転生先は小説の‥…。

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第十二章 分水嶺

密命ー2

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「良き隣人として帝国に誠意を見せたいと思います」
「あ、義兄に倣えですわ」

左隣が義兄だからね。
前述のお祖父ちゃんの指示に従わなければ処分のくだりを撤回させた義兄の交渉力。ただただえげつない人だと再確認したよ。うん、交渉は義兄に任せよう。



「うぐぅ‥‥ この際じゃ全て吐け。儂も密命を教えよう」

血反吐はきそうな形相で言われてもねぇ。


「儂の役目はシアカレンシアと魔力を持つ者らを連れ帰ることじゃ。まぁ有能な者であれば魔量が足らんでも引き取るがのう。シアの替え玉も側におるからいつでも確保に動けるんじゃが‥‥その契約魔法はちいと困る。アドルフと共におるんじゃ替わればわかるじゃろう。しかしアドルフに知られんよう動くとなれば難易度が上がるわい」


俺と義兄はお互い目を合わせ頷き合う。

「お義祖父様、それについて考えがあります。義父上だけではなく三公爵も上手くいけばこちらに引き込めるかも知れません」
「ええ、お祖父様」

戦わずして王城を開城させるために俺の能力を使うのは吝かではない。目指すは十五代将軍みたいな江戸開城な展開。それに親父を助けるついでだし。これで恩が売れるなら売りたい。大売りで。
勿論、売りつけ時の交渉は義兄。営業トークで煙に巻いちゃえ。



でもね、その前に聞きたい。



「お祖父様、どうしても王国を従わせたいの? それしかないの? 国王陛下を退位させ第二王子殿下を即位させて同盟を強化すれば…‥」

お祖父ちゃん、どうしてそんな辛そうな顔するの? 
何だか泣きそうな顔。
ザクワン爺ちゃんも目を伏せてるけど悔しさが滲んでる。
二人にそんな顔をさせる理由がわからない俺は縋るように義兄を見る。

‥‥え、義兄も辛そう、え、なんで?

意味がわかんなくて落ち着かない。どうしたのかと口を開く前に義兄が。



「お義祖父様、レティに、いいえ、ザックバイヤーグラヤス公爵家に恥を雪ぐ機会をお与えください」

畏まった義兄の口からとんでも発言が飛び出した。



は?! 恥を? 雪ぐ? な、何のこと?!

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