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女騎士ローズ

女騎士ローズ-7

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一年が過ぎた。

この一年でできたのは最初の制御から20回程度だろう。しかし少しずつ歩んでいっているのは間違いない。少なくとも以前の私とは既に比べ物にならない程には強くなったと言えるだろう。


十年が過ぎた。

200~300回は問題なく進む。だが制御が上手くいかないことが増えた。だがまだ元の姿をちゃんと保てている。ギリギリのタイミングで供給を元の状態まで切り離すようにできることが多少できるようになったことと、最初から自身の魔力を使い切っておいて赤い羽根の魔力に手を出すことでほんの少しのキャパができたおかげだ。

だがそのせいで自身の魔力に赤い羽根の魔力が少しずつしみ込んできている。これがジルクの侵食と言っていたものだろう。しかしあれほどの早さはない。だがこの速度では赤い蝶になりかねない。


百年が過ぎた。

千回という回数を超え、背中に翼が生えた。赤い蝶のような翼だ。だが私はまだ人の姿を保てている。言うなれば亜人にいる蝶人のようなものだ。
それにおおよそだが1%程度だろうか?。その大台に制御が乗った。このペースでは赤い蝶になるのが早いだろうが、それでも合計一万年かかるというのは心が折れそうになるものがある。

だが諦めない。ジルクを取り返すためなら……。


千年が過ぎた。

ふわふわと飛べるようになった。背中の翼は大きくなり、2mを超えさらに大きくなっていく。人の姿を保てているものの、気を抜けば足や腕が赤い魔力で覆われることが増えた。
10%近く制御できるようになったものの、この調子では50%に届く前に赤い蝶になってしまう。それではジルクを取り戻す以前の問題だ。手が届く前に自らを失ってはどうしようもなくなる。一度ここまでの制御を完全にこなす方を優先しよう。
急がば回れ、というやつだ。幸いにも時間はあるのだ。


二千年が過ぎた。

これまでの制御が十全にできるようになった。背中の翼は伸縮が自在になり、いつの間にか飛んでいるということもなくなった。ようやく地に足を付けて行動できる。
制御は……12%といったところだろうか。500年近く制御に時間をとられてしまった。だがおかげで制御できる総量が増えた。これなら限界という壁を超えて身体を変え適応させる時に、大きく変化適応できるはずだ。適応速度上昇ができたのだから、ここから先の制御はそれなりに早くできるだろう。

あと赤い羽根がたまにやって来るようになった。楽しみで仕方ないらしい。


三千年が過ぎた。

適応速度が上昇したのは間違いない。だがおかげで回数は激減した。以前は一度で十日程度だったが、今は一度で一年だ。以前と比べて大きく変化しているのだから当然と言えば当然であり、制御も25%近くまで伸びたのだから文句のつけようはない。

赤い羽根曰く、ここまで安定して伸びている時点でまず最高記録は出るだろうとのこと。出るだろうじゃない、出すんだ。


五千年が過ぎた。

50%まで伸びようとしていが、そこで一度立ち止まる。以前と同じような感覚に陥ったからだ。背中の翼は大きくなり3mを超えている。さらにふわふわと飛ぶのも常に飛んでおり足が地にずっとついていないのが百年近く続いた。
自身の姿も失いかけたが、なんとか踏みとどまることに成功した。だが両脚は燃えるような赤い魔力で形成され、仮に死んだとしたら肉体として残らないだろう。
三千年前と同様に、一度制御のために時間を使うことにする。翼が生え、両脚が見た目は同じでも中身は別物になったのだ。他の身体部分も以前とは魔力密度や構成は全く別の物だが、姿形は変わっていないのに対しそれらは異形が過ぎる。

赤い羽根はこうなることが分かっていたのか、どこか嬉しそうな魔力を当ててきた。魔力を当てるだけで赤い羽根の感情が分かるようになってるということが眷属になるという意味を分からせてきた。


一万年が過ぎた。

一度経験したからそこまで時間はかからないだろうと考えていたが想像以上に甘かった。
力としては50%は超えたものの、51%に進む前で止まっている。これまで積み上げてきた制御能力でも困難極まるようなものだった。
だが年月を経る度に少しずつ問題なくなってきた。翼も最大の大きさこそそのままなものの伸縮自在に戻り、両脚も見た目は元の姿に戻すことができた。
だが制御が暴走すれば再び翼は大きく、両脚は燃えるようになるだろう。これは少し方向を変える必要があるようだ。
1%ほど成長したら制御を繰り返す。そちらの方がうまく進めそうだ。

ということを赤い羽根に話せるくらいに、赤い羽根の出現頻度は上がった。赤い羽根は言葉としてはそれでいいと言っていたが、魔力が嬉しそうだったり悲しそうだったりでだいたいどうすればいいのかが分かってしまった。
眷属になる者としてはそれでいいのかと思わないでもないが、私としては好ましい性格をしているのはよく分かった。
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