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赤い羽根
彼の者の名は
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ディアインの洞窟が崩落を始めた頃、コルドークから少しだけ離れた郊外に4人の姿があった。ディアインから災害獣が町へ近づいてきていると感知したカティナが、ミグア、ローズ、シアを迎撃戦力として呼んだのだった。
カティナが感知したのはコルドークとディアインを繋いだ真ん中辺りに突如として災害獣が現れたというものであり、同時にディアインから災害獣の気配が消えたというものでもあった。
「ルミナとデルスが負けたっていうの?」
シアの疑問は4人には分からない。4人には撃退したのか逃走なのかの判断もつかないからだ。
ローズとシアは顔にこそ出していないものの、驚いてはいた。二人から見たルミナは災害獣一体程度なら討伐可能であったし、連携をとれるデルスがいれば撃滅も容易いはずだったからだ。
ローズが浮かんで向かってくる災害獣を探知しなければ二人がどうなったのか判断すらつかなかった。探知したローズの顔が嫌な物を見たような表情に変わる。
「随分厄介なのがこっちに来たようね。特殊性がかなり高い災害獣……二人は大丈夫かしら?」
「ルミナなら、大丈夫」
ガイードと繋がっているミグアは無事なことが分かる。ガイードが無事でありながらルミナが無事ではないという状況などミグアには考えられないのだ。魂を奪うような相手であっても、ルミナも魂を操る側である以上、ルミナに何かあればミグアにも何かしら伝わって当然なのだ。
しかしミグアには何も伝わっていなかった。だからこそルミナが無事だと言い切れてしまう。
「ってことは逃げられて、餌を求めてこっちに来たのね」
「強さはどれくらい?」
ミグアの疑問にローズは顔をしかめながら答える。この中で一番強いのはローズであり、一番強い者が敵の力を量れない場合だと迎撃できない。
顔をしかめるというのは分かっていて面倒だと、暗に告げていた。
「……感じ取った魔力から予想するに、私と同じレベルね。特殊性がある魔力というのも同じ」
「シアと比べると?」
シアがローズへと疑問を飛ばす。ローズとシアで言えばローズの方が強い。ローズと同じ程の強さであればシアが迎撃できない強さであるとも言えた。
シアの強さなら、の話だ。ローズは首を横に振った。
「お願いだから止めて頂戴」
ローズにはシアが何を言いたいのかが分かってしまう。それは危険な行為であり、ローズが最も避けていたことでもあった。
シアを宥めようと優しい顔をして微笑むローズが、突如として頭を抱えだした。余りにも唐突であったため、三人が駆け寄って様子を見ていた。
「っ!?嘘でしょ。どうして今?」
いつも飄々としているローズが狼狽えていた。シアでさえ珍しいものを見たというような表情だ。
スッと立ち上がり、申し訳なさそうな顔でローズは何が起きたのか口にした。
「ごめんなさい、今すぐディアインに行かないといけなくなったわ。あれの対処もできない」
「どうして?」
「赤い羽根に呼ばれて」
カティナの問いに、ローズの答えは一言だけだった。だがその一言で説得力は十分に過ぎた。
赤い羽根、災害獣の中でも力を持つ存在だ。ローズやシアは、赤い羽根が災害獣の中でも最上位に位置する災害獣だと知っている。直属の部下であるローズは、赤い羽根から塵未満の魔力を受け取っただけで今の力を有しているのだ。羽根が一振りするだけで災害が滅ぶとすら言われる力の持ち主、応えない訳にはいかなかった。
「それなら仕方ない。早く行って、そして帰ってきて」
シアがさっさと行けと追い出すように声をかける。仕事に出かける夫を送り出す妻のように、優しい声色だった。声を聞いたローズは、怒られるのを怖がるような顔色だった。
「ごめんなさい、シア」
ローズの謝罪にクスリとシアは微笑む。二人が逃がしたという災害獣がやってくる方角へと顔を向け、シアは凛とした顔をする。
覚悟を決めた顔だ。ローズがいなくても全力を持って戦うと言う漢らしい覚悟を示していた。
「ローズと同じなら、私でもやれる」
その言葉にローズは首を横にフルフルと振った。どこか必死さすら見える表情に、シアはローズの頭を撫でた。身長はシアの方が低いため、背伸びして撫でる姿は遠目から見れば可愛らしいものだった。
「私は嫌よ。あなたの制御はまだ熟しきってないわ」
「遅かれ早かれ似たような試練は起きたでしょ。なら私は今がいい」
シアとローズの会話にミグアとカティナは入れない。目的が違うのであり、シアとローズには協力要請しているだけに過ぎないのだ。今回迎撃に出てくれたのも、ある意味気まぐれと言ってもよかった。
「ミグア、カティナ。シアのことをお願い」
ローズが二人に頭を下げる。二人はコクンと頷き、了承を示した。
何しろ相手が相手だ。赤い羽根の直属の部下にして災害獣と対等以上に戦える存在、二人でも戦いにならない戦力だ。強者に敬意を払うのは当然であり、頼まれたならそれなりの事情でもない限り断ることはない。
「分かったわ」
「分かった」
ローズは自らを炎の魔力で包ませ、転移して姿を消した。シア曰く、炎を二か所に設置し転移する魔術らしい。遠隔場所に炎を生み出すのは簡単らしく、転移する時によく使うのだと。
突如炎が上がったことでミグアとカティナが驚いていたが、シアの説明で落ち着く。
「で、シアのことをお願いっていうのは?」
カティナの問いかけに、シアはキリッとした顔でコクリと頷き口を開いた。
「私の力をきちんと制御できればローズと同じ以上の強さになれる。でも制御が暴走すると街一帯が吹き飛ぶと思う」
力の制御訓練のためにここにいる、シア達がコルドークに滞在していた目的だ。
実のところ、シア達の目的は既にほとんど終わっていたのだ。人の姿で力を隠して紛れ込むことができるというのは、戦闘面での制御がほぼ問題ないことを前提とした訓練だ。何せこの世界では力を有することが最優先で行うべきことであり、力を示さないことは力があることを前提としている。
故にシアには十分な力を持っており、戦闘でもほぼ問題はない。唯一問題なのは、戦闘での被害に考慮できるのかという点だけだった。そこだけは魔力制御能力がモノを言うのだから。
シア一人なら確かに問題だった。が、ここには魔力制御能力に長けているドワーフの高位軍人がいるのだ。制御能力を訓練する方法も当然知っていた。
「厄介ね。……ねぇ、こんなのはどうかしら?」
非常事態故、ドワーフの知識をカティナが示す。伝達魔術同様、ドワーフの軍人レベルなら誰だって使用可能な魔術だが、人間には知られていない魔術だった。
「へぇ?こんなのあったんだ。それならお願いしようかな」
数分後、ディアインの方角からドス黒い魔力の塊が到来した。魂喰らいの災害獣、ザディアスである。見た目だけで言えば、黒い薔薇の棘の柄が入った白いワンピースを着た黒髪の大人の女性のようだ。
岩人形に憑依しているザディアスだが、下半身がズタボロだった。足は根本から無く、腰も光線で貫通したような跡があった。しかしシア達三人にはボロボロになったスカートしか見えないというように見えており、不気味な風貌にしか見えなかった。
「アら、迎撃がたった三人?私が何者なのか分かっているでしょうに」
クスクスとザディアスは笑う。ザディアスはディアインにルミナ達が来る前から引き籠っていた訳ではない。周囲の町や谷、火山等に何がいるのかを調べてもいたのだ。町にいる戦力がたかが知れていることも知っていた。
そしてカティナ達もルミナ達が戦った相手であることは分かっていた。ガイードとの繋がりがあるミグアの表情が怒りを隠していなかったのだから。
「分かっているわ。町を守るために戦わなければならない時だってこともね」
カティナはデルスと同じ武器、魔鉄棒を掲げる。魔法陣がシアの足元に展開され、シアの口角が上がる。カティナが発動した魔術は、ドワーフの軍人の基礎訓練で使われる初歩的なものだった。
「ならさっさと襲わせてもらいましょうか」
どこからか傘を持ち出したザディアスは浮遊したまま町の方角へ飛ぼうと試みるも、目の前に女性のような存在が立ちはだかった。即座に距離をとり、対峙した者の様子を伺う。
対峙した者、シアは自らの魔力を垂れ流し、流した魔力を自らを中心とした球体のように展開していく。
「……私が何者なのか、分かるか?」
男性と女性の声が混じった声が響く。コロコロと可愛らしい女性の声と、どこか中性的な男性の声だ。シアの魔力球の中から声は出されており、声がシアのものだとその場にいる全員が分かっていた。
「アなたが?見たところ普通の人げ……違うわね。何者かしら?内包スる魔力が災害獣と同格以上なのだけれど」
ザディアスの額に冷や汗が流れる。岩人形なのに流れるはずがないのだが、ザディアスが無意識で再現していたのだった。
(カティナさん、お願いしますよ)
シアの声がカティナが先んじてかけていた伝達魔術によりカティナ自身に伝わる。伝わると同時に、カティナは自身の魔力を戦闘用に強化展開しシアにかけていた魔術を強化させる。
「私の名はシア・フィアラヴィンス。私という真実の名であり、仮の名でもある」
シアの声が周囲に響く。シアという女性の名前、そしてそれが本来在る名前ではない事実を。
カティナからの魔術、かけられた本人が本来よりほんの少しだけ魔力制御能力が上昇するだけの魔術であり、なり立ての軍人が身体強化魔術をより強くするために使われる魔術だ。ほんの少しの魔力制御能力の上昇だが、シアが欲しかったのはそのほんの少しの魔力制御能力だった。
少しずつ魔力球が小さくなり、灰色の魔力に隠れていた姿が露わになる。そこにあったのは、中性的な男性の姿だった。
「俺の名はジルク・ラヴィリエント。ローズ……いや、ローザリッサの夫であり、災害獣を喰らった男だ」
かつて災害獣を喰らった男が、ザディアスへと牙を剝いた。
カティナが感知したのはコルドークとディアインを繋いだ真ん中辺りに突如として災害獣が現れたというものであり、同時にディアインから災害獣の気配が消えたというものでもあった。
「ルミナとデルスが負けたっていうの?」
シアの疑問は4人には分からない。4人には撃退したのか逃走なのかの判断もつかないからだ。
ローズとシアは顔にこそ出していないものの、驚いてはいた。二人から見たルミナは災害獣一体程度なら討伐可能であったし、連携をとれるデルスがいれば撃滅も容易いはずだったからだ。
ローズが浮かんで向かってくる災害獣を探知しなければ二人がどうなったのか判断すらつかなかった。探知したローズの顔が嫌な物を見たような表情に変わる。
「随分厄介なのがこっちに来たようね。特殊性がかなり高い災害獣……二人は大丈夫かしら?」
「ルミナなら、大丈夫」
ガイードと繋がっているミグアは無事なことが分かる。ガイードが無事でありながらルミナが無事ではないという状況などミグアには考えられないのだ。魂を奪うような相手であっても、ルミナも魂を操る側である以上、ルミナに何かあればミグアにも何かしら伝わって当然なのだ。
しかしミグアには何も伝わっていなかった。だからこそルミナが無事だと言い切れてしまう。
「ってことは逃げられて、餌を求めてこっちに来たのね」
「強さはどれくらい?」
ミグアの疑問にローズは顔をしかめながら答える。この中で一番強いのはローズであり、一番強い者が敵の力を量れない場合だと迎撃できない。
顔をしかめるというのは分かっていて面倒だと、暗に告げていた。
「……感じ取った魔力から予想するに、私と同じレベルね。特殊性がある魔力というのも同じ」
「シアと比べると?」
シアがローズへと疑問を飛ばす。ローズとシアで言えばローズの方が強い。ローズと同じ程の強さであればシアが迎撃できない強さであるとも言えた。
シアの強さなら、の話だ。ローズは首を横に振った。
「お願いだから止めて頂戴」
ローズにはシアが何を言いたいのかが分かってしまう。それは危険な行為であり、ローズが最も避けていたことでもあった。
シアを宥めようと優しい顔をして微笑むローズが、突如として頭を抱えだした。余りにも唐突であったため、三人が駆け寄って様子を見ていた。
「っ!?嘘でしょ。どうして今?」
いつも飄々としているローズが狼狽えていた。シアでさえ珍しいものを見たというような表情だ。
スッと立ち上がり、申し訳なさそうな顔でローズは何が起きたのか口にした。
「ごめんなさい、今すぐディアインに行かないといけなくなったわ。あれの対処もできない」
「どうして?」
「赤い羽根に呼ばれて」
カティナの問いに、ローズの答えは一言だけだった。だがその一言で説得力は十分に過ぎた。
赤い羽根、災害獣の中でも力を持つ存在だ。ローズやシアは、赤い羽根が災害獣の中でも最上位に位置する災害獣だと知っている。直属の部下であるローズは、赤い羽根から塵未満の魔力を受け取っただけで今の力を有しているのだ。羽根が一振りするだけで災害が滅ぶとすら言われる力の持ち主、応えない訳にはいかなかった。
「それなら仕方ない。早く行って、そして帰ってきて」
シアがさっさと行けと追い出すように声をかける。仕事に出かける夫を送り出す妻のように、優しい声色だった。声を聞いたローズは、怒られるのを怖がるような顔色だった。
「ごめんなさい、シア」
ローズの謝罪にクスリとシアは微笑む。二人が逃がしたという災害獣がやってくる方角へと顔を向け、シアは凛とした顔をする。
覚悟を決めた顔だ。ローズがいなくても全力を持って戦うと言う漢らしい覚悟を示していた。
「ローズと同じなら、私でもやれる」
その言葉にローズは首を横にフルフルと振った。どこか必死さすら見える表情に、シアはローズの頭を撫でた。身長はシアの方が低いため、背伸びして撫でる姿は遠目から見れば可愛らしいものだった。
「私は嫌よ。あなたの制御はまだ熟しきってないわ」
「遅かれ早かれ似たような試練は起きたでしょ。なら私は今がいい」
シアとローズの会話にミグアとカティナは入れない。目的が違うのであり、シアとローズには協力要請しているだけに過ぎないのだ。今回迎撃に出てくれたのも、ある意味気まぐれと言ってもよかった。
「ミグア、カティナ。シアのことをお願い」
ローズが二人に頭を下げる。二人はコクンと頷き、了承を示した。
何しろ相手が相手だ。赤い羽根の直属の部下にして災害獣と対等以上に戦える存在、二人でも戦いにならない戦力だ。強者に敬意を払うのは当然であり、頼まれたならそれなりの事情でもない限り断ることはない。
「分かったわ」
「分かった」
ローズは自らを炎の魔力で包ませ、転移して姿を消した。シア曰く、炎を二か所に設置し転移する魔術らしい。遠隔場所に炎を生み出すのは簡単らしく、転移する時によく使うのだと。
突如炎が上がったことでミグアとカティナが驚いていたが、シアの説明で落ち着く。
「で、シアのことをお願いっていうのは?」
カティナの問いかけに、シアはキリッとした顔でコクリと頷き口を開いた。
「私の力をきちんと制御できればローズと同じ以上の強さになれる。でも制御が暴走すると街一帯が吹き飛ぶと思う」
力の制御訓練のためにここにいる、シア達がコルドークに滞在していた目的だ。
実のところ、シア達の目的は既にほとんど終わっていたのだ。人の姿で力を隠して紛れ込むことができるというのは、戦闘面での制御がほぼ問題ないことを前提とした訓練だ。何せこの世界では力を有することが最優先で行うべきことであり、力を示さないことは力があることを前提としている。
故にシアには十分な力を持っており、戦闘でもほぼ問題はない。唯一問題なのは、戦闘での被害に考慮できるのかという点だけだった。そこだけは魔力制御能力がモノを言うのだから。
シア一人なら確かに問題だった。が、ここには魔力制御能力に長けているドワーフの高位軍人がいるのだ。制御能力を訓練する方法も当然知っていた。
「厄介ね。……ねぇ、こんなのはどうかしら?」
非常事態故、ドワーフの知識をカティナが示す。伝達魔術同様、ドワーフの軍人レベルなら誰だって使用可能な魔術だが、人間には知られていない魔術だった。
「へぇ?こんなのあったんだ。それならお願いしようかな」
数分後、ディアインの方角からドス黒い魔力の塊が到来した。魂喰らいの災害獣、ザディアスである。見た目だけで言えば、黒い薔薇の棘の柄が入った白いワンピースを着た黒髪の大人の女性のようだ。
岩人形に憑依しているザディアスだが、下半身がズタボロだった。足は根本から無く、腰も光線で貫通したような跡があった。しかしシア達三人にはボロボロになったスカートしか見えないというように見えており、不気味な風貌にしか見えなかった。
「アら、迎撃がたった三人?私が何者なのか分かっているでしょうに」
クスクスとザディアスは笑う。ザディアスはディアインにルミナ達が来る前から引き籠っていた訳ではない。周囲の町や谷、火山等に何がいるのかを調べてもいたのだ。町にいる戦力がたかが知れていることも知っていた。
そしてカティナ達もルミナ達が戦った相手であることは分かっていた。ガイードとの繋がりがあるミグアの表情が怒りを隠していなかったのだから。
「分かっているわ。町を守るために戦わなければならない時だってこともね」
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「ならさっさと襲わせてもらいましょうか」
どこからか傘を持ち出したザディアスは浮遊したまま町の方角へ飛ぼうと試みるも、目の前に女性のような存在が立ちはだかった。即座に距離をとり、対峙した者の様子を伺う。
対峙した者、シアは自らの魔力を垂れ流し、流した魔力を自らを中心とした球体のように展開していく。
「……私が何者なのか、分かるか?」
男性と女性の声が混じった声が響く。コロコロと可愛らしい女性の声と、どこか中性的な男性の声だ。シアの魔力球の中から声は出されており、声がシアのものだとその場にいる全員が分かっていた。
「アなたが?見たところ普通の人げ……違うわね。何者かしら?内包スる魔力が災害獣と同格以上なのだけれど」
ザディアスの額に冷や汗が流れる。岩人形なのに流れるはずがないのだが、ザディアスが無意識で再現していたのだった。
(カティナさん、お願いしますよ)
シアの声がカティナが先んじてかけていた伝達魔術によりカティナ自身に伝わる。伝わると同時に、カティナは自身の魔力を戦闘用に強化展開しシアにかけていた魔術を強化させる。
「私の名はシア・フィアラヴィンス。私という真実の名であり、仮の名でもある」
シアの声が周囲に響く。シアという女性の名前、そしてそれが本来在る名前ではない事実を。
カティナからの魔術、かけられた本人が本来よりほんの少しだけ魔力制御能力が上昇するだけの魔術であり、なり立ての軍人が身体強化魔術をより強くするために使われる魔術だ。ほんの少しの魔力制御能力の上昇だが、シアが欲しかったのはそのほんの少しの魔力制御能力だった。
少しずつ魔力球が小さくなり、灰色の魔力に隠れていた姿が露わになる。そこにあったのは、中性的な男性の姿だった。
「俺の名はジルク・ラヴィリエント。ローズ……いや、ローザリッサの夫であり、災害獣を喰らった男だ」
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