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女騎士ローズ
女騎士ローズ-1
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ルダクノの門の目の前まで吹き飛ばされたローズは町の救助により一命をとりとめた。
だが身体のほとんどと精神の一部を壊され、身体だけでも回復したのは数ヶ月という長い時間が経った後だった。
騎士隊からも引退した方がいいのではないかと話され始めた頃、ローズの元へと彼らはやってきた。
「ローズ、少しいいか」
そこにあったのはかつてのジルクのパーティーメンバー、カルザ達の姿だった。
カルザ達はローズを連れて町へと移動を始めた。行先は依頼の相談を誰にも話したくない場合に使われる宿屋町の一角だ。
4人が部屋に入り、ヤヴォールが音を遮る魔術を使う。誰にも話したくないという意志だけは明白だった。
「……何か」
「ローズ、何か知ってるんだろ。いつの間にかこの町を襲った災害を」
その言葉にローズは目を見開く。誰も気づいていないそれに気づいた者がいるという事実がローズの心情を驚愕だけで染め上げる。
カルザ達はジルクの記憶を失っている。そこから辿り着くのは不可能ではないかもしれない。だが並大抵のことではないし、失ったとしても取り戻そうという明確な意志がなければ行えない行為だ。
その反応だけで察したのか、カルザは溜息を一つついた。
「はぁ……、やっぱりか。俺たちのパーティー名が未踏無だとは知っているだろ」
「踏んでいない場所はない、だったか」
「間違ってはないな。俺たちの目的だ」
一呼吸の間を置き、カルザは言葉を続ける。
「言い換えると危険を冒す馬鹿たちとも言える」
「……そうだな」
カルザ達が苦笑を浮かべ、ローズもそれに釣られて苦笑を浮かべる。間違っていない事実であり、精神がまだ治っていないローズも釣られざるを得なかった。
「だが俺たちはずっと生きてる。その理由は分かるだろう?」
「災害から避けて生きてきたからだろう。それで分かったとでも言うのか!?」
ローズは声を荒げる。死ぬような目に合ってでもジルクを助けようとして、それでも届かず情けで記憶を保持している自分と、何もせずにただ災害に遭っても記憶がないとは言えないとのたまうカルザ達。
憤慨するのも無理はないことだった。
「いや違う。災害の被害を受けても最小限にして生きてきたからだ。そして今回……なんとなくだがそれっぽい感覚が突然襲った」
「そんな……そんな曖昧な理由で!?」
テーブルに拳をぶつけ、そのまま砕くローズ。
五感を鋭くし、その結果を信ずる。それはローズだろうと冒険者だろうと理解できなくはないことだ。だが納得がいかない。災害とはそんなものすら踏み躙るはずのものだからだ。
「冒険者が感覚を見失ったらおしまいだ」
「ファトスに同じく。それにその感覚はカルザだけじゃないよ。私たちもだ」
ローズの握った拳から血が垂れる。
カルザ達が言っていることは分かる。それが災害だけでなくジルクとの信頼関係からくる違和感だということも。
だからこそ誰よりもジルクへの想いなら負けないと思っていたローズには悔しくて仕方なかった。
「だが災害に襲われたのが分かっても対処が分からない。……ローズ、あんたなら分かったりするのか?」
「……ダメだ」
カルザ達の言葉の先を予想し、否定する。もしもカルザ達が知ったら間違いなく奴の元へと向かう。それが示すのはジルクの二の舞。……どころかチャンスもなく殺されるだけだろう。
「……ローズ?」
「ダメだ。ジルクや奴を相手にするなど……。戦うことすらできずに死ぬだけだ」
ローズは吐き捨てるように口に出す。カルザ達も何故かはわからないがどこか納得した様子だ。
「なるほどな、既に戦った後ってことか」
「死ぬ寸前になったというアレか。それでは武力ではどうしようもないと」
と思ってたら納得した理由が状況証拠であったのだった。確かに私が何の理由もなく死傷を受けて町の目の前に居たら理解できない現象だろう。
むしろ合点がいった、といったところだろうか。
「逃げるの?」
ヤヴォールの言葉はただの提案だ。敵を前にして逃げろという侮辱ではないのは分かっている。だから正直に答えることにしよう。
「逃げたくない。だが戦っても……死ぬのは目に見えてる」
目に光を灯すローズ。それを見たカルザ達は口角を上げて嬉しそうな表情を隠そうとしない。
「……今のままなら、か」
「カルザ?」
「ヤヴォール、教えてやれ」
含みを持ったカルザにヤヴォールが応える。一瞬ピリッとした警戒したような感覚が通ったのは気のせいではないだろう。
「はぁ……。これは極秘もいいとこの情報だよ?。まぁ持ってても使い道がないから困っていた情報でもあるからいいけど」
「極秘?。一体何を」
カルザが立ち上がり、まるで臨戦態勢のように警戒をあらわにする。それは周囲を警戒するというには度が過ぎるものだったが、それだけ隠したいことと示すには十分だった。
「ローズ、お前の戦力は知ってる。ドラゴンすら余裕で屠る力は災害に匹敵すると言ってもいいだろう」
「まぁ……な」
「言い換えるとお前を超える敵がいるとすれば……災害獣だろう。武力で戦うにはあまりに遠い敵だ。もしそいつに知性があり、仮に何か奪われたものがあるとすれば更に絶望的と言わざるを得ない。おそらく奪われた何かすらも敵に回る可能性が高いからな」
「……」
カルザの言葉が余りにも的中し過ぎている事実であり、内心では驚愕する。表情や魔力には出さないが、ベテランパーティーの推測能力に感心すら覚えていた。
「そしてそれほどの災害獣を超えるには……相応の災害獣に縋るしかない。知性を持つ災害獣……通称「赤い羽根」の住処を教える。後は好きにしろ」
だが身体のほとんどと精神の一部を壊され、身体だけでも回復したのは数ヶ月という長い時間が経った後だった。
騎士隊からも引退した方がいいのではないかと話され始めた頃、ローズの元へと彼らはやってきた。
「ローズ、少しいいか」
そこにあったのはかつてのジルクのパーティーメンバー、カルザ達の姿だった。
カルザ達はローズを連れて町へと移動を始めた。行先は依頼の相談を誰にも話したくない場合に使われる宿屋町の一角だ。
4人が部屋に入り、ヤヴォールが音を遮る魔術を使う。誰にも話したくないという意志だけは明白だった。
「……何か」
「ローズ、何か知ってるんだろ。いつの間にかこの町を襲った災害を」
その言葉にローズは目を見開く。誰も気づいていないそれに気づいた者がいるという事実がローズの心情を驚愕だけで染め上げる。
カルザ達はジルクの記憶を失っている。そこから辿り着くのは不可能ではないかもしれない。だが並大抵のことではないし、失ったとしても取り戻そうという明確な意志がなければ行えない行為だ。
その反応だけで察したのか、カルザは溜息を一つついた。
「はぁ……、やっぱりか。俺たちのパーティー名が未踏無だとは知っているだろ」
「踏んでいない場所はない、だったか」
「間違ってはないな。俺たちの目的だ」
一呼吸の間を置き、カルザは言葉を続ける。
「言い換えると危険を冒す馬鹿たちとも言える」
「……そうだな」
カルザ達が苦笑を浮かべ、ローズもそれに釣られて苦笑を浮かべる。間違っていない事実であり、精神がまだ治っていないローズも釣られざるを得なかった。
「だが俺たちはずっと生きてる。その理由は分かるだろう?」
「災害から避けて生きてきたからだろう。それで分かったとでも言うのか!?」
ローズは声を荒げる。死ぬような目に合ってでもジルクを助けようとして、それでも届かず情けで記憶を保持している自分と、何もせずにただ災害に遭っても記憶がないとは言えないとのたまうカルザ達。
憤慨するのも無理はないことだった。
「いや違う。災害の被害を受けても最小限にして生きてきたからだ。そして今回……なんとなくだがそれっぽい感覚が突然襲った」
「そんな……そんな曖昧な理由で!?」
テーブルに拳をぶつけ、そのまま砕くローズ。
五感を鋭くし、その結果を信ずる。それはローズだろうと冒険者だろうと理解できなくはないことだ。だが納得がいかない。災害とはそんなものすら踏み躙るはずのものだからだ。
「冒険者が感覚を見失ったらおしまいだ」
「ファトスに同じく。それにその感覚はカルザだけじゃないよ。私たちもだ」
ローズの握った拳から血が垂れる。
カルザ達が言っていることは分かる。それが災害だけでなくジルクとの信頼関係からくる違和感だということも。
だからこそ誰よりもジルクへの想いなら負けないと思っていたローズには悔しくて仕方なかった。
「だが災害に襲われたのが分かっても対処が分からない。……ローズ、あんたなら分かったりするのか?」
「……ダメだ」
カルザ達の言葉の先を予想し、否定する。もしもカルザ達が知ったら間違いなく奴の元へと向かう。それが示すのはジルクの二の舞。……どころかチャンスもなく殺されるだけだろう。
「……ローズ?」
「ダメだ。ジルクや奴を相手にするなど……。戦うことすらできずに死ぬだけだ」
ローズは吐き捨てるように口に出す。カルザ達も何故かはわからないがどこか納得した様子だ。
「なるほどな、既に戦った後ってことか」
「死ぬ寸前になったというアレか。それでは武力ではどうしようもないと」
と思ってたら納得した理由が状況証拠であったのだった。確かに私が何の理由もなく死傷を受けて町の目の前に居たら理解できない現象だろう。
むしろ合点がいった、といったところだろうか。
「逃げるの?」
ヤヴォールの言葉はただの提案だ。敵を前にして逃げろという侮辱ではないのは分かっている。だから正直に答えることにしよう。
「逃げたくない。だが戦っても……死ぬのは目に見えてる」
目に光を灯すローズ。それを見たカルザ達は口角を上げて嬉しそうな表情を隠そうとしない。
「……今のままなら、か」
「カルザ?」
「ヤヴォール、教えてやれ」
含みを持ったカルザにヤヴォールが応える。一瞬ピリッとした警戒したような感覚が通ったのは気のせいではないだろう。
「はぁ……。これは極秘もいいとこの情報だよ?。まぁ持ってても使い道がないから困っていた情報でもあるからいいけど」
「極秘?。一体何を」
カルザが立ち上がり、まるで臨戦態勢のように警戒をあらわにする。それは周囲を警戒するというには度が過ぎるものだったが、それだけ隠したいことと示すには十分だった。
「ローズ、お前の戦力は知ってる。ドラゴンすら余裕で屠る力は災害に匹敵すると言ってもいいだろう」
「まぁ……な」
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「……」
カルザの言葉が余りにも的中し過ぎている事実であり、内心では驚愕する。表情や魔力には出さないが、ベテランパーティーの推測能力に感心すら覚えていた。
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