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第五章 ニガレオス帝国~暗黒帝と決戦編~
神殿より敵襲 (★教帝聖下視点)
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──チタニア教帝領、教帝聖下執務室にて。
午前のお祈りを早々に切り上げると、私は執務室で書類の整理に没頭していた。
例の『黒い嵐』は、チタニアに甚大な被害をもたらした。多くの民が命を落とし、田畑は荒れ果てた。
領民の生活基盤の復興、治安維持、周辺国への支援要請等々、早急に処理しなければならない問題は山積みだ。それに加え、紛失した機密文書の複製も重要な課題の1つだった。
今、まさに、それに取り組んでいる。
これらの書類は色素により閲覧制限がかけられていた。本の表紙に色素を流すと文字が浮かび上がる仕組みだ。私と首席枢機卿、そして、書記官のみの色素に反応し、それが起こる。
それゆえに、その3名で頭を突き合わせて、記憶をたぐりよせることになった。完全に紛失したものの再現は困難を極めるため、とりあえず、水没のみで難を免れたものの復元からはじめた。
濡れた書物は乾くと互いに貼りつく。しかも、泥水に浸ったため、茶色く染まり文字が見にくくなかなか解読が進まなかった。
結局、我々の集中は1時間程度しかもたず、休憩を挟むことになった。
「 色素女神様が白と黒を人間界に宿され御加護を与えられた後、はじめは、上手くいっていたのですよね? 」
茶ばんだ書類に目を落としながら、イルメナイト首席枢機卿が言った。
「うむ。どこかに記載されていたと思うが、二柱の融和を望んだ色素女神様により、今の我々よりも強力な御加護うけていたらしい。白の力は病気の治癒や農作物の豊穣、水の浄化などに至るまで、黒の力は物体強度の増強、肉体強化、そして、黒炎の取り扱いなどが記録されていたと思う。
人々は自由に空を飛び回り、文明も現在よりも発展していたそうな」
私の発言に反応し書記官が手を動かす。
「神殿は、その当時からあるのですよね? 」
「そうだ。当時から民の憩いと信仰の場として、5箇所とも今の場所造られていたはずだ。
確か教帝聖下が二人いた時代もあったとか」
「……最近、ニガレオス帝国に攻めの兆候があったとききました」
イルミナイト首席枢機卿が真っ青な顔で言った。
「エローとシアニンが軍備をさき、ニゲルの森を見張って……」
ニガレオス帝国がこちらに攻め込むには、ニゲルの森を、絶対通らねばならない。
各国の王とも話し合って、見張ることをきめたのだ。
そこまで発言し、背中を嫌な汗が伝うのを感じた。
「「チタニア神殿だっ!! 」」
私と首席枢機卿は同時に叫び立ち上がった。そして、廊下へと駆け出す。
「どうなされたのですっ! 」
状況を飲み込めてない書記官が、背後で叫んだ。
その瞬間私の脳裏に、神殿から沢山の漆黒兵が湧き出してくる映像が浮かんだ。
チッ!
またもや、遅すぎるお告げに苛立つ。
(ピロルっ! きこえるかっ? 各国の王に伝えよっ! 神殿より敵襲っ!! )
私がそう思念するのと、立っていられないほどの地鳴りが鳴り響くのがほぼ同時だった。
午前のお祈りを早々に切り上げると、私は執務室で書類の整理に没頭していた。
例の『黒い嵐』は、チタニアに甚大な被害をもたらした。多くの民が命を落とし、田畑は荒れ果てた。
領民の生活基盤の復興、治安維持、周辺国への支援要請等々、早急に処理しなければならない問題は山積みだ。それに加え、紛失した機密文書の複製も重要な課題の1つだった。
今、まさに、それに取り組んでいる。
これらの書類は色素により閲覧制限がかけられていた。本の表紙に色素を流すと文字が浮かび上がる仕組みだ。私と首席枢機卿、そして、書記官のみの色素に反応し、それが起こる。
それゆえに、その3名で頭を突き合わせて、記憶をたぐりよせることになった。完全に紛失したものの再現は困難を極めるため、とりあえず、水没のみで難を免れたものの復元からはじめた。
濡れた書物は乾くと互いに貼りつく。しかも、泥水に浸ったため、茶色く染まり文字が見にくくなかなか解読が進まなかった。
結局、我々の集中は1時間程度しかもたず、休憩を挟むことになった。
「 色素女神様が白と黒を人間界に宿され御加護を与えられた後、はじめは、上手くいっていたのですよね? 」
茶ばんだ書類に目を落としながら、イルメナイト首席枢機卿が言った。
「うむ。どこかに記載されていたと思うが、二柱の融和を望んだ色素女神様により、今の我々よりも強力な御加護うけていたらしい。白の力は病気の治癒や農作物の豊穣、水の浄化などに至るまで、黒の力は物体強度の増強、肉体強化、そして、黒炎の取り扱いなどが記録されていたと思う。
人々は自由に空を飛び回り、文明も現在よりも発展していたそうな」
私の発言に反応し書記官が手を動かす。
「神殿は、その当時からあるのですよね? 」
「そうだ。当時から民の憩いと信仰の場として、5箇所とも今の場所造られていたはずだ。
確か教帝聖下が二人いた時代もあったとか」
「……最近、ニガレオス帝国に攻めの兆候があったとききました」
イルミナイト首席枢機卿が真っ青な顔で言った。
「エローとシアニンが軍備をさき、ニゲルの森を見張って……」
ニガレオス帝国がこちらに攻め込むには、ニゲルの森を、絶対通らねばならない。
各国の王とも話し合って、見張ることをきめたのだ。
そこまで発言し、背中を嫌な汗が伝うのを感じた。
「「チタニア神殿だっ!! 」」
私と首席枢機卿は同時に叫び立ち上がった。そして、廊下へと駆け出す。
「どうなされたのですっ! 」
状況を飲み込めてない書記官が、背後で叫んだ。
その瞬間私の脳裏に、神殿から沢山の漆黒兵が湧き出してくる映像が浮かんだ。
チッ!
またもや、遅すぎるお告げに苛立つ。
(ピロルっ! きこえるかっ? 各国の王に伝えよっ! 神殿より敵襲っ!! )
私がそう思念するのと、立っていられないほどの地鳴りが鳴り響くのがほぼ同時だった。
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