千切られしモノ ~異世界で魔物となったJKは元の姿に世界に戻りたい~

火ノ鷹

文字の大きさ
上 下
3 / 133
日常を返シテ

放課後のよくある日常 その1

しおりを挟む
「圭介?帰ったんじゃなかったの?」
「あの堅物にスマホ没収されたって聞いてな。それだとそこの二人に何かされないかと」

心配してくれてたらしい。圭介は幼馴染だけど、クラスメイトになったことは小学生のときから数えても3~4回くらいしかない。だというのに、一緒に帰ったりすることは多いからなんだかんだ仲が良い。
そして予想は的中してる。抜けてるのは二人に何かされるなら私がポカをした可能性が高いってことくらい。

「圭介!助けてくれ!」
「……圭介?。あ、羽間くん」
「晴斗に坂元さん、瑠美をからかいにか?」
「もちろんだ!。……それはそれとして優香から助けてくれ」
「残念ながら瑠美はそんなことなくてからかうも何もなかったけどね」

圭介は助けを求めるが、さらりと受け流している。嬉々として人の不幸をからかいにくる友達って悪友っていうべきかな?。うん、ぴったしだ。

「それでからかってさっさと逃げるために荷物も軽めか。入念というべきか何というか……」
「あ!おい圭介!」
「ちょっと!?」
「え、そんな理由だったの?」

圭介も帰るために荷物を持ってきている。が、見た感じだとその量は私よりも多い。でもそれは圭介を知っている人なら当然のことと知ってる。
真面目君って言葉が似合うと言われる圭介だけど……、その理由が勉強は全部家で済ませるタイプだってことだ。家で済ませるなら友達は学校に来てすぐノートに写せる。あたしもそれで助けられたことは一度どころじゃない。

「あんたら圭介を見習いなさいよ」
「知らん」
「私はちゃんとやってるもん」
「そんな態度なら次は貸さん」
「「すみませんでした」」
「二日に一回くらいは借りてるよね、あんたら二人は」

あたしの知ってる限りだと圭介に一番ノート見せてもらってるのはこの二人だ。特に晴斗。
どうも家に帰ったら勉強しないタイプらしく、授業中だとか、変に空いた休み時間だとかに宿題とかもさっさと終わらせるらしい。
それであたしより成績が少し上っていうのがすごくむかつく。こっちは家でも勉強してるっていうのに。
そう軽口を叩いているとあたしの帰る準備が終わった。宿題の準備も完璧だ。煽りに来た二人は帰る準備それでいいのかは知らないけれど、あたしはさっさと帰ることにする。

「あたしは宿題は大丈夫だし、もう帰るけど……、あんたらどうすんの?」
「もちろん帰るさ。煽れなかったのは残念だけど」
「晴斗と同じ。みんな帰る方向一緒だし」
「お、それなら帰ろうか。四人で帰るのは三日ぶりくらいか?」
「教室から一緒っていうのはだいぶ前じゃないっけ。私たち、羽間くん、瑠美、皆違うクラスだし」
「あー確かに。たまにゃいいだろ」
「だいたい帰る途中で見つけたぁ!って言って話してたら誰か追いつくって流れが大概だし、……珍しいか」

いつも帰り路は駐輪場だとかで誰かとだべってるといつの間にか皆寄ってきて一緒に帰る、っていう流れになってることが多い。それ自体は嫌いじゃないし、むしろ好きな方だから構わない。
だからと言って、誰かとだべってないと帰らないという訳ではないけど。

「それじゃさっさと帰りましょ」
「おーけー、晴斗たちはー?」

教科書を入れたリュックをからい、バックを持ってゆっくり教室を出る。圭介も付いてきている、元々そのつもりだったらしいし問題じゃない。

「あ、待って、今足が痺れ」
「知らないわよ。あ、待って瑠美。私も一緒に帰る」

当然だが晴斗は正座していたから足が痺れている。けれど、数分程度しかしてないのだからそれ程ではない……と思う。優香は晴斗にそんな目に合わせておきながらスルーとはなかなかひどいことをする。

「だー!くそっ!痺れ……無視する!」

晴斗が足元を少しふらつきつつも我慢して歩き出す。自業自得なので特に言うこともない。とはいえ流石に三人側が早歩きで歩くのは可哀そうかといつもよりゆっくり歩いてあげることにする。

「あ、そういえば瑠美は何でスマホ取り上げられたんだ?。スマホ鳴るって電話だろ、誰から?」
「ん?、親から。って言っても今かけなおしても仕方ないし」
「親からの電話なら仕方ないわね。……でもそれなら「親から電話です!」って言えばよかったんじゃない?」
「あ」

確かにそうだ。ついでに「緊急かもしれないんで」って言えば電話に出ても何も言われなかった可能性はすごくある。もしそうしていればスマホは取り上げられなかっただろうし、放課後に何もなかった。
くそ、あの時の私を思いっきり殴ってやりたい。

「やっぱ瑠美はどっか抜けてるな。どうせ「あ、なんかきてるなー」とかポケッとしてたんだろうけど」
「そこがいいんじゃない。からかい甲斐があって助かるわ~」
「あたしを怒らせて何をされたいのかしら?」

ピシッとおでこに筋が出た気がした。
思いっきりからかわれているので、バックを持っていない方の手で思いっきり握りしめて拳の形にする。一瞬ゴキッと音がしたのは聞き間違いではないだろう。

「追いついた。ひでーぞ優香!、ちょっとくらい待ってくれてもいいだろ!?」
「あ、晴斗。ちょうどいいから瑠美の生贄になってくれない?」
「ちょっ!?」
「坂元……お前……」

優香のゲスい言葉に呆れてしまう。そんな呆れから脱力してしまうし、握りしめてた拳も開いてしまう。
いや、少し頭に血が上り過ぎてたかもしれない。この三人だと煽られることなんて話しているとかなりの頻度だ。スマホ取り上げられたから暴力的になりやすくなってる。ちょっと落ち着いていこう……。

「いや待って生贄って何ぞ!?俺食べられるの!?瑠美に!?」
「……はぁ、馬鹿らしい」
「お、瑠美神の怒りが治まりになられたぞ」
「瑠美の怒りは天の怒りってこと?。笑いをとるには難しくない?」

アホな晴斗を見てると怒るのも馬鹿らしくなってきた。二人は変な煽りいれてるけど、それすらどうでもよくなってきた。
同時にスマホ取り上げられたり、自分が声上げなかったから悪かったとか、そういうこともどうでもよくなってきた。そういうところには感謝するべきなのかな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界に来たからといってヒロインとは限らない

あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理! ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※ ファンタジー小説大賞結果発表!!! \9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/ (嬉しかったので自慢します) 書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン) 変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします! (誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願 ※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。      * * * やってきました、異世界。 学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。 いえ、今でも懐かしく読んでます。 好きですよ?異世界転移&転生モノ。 だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね? 『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。 実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。 でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。 モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ? 帰る方法を探して四苦八苦? はてさて帰る事ができるかな… アラフォー女のドタバタ劇…?かな…? *********************** 基本、ノリと勢いで書いてます。 どこかで見たような展開かも知れません。 暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。

飯屋の娘は魔法を使いたくない?

秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。 魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。 それを見ていた貴族の青年が…。 異世界転生の話です。 のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。 ※ 表紙は星影さんの作品です。 ※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

処理中です...