異世界に転生したら?(改)

まさ

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第4章、襲い来る強者達。

第9話、伝説の鉱石。

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ミスリルゴーレムを倒した後に出た大量の鉱石、それは全てミスリル鉱石で純度が高く武器や防具を造るには最適な物なんだとか。

ただ俺が思ったのは温度差により脆くなった鉱石で、はたして強度が保てるのかと言う疑問を感じたけど、この世界では武器や防具を造る鍛冶は、炎で材料を溶かして作るだけでは無く、溶かした材料に【魔力】を流しながら形や強度を調整する工程があるんだとか。

ファンタジー万歳。


要するに、多少強度が下がっても材質の性質が変わるわけでもないから、魔力を通しやすいミスリルだと魔力で補えば普通の強度以上の物が出来ると言うわけだ。

地球の職人にしてみれば、何ソレ?案件だな。


そしてそのミスリルの鉱石は、俺の無限収納に入れてあって、後で俺達の装備を作ってもらう予定だ。


後で分かった事だが、俺達が魔法で攻撃した影響なのか、ミスリルの鉱石1つ1つに炎か水の魔力が込められて、魔石の様に魔力を溜めたり放出したりする性質に変わったみたいだ。

その為、武器や防具を造った時に、火と水の属性を持つ装備になる可能性が高い。


俺達全員で高出力の魔法を大量に浴びたわけだし、奇跡的に魔力が込められたんだろう。

ドワーフ達はこんな状態のミスリル鉱石なんて見たこと無い、前代未聞だ!と大騒ぎしていたしな。


話は戻るが、俺達は取り残されたドワーフをひとまず横穴から退避させた後に再び中に戻り、ゴーレムが出てきた穴に入り調査をしている。


安全確認の為でもあるし、それに内部がどうなっているのかを調べるためだ。


「ゴツゴツして歩きにくいでゴザルな」


「まぁ、あのミスリルゴーレムが力ずくで掘った穴だからな、仕方ないだろ」


「またゴーレムとかが出てくるのでしょうか?」

不安げな顔をするリリム、あれだけの強敵めんどくさい相手だったからな、気持ちは分かる。


「調べてみないと分からないけど、また何かが起こる前に調べないとな。その為に冒険者である俺達が調べてるんだ、他の人に任せておく訳にもいかないだろ?」


「そう……ですよね、私達は冒険者なんですよね!少し怖いけど、私頑張ります!」

フンスと気合いを入れ両手を胸の前に握りるリリムの姿を見て、場の雰囲気も和む。


実際、俺達がモンスターに全然、会わなかったのは、採掘場の近辺は定期的にモンスターを倒してるから、ほとんどいないって言ってたしな。


そんな感じでゴーレムが出てきた所から100メートル程進んだだろうか、少し前の方がうっすらと光っている。

「何だろ?光ってるな……」

「そうでゴサルな」

「強い魔力を感じますね」

『グル、グル~』(マスター、凄く濃い【土】の魔力を感じます)

『僕が見てくるね~♪』

「あ、オイ!」止める間も無く飛んでいくハクヨウを追い掛け、俺達も走り出す。


「ハクヨウ!何、先に行って…………」

そこには言葉を失うほどの光景が広がっていた。

空間の広さは採掘場より何倍も広大で中は闇に支配されている様に暗かった。

ただ、そこは幾千幾万もの夜空に輝く星空の様に光輝く鉱石が光を放ち思わず息を飲む世界が広がっていた。

「綺麗……」

リリムは胸の前でキュット手を握り感動している。

コウやレツガは、瞬きする事すら忘れてるようだ。

ん?もしかして息もしてないんじゃないか?

顔色が凄い事に……あ、慌てて呼吸してる。



ハクヨウは凄い凄いと声を出しながら空間を飛び回っているし。


実際、俺も地球に居た時ですらここまで感動する景色を見た事がない。

それだけ素晴らしい光景を見て思わず涙が出そうになる。

おじさん、涙腺弱くなるのよ……あ、今は若かったな、そういえば。


『マスター!1つ取ってきた~♪』


その感動に水を差すアホウドリが空気をまったく読まずにご機嫌な様子で俺の元に飛んできた。


「ハクヨウ……お前って本当にさ……んで、何を採ってきたって?」


ハクヨウが俺の前でホバリングしながら、足で持っていたモノを俺の手のひらに落とす。

「これは?」

『上で光ってるのを採ったの~♪』

「え?お前とっちゃったの!?……まぁとってしまったのは仕方ないか。んでこれが、あの星の正体か」


手の中にあるものは、大きさは拳大ほど、見た目はクリスタルの様に透き通り、それ自体が蒼く発光していた。

良く見ると光が強くなったり弱くなったりしている。


「目の前で見ても綺麗だなコレ」

「本当に綺麗ですね」

リリムがウットリしている。
何か色気が凄い。

珍しくコウとレツガも興味深そうに見ている。


「とりあえず鑑定してみるか………『鑑定』」





星の涙スターティアラ】(レア度SS)

星の輝きの様に蒼く光る性質を持つ鉱石で、魔力を吸収や貯蔵ができ、内包した魔力を数倍にまで高める能力を持っている。

過去には、勇者達のパーティーが装備を星の涙を使用し作成した事もある。

星の涙を使用した装備は、いずれも伝説級の剣や防具となる。

また魔力だけではなく、精神などの心の強さも力に変え、限界以上の力を発揮した。

実際、過去の勇者は、その剣の力で魔王を打ち倒した。

星の涙は、世に出る事が非常に少なく、たとえ見つかったとしても星の涙が使い手を選ぶとされいて、剣を作ったとしても力が十分に発揮されずに、鉄の剣以下の切れ味にしかならない事もある。





俺は鑑定の結果をそのまま皆にも伝えた。


伝説だとか勇者だとか思った以上に話が大きくなって皆も何も云えずにいる。


「勇者の剣の材料とか、さすがに驚いたな」

俺が軽い口調で話すとキョトンとした顔で皆が俺を見た。


「この鉱石を使えば魔族とも互角以上に戦えるかもな!次は負けねぇ!」

何か滾ってくるぜ!なんて一人でテンションを上げてたら、ようやく皆の顔にも笑みが見えた。


「もしかしたら、この鉱石に呼ばれたのかもな。そんな気がする」

「拙者もそう感じたでゴサル」

「私も……それにこの優しい光、守られてる様に凄く安心します」

『グア!グルル……』(マスター!それを見ていると力が湧いてきます)

レツガは土属性に親和性が高い種族だからなのか、ダンジョンに来てからずっと力を感じてたみたいだしな。


『マスター、早くもって帰ろう?(お腹空いたし)』

「そうだな、何か聞こえた様な気がするけど……とにかく今は、星の涙をもう少しだけ採ってから戻ろう」

「分かったでゴサル」「ハイ」『グア!』『了解~♪』


装備に使える量まで、もう少し星の涙を採掘する事にした。

だが採ろうとツルハシを使うが、上手く行かない。

ツルハシが岩盤に刺さらないのだ。


ハクヨウ、良く採れたな。


暫くどうしようかと悩んでいると、空間のの星空が急に煌めき出したかと思ったら、まるで本当の流れ星の様に幾つかの星の涙が蒼く強い光を放ちながら落ちてくる。


そして、俺達の近くまで来ると、俺達の周囲をゆっくり回り俺を含めた全員の目の前に大中小と大きさは疎らだけど、それなりの数の星の涙が集まっていた。


「認められないとマトモな武器にならないみたいだし、俺達を認めてくれたのかな?」


手にとった星の涙を見ると優しい蒼色の光を放ち、まるで語りかけて来てる様に思えた。


「これだけあれば足りるかな?大きさに多少バラつきがあるけど…レツガは大きめ、逆にハクヨウは小さめ、まるで俺達に合わせた様に揃っているな」

それから皆の星の涙も一緒に無限収納に入れると、天を見上げ満天の星空を脳裏に焼き付けた。

もうそろそろ出ようとした時、まるで俺達に別れを告げるかの様に満天の星の涙が、更に強く、そして綺麗に光輝いていた。





横穴の調査のだけのつもりが思わぬ幸運に恵まれて、素晴らしい素材が手に入った。


あまりにも都合が良すぎて何かしらの力が働いていそうだけど、結果としては最高だったから結果オーライて事で、ありがたく使わせて貰おう。


まだ見ぬ自分の装備に期待を膨らませ、ドワーフの待つダンジョンの外へと戻るのだった。

    
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