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第九章 王国の異変
見知らぬ人は
しおりを挟む義兄に促されたソファに腰掛け、見知らぬ人物と対面する。
最近、イケメン遭遇率が高かったのだがここに来て目に優しい?俺にとってはホッとする平々凡々、いや違うな、記憶に残り難い影の薄い人物を目にしている。
今この部屋には顔の良い男女が揃っているのに一人ポツンと平凡がいる。
…‥わ~何この親近感~
「レティ、驚かせてごめんね。紹介しよう、彼はお義祖父様の配下の者だよ」
「お嬢様、お初にお目に掛かります。オルレアン様の部下のガザと申します。以後お見知りおきを」
「えっ、お祖父様の部下の方がどうしてここに?」
ここ王国だよね?
何しに? もしかして迎えに? じゃなさそうだね。
俺の質問に直ぐに答えず義兄に視線を送るガザ。
答え難いのか答えたくないのか。
え~、何その視線。義兄の許可待ちなの? 何それ?!
義兄も胡散臭い笑顔でニコリと微笑む。
何それ! 怪しいんですけど!
また影でこそこそと‥‥…い~や違うね、そんな可愛らしいもんじゃない。
もうあれだ、暗躍! 絶対、趣味は暗躍だよね?!
後ろ暗いだらけ(多分)の義兄をまじまじと見てしまう。
何を企んでいるんだろうと疑惑いっぱいの目で見つめてしまった俺に、心外だと言わんばかりに溜息吐いた義兄は答える。
「レティ、君の考えとは違うからね? ガザは偶然ハイデと出会い、情報提供の為に来てもらったから。私が企み事をしているのではないよ? わかったかいレティ?」
うわぉ‥‥俺の思考はバレてた。どうしてわかった?
「お、ほほほ、い、嫌ですわ、お義兄様、企みだなんて。えっと、それはご苦労ですわね。それで、その情報はわたくしにも教えて下さいますの?」
「はぁ‥‥本当は聞かせたくないのだけれど、今回は仕方ないね。可愛いレティに手を出したクレアをお義祖父様は相当お怒りらしくて、ガザはクレアを追ってこの国に来たんだ」
「はっ? クレアですか‥‥」
まさかのクレア?! 予想外の名前に驚いちゃった。
帝国から追っ手を送り込むって祖父ちゃんの本気度が怖ぇ。
捕まえてどうする‥…あっ、いいや知りたくないかも。
「はい。お嬢様。オルレアン様は大層ご立腹でございます。先ず所在を掴み監視するのが私の与えられた任でございます」
「えっ? 監視ですか? ‥‥お祖父様も無茶なお仕事をさせますのね。それは大変ですわね。それでクレアは見つかりましたの?」
「はい。この地の領主の邸に匿われて、大人しく籠っているようです」
「えっ? 領主の邸ですか? えええ?!」
「レティ、驚くのも無理はないね。私も聞かされた時は俄には信じ難くて耳を疑ったから」
えええ、ちょっと待って! ここの領主ってクリスフォードじゃん!
何であいつとクレアが? あいつらに接点ってあったの?!
「王都から逃げて来たクレアが赴いたのは領主の元でした。以前から交流があったのか紹介した者がいたのか、どちらかでしょう」
クレアとクリスフォード?!
この組み合わせって‥…義兄も予想してなかったの? って俺もだけど。
手を組む目的もメリットも判らない二人だよね?
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