そこに新たな姿が現れる。
コウとリリムだ、どうやら誰もここから離脱しなかったらしい。
俺は、皆を見ると逃げなかった事への怒りが込み上げて来る。
「逃げろって言っただろ!何で、ここに皆が居るんだ!」
リリムが俺に近付いて来る、そして俺を睨み付ける。
俺は、その気迫に圧されてしまう。
「私は……私達は、絶対にマサムネさんを置いて逃げません!行くなら一緒にです!」
リリムが俺を見つめて来る。
「私は、何があってもマサムネさんから絶対に離れません!覚悟してくださいね!」
「お、おう?」妙な気迫に押され思わず返事をすると、少し涙目になっていたリリムは今度はモンスターの方を見つめる。
「あんな犬なんて、私が懲らしめてあげます!」
フンッ!と息を吐き漆黒の狼に向かって宣言するリリムを見て、俺達は、すっかり恐怖の感情を忘れてしまっていた。
思わず笑顔になる。
「さぁ、恐いリリムさんが怒っているから、さっさと済ませて帰ろうか?」
リリムは恥ずかしさに真っ赤になり、皆は苦笑いを浮かべる。
漆黒の狼より恐い存在が現れてしまった。と溜め息をつきながらも剣を握り直し、全員で向かっていく。
さっきまでの雰囲気とは全然違う。
何か、今なら勝てそうだと思いながら、暗闇に支配され夜になった森の中に戦いの音が響き渡るのだった。
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