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第十一章 帝国(お祖父ちゃん)の逆襲

お祖父ちゃんの部下ー②

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それでお祖父ちゃんを激オコにしたタレコミ情報って、何なの?

さっきはガザの雰囲気に飲まれかけたけど、もう持ち直したから大丈夫。俺はさっさと吐けよとガザを急かす。
俺の変化を嗅ぎ取った義兄とガザ‥‥お前ら似てね?


「グスターファルバ―グ王国のとある高位貴族令嬢の救済をダシにヴォグルフを誘致したと。最初に寄せられたのは偽情報と判断されたのですが、その後、再び寄せられた情報には物証がございました。ですので愚かな捜査員が鵜呑みにしました。それがオルレアン様が軍部を間抜けだと罵った理由でございます」
「えっ?」
「‥‥‥‥‥ちっ」

今の舌打ち、義兄だからね? 俺じゃないよ? 
どうやら義兄の緊張も解れたようだ。良かった。

「提出された物証は、ヴォグルフと同じ研究員の残した手記でして‥‥」

俺をちろっと見たガザの一瞬の躊躇い。気のせいではない…と思いたい。
レティエルを気遣ってくれてんだよね? 俺は信じてるよ? お前の事。
いいか、男は優しさがないとモテないぞ? 


「のち…‥遺書と遺体が発見されたのですが、その手記と遺書にはヴォグルフが篭絡された由とヴォグルフをみすみす死なせた自責の念が綴られておりました。記された内容にオルレアン様は激昂なさり、その場で諫めなければならなかった護衛達は地獄を見たと泣き言を申しておりまして。何とも嘆かわしいことでございます」

おおおおお‥‥おぉ? 最後の情報は要らなくね?


自分の感情をさり気なく込めるガザの容赦ない報告は続く。
ねえ、一先ずお茶飲んで喉潤せば? 俺も情報整理したいよ。
取り敢えず、適当にお茶を進める。まぁ一杯、どうぞ。

その間に聞いた話を反芻だ。情報量が多いと忘れそう。適度に整理する時間が欲しい。義兄は大抵一度聞けば理解&記憶するらしいので羨まし過ぎる。ちょっと俺にも分けて欲しいよ。



「グスターファルバ―グ王国の高位貴族。遺書には関わった貴族の身元も記されておりました故、該当貴族の親戚であるオルレアン様とファーレン家ご当主様に不遜に事情聴取などといった無礼を働きまして。結局はオルレアン様のお怒りを軍部は受け、ファーレン家ご当主様は名誉棄損と賠償請求額の釣り上げと好条件の取引をご提示なさったご様子です。お二方には優位になる取引材料をご用意するようご指示が出されていらっしゃいます」

うわぁぁぁぁ、やっぱ、聞きたくないーーー!!


義兄なんて、内臓出しそうな深い深い、めちゃくちゃ深い溜息、吐いてるし。
ヒシヒシと感じるヤッカイゴト。親戚の理不尽さに、涙するわ。

‥‥はぁ、追加情報のえげつなさに、脱力するわ。



聞けば聞く程、タッカーソン侯爵家に恨みが‥‥あっ、いや、違う。

偽情報は、『ザックバイヤーグラヤス公爵家当主が生死を彷徨う愛娘を救うためにヴォグルフに依頼した。そして彼は亡命と高額報酬に希少薬草の譲与を条件に公爵の願いを聞き入れたが、肝心の娘を死なせたため公爵の怒りを買い処分された』そう記された遺書が一門の研究員の遺体と共に発見され、そして極秘捜査であるにも関わらず、同門の筆頭研究員が声高々に騒ぎ出したため、軍部もお祖父ちゃん達に事情聴取せざる負えなくなったらしい。

これ、まるっきし冤罪だからね。お祖父ちゃんの激オコ、わかるよ。
伯父さんの賠償請求額の釣り上げ…‥上限マックスまでお願いします。
俺達、巻き込んだんだから、きっちり報酬貰うからね?! 伯父さん、しっかり巻き上げてね!!

多分、帝国側の高位貴族二家分と王国の高位貴族並び王国への迷惑料込みで賠償額が鰻上り? な気がする。慎重に捜査をしなかった方が悪いよね? まぁ政治的手腕で乗り越えて下さい、タッカーソンさん。
代わりと言っちゃあなんだけど、お子さんの隷属契約、解術しておくんで!
恩を多大に感じてね? よろしく!

俺の意識が明後日に向いていた間、義兄も義兄で長考してたっぽい。
無意識だろう、何やら悪辣案がポロッポロッ、である。

「ふむ、ファーレン家への賠償の中に販売許可の条約でも入れるおつもりでしょうか。今回の騒動を利用して『妨害工作を謀ったタッカーソン侯爵家』に謂れのない誹謗中傷をされたと、タッカーソンを引き摺り落とす所存でしょうか? ふむ、宣伝に丁度良いのでしょうね」

俺の耳に聞こえた独り言に、慄くわ! 怖いって!

そ、それよりも、俺の引っ掛かりを聞いてーーーって。お願い、気になるの。

「コホン、ねぇ、教えてくれないかしら? どうして生死を彷徨う娘を助けるためにヴォグルフが呼ばれたの? 彼は回復薬の調合をする人でしょう? 回復薬に病気や怪我を治す効力は無いわよね? ね、お義兄様?」

そう、これが理由に上がるのがおかしい。
だって、光系統でなければ治癒は出来ないって聞いたよ? なのに‥‥え?
もしかして…‥、いや違う、あの男は水系統の魔力しかなかった。光系統なわけがない。


…‥これってどういうこと?

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