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女騎士ローズ
女騎士ローズ-2
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「ここか」
カルザ達と話してから10日ほど経ち、ローズは目的地に到達していた。
ルダクノで移動のための準備やらに4日。全力で走って南南東へ4日程。海が見える海岸線に沿いさらに南に2日。
そこにカルザ達が言っていた場所はあった。知性を持った災害獣、通称「赤い羽根」の住処。
「恐ろしく大きな活火山があり、その火口にいる。だったか」
ローズの視界に映るのは近くは崖のような急斜面であり、遠くは頂上に黒煙を吹いているところだ。既にこの場所というのが災害に近いのだが、これ以上近づいていくともなれば自殺願望者くらいのものだろう。
「すぐ到達するさ」
魔力を用いて身体を強化し、km単位という道のりを軽くこなしていく。移動の途中には燃えた魔物の死骸がそこかしこに散らばっており、災害に遭った後だと分かりやすく示されていた。
中には山のような大きさのものまであり、その魔力の残滓から災害獣の死骸であることも分かってしまう。
「災害獣すら屠る災害獣。聞いた通りだな」
ローズはカルザ達と話した内容を思い出す。
「今言ったところが赤い羽根の住処だ。正直なところ、俺たちはそれを知っているだけでそいつは避けなければならないとだけしか知らない」
「それもあくまで言い伝えに近い。近くにある村で聞いただけ。それでも、その村から危険な様子が分かるくらい」
「だがその村では……災害獣すらそこに行って帰ってきたものはいないという話だった」
三人の言葉は全て間違いではなかったことが今ならよく分かる。
災害が確実にいるこんなところに踏み入ること自体が間違いであり、人間からすれば避けなければならない場所だ。
さっき着いた時、それなりに遠くから見えた時点で危険な魔力が立ち込めているのは目に見えた。
災害獣の死骸があるということは武力的な意味なら帰れるものはいないだろう。
そして既に立ち入っている私も同様だ。だがもう8合近くは登ってきた。周囲には災害獣の死骸ばかりであり、登頂初めにいた小さな魔物たちの死骸は既にない。
魔力総量で登れる度合いが変わるのだろうか?。だがそれだと災害獣よりも少ない私がここまで問題なく登れている時点でそれは違うと言える。
と、すれば考えられることは一つだけだ。
「山の主……赤い羽根が私を待っているということか」
ヤギの時といい、私をは知性をもつ災害獣に好かれているようだ。文字通り悪い運だが、今回ばかりはそれが助かることだったとも言える。
「もう少しだ。待っていろ」
ローズはさらに山を火口まで登っていく。そこにあるのはただジルクを奪い返すために命を燃やす乙女の姿だった。
カルザ達と話してから10日ほど経ち、ローズは目的地に到達していた。
ルダクノで移動のための準備やらに4日。全力で走って南南東へ4日程。海が見える海岸線に沿いさらに南に2日。
そこにカルザ達が言っていた場所はあった。知性を持った災害獣、通称「赤い羽根」の住処。
「恐ろしく大きな活火山があり、その火口にいる。だったか」
ローズの視界に映るのは近くは崖のような急斜面であり、遠くは頂上に黒煙を吹いているところだ。既にこの場所というのが災害に近いのだが、これ以上近づいていくともなれば自殺願望者くらいのものだろう。
「すぐ到達するさ」
魔力を用いて身体を強化し、km単位という道のりを軽くこなしていく。移動の途中には燃えた魔物の死骸がそこかしこに散らばっており、災害に遭った後だと分かりやすく示されていた。
中には山のような大きさのものまであり、その魔力の残滓から災害獣の死骸であることも分かってしまう。
「災害獣すら屠る災害獣。聞いた通りだな」
ローズはカルザ達と話した内容を思い出す。
「今言ったところが赤い羽根の住処だ。正直なところ、俺たちはそれを知っているだけでそいつは避けなければならないとだけしか知らない」
「それもあくまで言い伝えに近い。近くにある村で聞いただけ。それでも、その村から危険な様子が分かるくらい」
「だがその村では……災害獣すらそこに行って帰ってきたものはいないという話だった」
三人の言葉は全て間違いではなかったことが今ならよく分かる。
災害が確実にいるこんなところに踏み入ること自体が間違いであり、人間からすれば避けなければならない場所だ。
さっき着いた時、それなりに遠くから見えた時点で危険な魔力が立ち込めているのは目に見えた。
災害獣の死骸があるということは武力的な意味なら帰れるものはいないだろう。
そして既に立ち入っている私も同様だ。だがもう8合近くは登ってきた。周囲には災害獣の死骸ばかりであり、登頂初めにいた小さな魔物たちの死骸は既にない。
魔力総量で登れる度合いが変わるのだろうか?。だがそれだと災害獣よりも少ない私がここまで問題なく登れている時点でそれは違うと言える。
と、すれば考えられることは一つだけだ。
「山の主……赤い羽根が私を待っているということか」
ヤギの時といい、私をは知性をもつ災害獣に好かれているようだ。文字通り悪い運だが、今回ばかりはそれが助かることだったとも言える。
「もう少しだ。待っていろ」
ローズはさらに山を火口まで登っていく。そこにあるのはただジルクを奪い返すために命を燃やす乙女の姿だった。
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