転生先は小説の‥…。

kei

文字の大きさ
上 下
273 / 361
第十一章 帝国(お祖父ちゃん)の逆襲

じいじとザクワン爺ちゃん

しおりを挟む

「えー、お館様が厳選を重ねられましたお土産が、レティエルお嬢様のご機嫌をこうも簡単に良くするとは。一介の婦女子に食べ物で釣るなどど愚策を強いられた時はお館様も年には勝てぬのかと心中でダダ泣き致しましたが、ああいやはや、しっかり釣られていらっしゃる。お館様の、お見事でございます。さて、お館様もご満足なうちに煩瑣な話を済ませましょう。さあさあ今のうちですぞ?」

「うわぁ…‥ザクワン伯父さん相変わらず…‥」
「こりゃ、リー坊、人前で伯父呼びするでないと何度言えばわかるのじゃ。こりゃこりゃ」
「フッ」
「プファ」

あっしまった! 笑っちゃったよ、リー坊て。それってジェフリーのことだよね? プププ、何それ。
『妻を娶る甲斐性なしの男は半人前、坊で充分』と自論を炸裂させるお茶目なお爺秘書ザクワンさん。聞けば親戚だと教えてくれた。複雑な事情がありましてと言葉を濁されたので追及は止めたけどね。俺もリー坊呼びしたろかと内心で連呼すればリー坊に睨まれたよ。ププ。



ザクワン爺ちゃんは俺も良く知った人。確か七十は過ぎてたはず。ちょっと独創的な感受性の持ち主、お祖父ちゃんがお祖母ちゃん以外で頭の上がらない人でもあるのだ。困った時のザクワン爺ちゃんである。

因みに今の俺は貢物に真摯に向き合ってる最中なので、ザクワン爺ちゃんは目に入らない。いや入れない。糖度が脳内で炸裂して、ふぉわ~と幸福感を享受中で忙しいからね!
お祖父ちゃんもレティエルのご満悦で頬張る姿に大満足! 眼差しが孫を愛でるじいじだ。デレた顔と世紀末覇者の装いは、ギャップが酷すぎて目に毒だよね。何でそんな恰好なの?


「此度、第一王女殿下のご婚約披露式に第四皇子殿下並びに妹君であらせられる第二皇女殿下がご招待されましたのでお館様が護衛の任を賜ったのです。とは言え責任者は皇子殿下の近衛殿。お館様は名目上の護衛でございます。おかげさまで大手を振って王国に乗り込めました。祝賀の招待客さまさまと申しましょうか。王国も入国審査が甘く、ザルがザルザルでザルザルなままに、このザクワン老婆心ながら国防は大丈夫かと心配になりましたぞ」

えーと…‥話長いね。あと最後のセリフ、それ、感想。まあいいけどさぁ。


最近耳にした人物第二皇女をまたもやここで。ちょっと思い巡らせる。

第二皇女で思い出すのは二つ。
一つは王国の第三王子の婚約者(候補?)がの皇女様。そんな人が来ちゃったんだ。ふーん。
二つ目は二作目のゲームでレティエルと並ぶ悪役の皇女様。うーん、今更感が半端ないわ。
既に俺の前世の記憶は薄らいでいて、【俺】の自我は存在しているがレティエルである自分を受け入れつつあるのだ。断罪イベントの前は区別があった。俺であって俺でない。レティエルで会って彼女ではない。そんな歪な感覚に付き纏われていた。

最近、その境界線が緩く感じるのだ。まだ感じ始めたばかりで、戸惑いが多いのも事実。これは時間が解決してくれないかな?とちょっと本気で願っている。


うん、ゲームシナリオはもうお腹いっぱいです。

うん、君子危うきに近寄らずだよね。素晴らしきかな見習おう。



よし、第二皇女様には、関わらない。

用心の上用心を。今後の方針をサクッと決めた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ご酔眼です。誤字ではありません。お祖父ちゃんは目に余る酒豪でザクワン爺ちゃんは嫌味でこの言い方をしてます。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

少女漫画の当て馬女キャラに転生したけど、原作通りにはしません!

菜花
ファンタジー
亡くなったと思ったら、直前まで読んでいた漫画の中に転生した主人公。とあるキャラに成り代わっていることに気づくが、そのキャラは物凄く不遇なキャラだった……。カクヨム様でも投稿しています。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜

川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。 前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。 恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。 だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。 そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。 「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」 レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。 実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。 女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。 過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。 二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜

白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます! ➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。

愛されなかった公爵令嬢のやり直し

ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。 母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。 婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。 そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。 どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。 死ぬ寸前のセシリアは思う。 「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。 目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。 セシリアは決意する。 「自分の幸せは自分でつかみ取る!」 幸せになるために奔走するセシリア。 だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。 小説家になろう様にも投稿しています。 タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

私のお父様とパパ様

ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。 婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。 大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。 ※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。 追記(2021/10/7) お茶会の後を追加します。 更に追記(2022/3/9) 連載として再開します。

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

処理中です...