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第九章 王国の異変
お調子者ー②
しおりを挟む「レティ、君に知らせたくなかったんだけど。仕方ないね。ここはクリスフォード様が拝領されたラックスファル侯爵領だよ。天候不良に続き管理人の不正、税金の滞納、碌な噂はないね。まさにこの領地は風前の灯火と言ったところかな。馬鹿が領地経営を舐めてかかるから」
「えええ? ここが?!」
まさかのクリスフォードの領地だったとは!
何ていう所に連れて来たんだよ。思わずギルガをジト目で睨む。
「‥‥‥本当にご存じなかったのですか。はぁ‥‥。この領地の収入源に犯罪組織からの上納金が収められていると噂もあります。それだけではなく借金を肩代わりする人物も現れたとか。実は帝国で指名手配されている悪人がこの地に潜り込んでいると情報を得てまして。私は捕縛の任を得てはおりませんが、出来得るならば情報が欲しくて‥‥すみません。隠しておりました」
「まったく君は。‥…そうですね良い事を聞きました。ふふふ、趣向返ししても良い? くくく」
あっ、何か企み始めたよ義兄。すげー悪人面。
ジェフリーなんて、それ見て震え出した‥‥いや、彼奴、喜んでんじゃん!
…‥こいつ、やっぱ変な奴だった。
「ところでギルガ殿? 何かあったのですか? えらく素直じゃないですか~」
唯一理由を知らないジェフリーは興味津々に聞いて来る。
「ジェフ、黙りなさい。彼は私の限定部下になりました。お前の後輩です。ちゃんと世話をしなさい」
「ええ~俺に後輩? わ~、俺、先輩? で、若、何やっちゃったんですか~教えて下さ—い。ねっ、ねっハイデ~教えて~」
「うるさい、お調子者め」
「ハイデ~まあまあそう言わず‥‥仲間じゃないの~。で?」
「ゴニョゴニョ…‥」
「へっ? ぷっ! 騙されて‥‥ ぷぷぷ、若も人が悪い~…‥食ですか? そんなわけないのに~」
「こら、言うなよ?」
「言わない~、で、お嬢様も?」
「しっ!」
何やら楽しそうな二人だけど、何を話しているんだろう。
ちょっと今、お嬢様? って聞こえたけど‥…
ハイデさんはニッコリ笑って何もありませんって。うん、笑顔が怖い。
「は~笑った笑った。それで、若~お邸は何と?」
「ふむ‥‥これはまた…‥。どうやら私を殺めた犯人の処罰が下されたと王城から知らせがあったそうです。それと…‥エリックのお披露目が決まったようですね」
えっ?
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