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第九章 王国の異変
ミッション ポッシブル? ②
しおりを挟むここは領主邸がある侯爵家敷地内。
そう俺達は今ここ。
本邸と別邸を目前に俺達は作戦会議を余儀なくされた。
「ぜぇった~い本邸~ですって、若、お嬢様」
「招客とは思えませんが未婚女性を匿うのなら別館では?」
「他にも招客がいるかも知れません。事前情報に犯罪組織の者の出入りがありますから。ここは別邸ではございませんか」
「ガザ、どちらを監視してたの?」
「‥‥本邸です」
「やった~当たり~」
「ちっ! ジェフに負けた、まだまだです」
「…‥‥別館も怪しいと思います。調査は必要です」
「‥‥‥」
「先ずは本邸、別邸は後回しで良いでしょう。では、ガザ、君に挽回の機会を与える。案内しなさい」
案の定、本邸の夜警も少数で建物は死角だらけ。潜り込むのに問題はない。
「若君、3階に領主の私室と寝室、クレアは2階の客室を宛がわれています。今もその部屋を利用しているでしょう」
「執務室は、1階か。‥‥ガザよ私に伝え忘れはないか?」
「はっ? あ、いえ全て報告しましたが‥‥まだ何かお疑いでしょうか」
「‥‥気を悪くするな。ではハイデと向かいなさい。ハイデ危険があれば調合薬の使用を許可する」
「はっ!」
「お義兄様、わたくし達は行かないのですか?」
「レティ、人数が多いからね。君は私と一緒に執務室だ。ジェフとギルガも」
「執務…室?」
「は~い」「はっ!」
ハイデさん達と一旦分かれて執務室に向かう。
うん、夜中だから人気はない‥‥当たり前か。辛うじて窓から差し込む月明りが唯一の光源。ははは、物陰から出て来そうで‥‥ブルッちゃう。
無言で歩くは変に緊張するから少しぐらい会話してもいいよね。手持ちの遮音の魔道具使えば声漏れしないでしょ。
「お義兄様、執務室にご用ですの?」
「ああ、調べ物があってね。退屈でも大人しくしててね、レティ」
「若君、もしや‥…」
「ふ、さあ行くよ」
ーーーーーーーーーーーー
義兄の目的はクレアじゃなかった‥‥ガザのためでも。
別の明確な目的でこの場にいるんだ。
ギルガも義兄に言われるまでもなく書類に目を通し何かを捜している。この二人は共通の認識で、手際よく書類を裁いて。
‥‥‥うわ、ガザ入れっぽい。
ギルガが手際がいいのは諜報員に成り済ましてたからか?
でもどうして義兄の手際がめちゃめちゃいいのだろう。プロのスパイみたい。コナレタ感じ、半端ないわ~
‥‥はっ! もしかして義兄ってスパイなんじゃ‥‥まさかねぇ
「あれぇ~お嬢様~気難しいお顔~、ま~た見当違いな考えしてますねぇ~」
ジェフリーの指摘にイラッときて思わず彼を睨んでしまった。
丁度、手の平に何か乗せたのが見えた‥‥あれは確か。
「若様、問題が生じました」
ジェフリーの手元からハイデさんの声がして、それに不穏なメッセージ内容。驚いた。
先程手にしたのはハイデさんがジェフリーに向けて飛ばした飛伝メッセージ用の魔術具だったか。
それより、問題って何?!
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