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第九章 王国の異変

欲しい魔道具はー①

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「で、で、お嬢様~、どんな魔道具をおねだりしちゃうんですか? 殺傷能力の高い系ですか~、それとも拘束系ですか~」

ワクワクキラキラとこっちを見てくるジェフリーの眼差しが煩い。
本当、こいつ目も口も煩いわ。
この男、エリックの件はもういいの?
本当に、魔道具欲しさだったみたい。

はぁ~、この男の評価、変えた方が良いかな?

ちょっと子犬っぽくじゃれつくジェフリーにウザさを感じていたら、義兄も同じだったみたい。


「‥‥ジェフ、いい子にしていないと魔道具はお預けですよ」
「えー! そんな~、若、俺いい子でしょ~」


あれ、義兄も気安く話すんだよね、ジェフリーと。
ふーん、そっか、そうなんだ‥‥何かモヤっとする。



「レティ、それで欲しい物は? 既存の魔道具?」

「えっと‥‥あるのかどうかわかりませんが、スタン…‥ゴニョゴニョ、あの、器具を身体に当てると痺れて、倒れる? 身動きが出来なくなりますの。それで、気絶してくれたら尚良しです。そんな魔道具はあります?」
「ふうむ‥…痺れに、動けなくなる? 気絶系‥‥成程ねぇ。既存の魔道具にはないかな。そうだね、非力な淑女では男性や騎士には抵抗できないか。力や技術が無くても抗える魔道具が良いね」
「お義兄様、手の平に納まるサイズで、離れた相手も倒せる物が良いですわ。そう‥‥‥」


俺は記憶を探りながら前世のスタンガンを思い描いていた。
あれなら非力なレティエルでも使える。バチバチって電流流せば、いい感じに相手が倒れてくれるだろう。
あ~出来れば、ワイヤー式の飛び出すタイプが良いかな。離れた相手に電極飛ばしてビリビリ痺れさすのが良いな。


「若~、気絶さすなら闇系ですよね? そんな物作れるんですか?」
「ふむ、そうだね。認識を阻害させる程度であれば闇系術式で魔法陣組めばいいだけだけど、気絶となるとねぇ。う‥‥ん、どうしたものか‥‥」
「うう~ん、精神干渉でも意識刈り取るのって無理。物理的に頭に衝撃を与えないと出来ないですよ~、お嬢様って意外と物騒ですね~」

「えー、あ、でも精神に干渉させなくてもショックを与えればいいわけでしょ? えっと‥‥筋肉を強制的に収縮させて体の自由を奪えば‥‥」

あー電流って通じないんだよね。こっちのエネルギーって魔力だしなぁ、説明が難しい~


「例えばビリビリ痺れるとか?」
「痺れ‥‥? ですか」

ジェフリーは痺れにピンときていないのかキョトンとした顔だ。



「ジェフリー、貴方、正座しなさい」
「はっ? セイザ? ですか? それは…‥?」

取り敢えず痺れを実感してもらおうとジェフリーを床に正座させた。
膝を折り曲げて座るのって‥…苦手なんだね、こっちの人。


「お、お嬢様~ちょっと足が痛いです~。何時まで座っていないと駄目なんですか~、ひぇー若~」
「痺れるまでです」
「う~~~」

反省させてる感じが面白いかも‥‥ぷっ。


「さ、もういいかしら? ジェフリー足を崩して立ち上がりなさい」
「うへー、うわっ! 足がジンジンしてるー、い、痛~」
「ふふ、それが痺れですわ。どうかしら? 動けて?」
「うひゃー。い、痛ぇー、ビリリって来たー! おわ~足が、足がー」
「ジェフ、煩いよ‥…どれ?」
「ぎゃー、わ、若! 触んないで下さい~ ひー」

ぎゃいぎゃい騒ぐ二人を見て‥…ちょっとムッとした。
義兄と仲良いよねジェフリーって。
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