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形見
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魔物から玉を取り戻したハルは村からかなり離れた草原で風に吹かれていた。
足元には頭に矢の刺さったトカゲの顔の死体と傷だらけで羽がボロボロになった鷲の顔の死体があった。
「的には当たらないくせに…」
ハルは弓を握りしめ、足元の死体を見つめていた。
段々、シンディが泣いている男の子を慰めているのが見えてきた。
「あ、ハルー!取り戻せましたかー!?」
ラズリに跨ったハルが近づいてくるのに気付いたシンディは両手を振りながら叫んだ。
ハルは玉を握った手を空へと突き上げて答える。
「取り戻せたみたいだよ!よかったねハーク君!!」
シンディは男の子の手を取り、上下に振りながら喜んだ。
シンディの笑顔に釣られて男の子の顔も晴れやかになった。
喜ぶシンディと男の子の上でラズリが翼を広げて止まった。
そして、ゆっくりと翼を羽ばたかせながら降りてきた。
地面に降り立つと姿勢を低くしてハルが降りやすくしてくれた。
ハルが地面に足を付けるとラズリは立ち上がり、横たわるフィーの元まで歩み寄った。
そしてフィーの横でうずくまり、息を確かめるように顔を寄せ、犬のようにクゥーンクゥーンという声出しながら心配そうな顔をしている。
「フィーなら大丈夫ですよラズリ。私の魔法で血は止まりました。傷は塞ぎきれなかったので少し休養が必要ですけど…」
シンディは少し申し訳なさそうに顔を伏せた。
(魔法で応急処置ができるだけでもすごいと思うけどな…俺の傷もほとんど治ってるし…)
「それでハル!この子の「竜の瞳」は!?」
「ああ!もちろんあるぜ!ほら。」
ハルは男の子に取り戻した玉を手の平に乗せ、差し出した。
男の子は玉を見るなりまた悲しそうな顔になり、
「ありがとう…ありが、とう……」
こみ上げてくる涙で言葉が詰まり、声が震えた。
男の子を見ながら微笑むハル、ふとさっきのシンディの言葉で気になることがあった。
「ん?、今「竜の瞳」って言ったよな?この子も「三つ目」なの?」
「いえ、確かにそれは「竜の瞳」ですがこの子は「三つ目」ではありません。」
ん?でも確かさっき竜に認められた「三つ目」と呼ばれる人たちが「竜の瞳」を授かるとシンディが言っていたはず…
「どういうこと?」
「その子の「竜の瞳」は授けられた物ではなく……その子のドラゴンの…形見だそうです…」
「形見…」
形見ってことはまさか…
「さっきの魔物に…殺されたそうです…」
ハルは男の子の方を振り向いた。
俵型の両端が尖ったような形のとても綺麗で透き通った透明の「竜の瞳」を握って、男の子は泣いていた。
空での「二十一目隊」の戦闘はまだ続いている。
ハルとシンディとラズリは、まだ気を失っているフィーと男の子を連れてひとまずシンディの家へと戻った。
シンディはフィーをさっきまでハルが寝ていたベッドに寝かせて傷口をしっかりと手当すると、「竜の瞳」についてもう少し詳しく教えてくれた。
「さっきも言った通り基本的には「竜の瞳」を持っているのは「三つ目」の人たちです。「竜の瞳」はドラゴンにとっては魔力の根源みたいな物なのでそう簡単には渡してくれません。それこそ命を預けてもいいと思ってもらえるくらいでなければ。」
命を…それほどドラゴンに信頼されている人たちなのか…
ハルは窓から空を見上げた。だいぶ敵の数が減ってきたように見える。
「しかし、「三つ目」ではなくても「竜の瞳」を持っている人たちはいます。」
「それがハーク君のように相棒のドラゴンが死んでしまった人たちです。」
「まずこの村のドラゴンについて説明しますね。
この村では全員に相棒のドラゴンがいます。人が生まれると同時にサフィア様を祀った祭壇にドラゴンの卵が置かれています。一人なら一つ、双子ならきちんと二つ、サフィア様の祭壇に現れるのです。どこの家にも竜舎があるのはそのためです。」
ハルはまた窓を覗き、今度は近くの家を見てみた。確かにどこの家にも家ほどは大きくない建物がある。
「そしてドラゴン共に生活し、共に一生を終えるのですがたまにドラゴンの方が先に死んでしまう人がいるんです。そういう人たちが形見として「竜の瞳」を持っています。しかしほとんどが魔力を持っていません。ドラゴンが死んでしまってから取り出すので命と共に魔力が失われているんです。」
「なるほど。宝石みたいな物ってことだね」
「そういう感じです。ただ稀に「三つ目」の人たちほどではありませんが魔力が残っていて魔法が使える物もあります。それは、人を守ろうとして死んだドラゴンたちの「竜の瞳」です。」
「何か危機的状況で死にかけたドラゴンは、人を守ろうとして「竜の瞳」の魔力を使うことがあります。
そうやって助けられた人の手にはなぜか微弱な魔力の籠った「竜の瞳」があるんです。
まるで死んだ後も守ろうとするかのように…」
そしてシンディはハーク君に歩み寄って「竜の瞳」を握った手を優しく包み込み、
「ハーク君の「竜の瞳」からも魔力を感じる…ハーク君のドラゴンも守ろうとしてくれたんだね…」
「うん…ぼくを逃がそうとして離れた場所にワープさせた隙に死んじゃった…」
「転移魔法…ドラゴンはいなくなっちゃったけど、今度はその「竜の瞳」がハーク君のことを守ってくれるよ…私みたいに…」
そういってシンディは微笑み、自分のネックレスを男の子に見せた。
「え、まさか、シンディも?」
たしかにこの家、竜舎はあるがドラゴンがいない…
「そうです。私のドラゴンも私を守ろうとして殺されました。今日のように突然現れた魔物たちに…」
「そうだったのか…」
シンディの胸には綺麗な緑色の玉が輝いていた。
少ししんみりムードのハルたちの雰囲気を壊すように、玄関の扉がいきよいよく開いた。
そして大きな声が聞こえてきた。
「おおおおい!!さっきドラゴン乗って魔物仕留めたやついるかぁ!!?」
「ちょっとぉ!!いきなりそんな大声出したら迷惑でしょ!」
さっき空を飛んでたライオンの顔の人の声と水着が透けてたかわいい子の声が聞こえた。
足元には頭に矢の刺さったトカゲの顔の死体と傷だらけで羽がボロボロになった鷲の顔の死体があった。
「的には当たらないくせに…」
ハルは弓を握りしめ、足元の死体を見つめていた。
段々、シンディが泣いている男の子を慰めているのが見えてきた。
「あ、ハルー!取り戻せましたかー!?」
ラズリに跨ったハルが近づいてくるのに気付いたシンディは両手を振りながら叫んだ。
ハルは玉を握った手を空へと突き上げて答える。
「取り戻せたみたいだよ!よかったねハーク君!!」
シンディは男の子の手を取り、上下に振りながら喜んだ。
シンディの笑顔に釣られて男の子の顔も晴れやかになった。
喜ぶシンディと男の子の上でラズリが翼を広げて止まった。
そして、ゆっくりと翼を羽ばたかせながら降りてきた。
地面に降り立つと姿勢を低くしてハルが降りやすくしてくれた。
ハルが地面に足を付けるとラズリは立ち上がり、横たわるフィーの元まで歩み寄った。
そしてフィーの横でうずくまり、息を確かめるように顔を寄せ、犬のようにクゥーンクゥーンという声出しながら心配そうな顔をしている。
「フィーなら大丈夫ですよラズリ。私の魔法で血は止まりました。傷は塞ぎきれなかったので少し休養が必要ですけど…」
シンディは少し申し訳なさそうに顔を伏せた。
(魔法で応急処置ができるだけでもすごいと思うけどな…俺の傷もほとんど治ってるし…)
「それでハル!この子の「竜の瞳」は!?」
「ああ!もちろんあるぜ!ほら。」
ハルは男の子に取り戻した玉を手の平に乗せ、差し出した。
男の子は玉を見るなりまた悲しそうな顔になり、
「ありがとう…ありが、とう……」
こみ上げてくる涙で言葉が詰まり、声が震えた。
男の子を見ながら微笑むハル、ふとさっきのシンディの言葉で気になることがあった。
「ん?、今「竜の瞳」って言ったよな?この子も「三つ目」なの?」
「いえ、確かにそれは「竜の瞳」ですがこの子は「三つ目」ではありません。」
ん?でも確かさっき竜に認められた「三つ目」と呼ばれる人たちが「竜の瞳」を授かるとシンディが言っていたはず…
「どういうこと?」
「その子の「竜の瞳」は授けられた物ではなく……その子のドラゴンの…形見だそうです…」
「形見…」
形見ってことはまさか…
「さっきの魔物に…殺されたそうです…」
ハルは男の子の方を振り向いた。
俵型の両端が尖ったような形のとても綺麗で透き通った透明の「竜の瞳」を握って、男の子は泣いていた。
空での「二十一目隊」の戦闘はまだ続いている。
ハルとシンディとラズリは、まだ気を失っているフィーと男の子を連れてひとまずシンディの家へと戻った。
シンディはフィーをさっきまでハルが寝ていたベッドに寝かせて傷口をしっかりと手当すると、「竜の瞳」についてもう少し詳しく教えてくれた。
「さっきも言った通り基本的には「竜の瞳」を持っているのは「三つ目」の人たちです。「竜の瞳」はドラゴンにとっては魔力の根源みたいな物なのでそう簡単には渡してくれません。それこそ命を預けてもいいと思ってもらえるくらいでなければ。」
命を…それほどドラゴンに信頼されている人たちなのか…
ハルは窓から空を見上げた。だいぶ敵の数が減ってきたように見える。
「しかし、「三つ目」ではなくても「竜の瞳」を持っている人たちはいます。」
「それがハーク君のように相棒のドラゴンが死んでしまった人たちです。」
「まずこの村のドラゴンについて説明しますね。
この村では全員に相棒のドラゴンがいます。人が生まれると同時にサフィア様を祀った祭壇にドラゴンの卵が置かれています。一人なら一つ、双子ならきちんと二つ、サフィア様の祭壇に現れるのです。どこの家にも竜舎があるのはそのためです。」
ハルはまた窓を覗き、今度は近くの家を見てみた。確かにどこの家にも家ほどは大きくない建物がある。
「そしてドラゴン共に生活し、共に一生を終えるのですがたまにドラゴンの方が先に死んでしまう人がいるんです。そういう人たちが形見として「竜の瞳」を持っています。しかしほとんどが魔力を持っていません。ドラゴンが死んでしまってから取り出すので命と共に魔力が失われているんです。」
「なるほど。宝石みたいな物ってことだね」
「そういう感じです。ただ稀に「三つ目」の人たちほどではありませんが魔力が残っていて魔法が使える物もあります。それは、人を守ろうとして死んだドラゴンたちの「竜の瞳」です。」
「何か危機的状況で死にかけたドラゴンは、人を守ろうとして「竜の瞳」の魔力を使うことがあります。
そうやって助けられた人の手にはなぜか微弱な魔力の籠った「竜の瞳」があるんです。
まるで死んだ後も守ろうとするかのように…」
そしてシンディはハーク君に歩み寄って「竜の瞳」を握った手を優しく包み込み、
「ハーク君の「竜の瞳」からも魔力を感じる…ハーク君のドラゴンも守ろうとしてくれたんだね…」
「うん…ぼくを逃がそうとして離れた場所にワープさせた隙に死んじゃった…」
「転移魔法…ドラゴンはいなくなっちゃったけど、今度はその「竜の瞳」がハーク君のことを守ってくれるよ…私みたいに…」
そういってシンディは微笑み、自分のネックレスを男の子に見せた。
「え、まさか、シンディも?」
たしかにこの家、竜舎はあるがドラゴンがいない…
「そうです。私のドラゴンも私を守ろうとして殺されました。今日のように突然現れた魔物たちに…」
「そうだったのか…」
シンディの胸には綺麗な緑色の玉が輝いていた。
少ししんみりムードのハルたちの雰囲気を壊すように、玄関の扉がいきよいよく開いた。
そして大きな声が聞こえてきた。
「おおおおい!!さっきドラゴン乗って魔物仕留めたやついるかぁ!!?」
「ちょっとぉ!!いきなりそんな大声出したら迷惑でしょ!」
さっき空を飛んでたライオンの顔の人の声と水着が透けてたかわいい子の声が聞こえた。
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