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第八章 出揃った駒
訳あり女
しおりを挟むジオルドの冤罪と俺と母さんの誘拐未遂事件。クレア失踪と第二王子の関り。
これも俺とどういう関係が? 裏で手を引く人物は同じなの?
暗い表情で思考の海に沈む俺達は無言だ。わかってるんだここで額を突き合わせたところで打開策なんて出やしないってことも。だからと言って何も考えないのは違うだろう。
ジオルドが捕まった理由。ダルさんが思うに、邪魔者だとして排斥されること。派閥に属さない筈の彼を邪魔者とするとすれば考えられるのはヴァンダイグフ前伯爵家当主。此奴が一番怪しいと疑いつつも腑に落ちない点もあると言う。
まだエリックの立場は確約していない、なのに今動くのは早計である。動く理由が他に在れば話は変わるのですがとダルは付け足す。
後の理由は王位継承権はないものの王弟であること。これは陛下の治世を厭う者が一定数以上の貴族がいるらしい。現に秘密裏にジオルドに打診した者がいたって。聞けばかなり危ない橋を渡りかけてんだな。王家にバレればあっという間に謀反の意志ありと見なされ討伐されたぞ? よく無事だったな。
困った。ジオルドよ、お前狙われる理由バッチシあるじゃん!
ダルは冤罪で捕まったジオルドを助けて欲しと懇願するが俺達では無理だな。
無謀な申し出と頭では分かっていても彼的には、それでもやっぱり藁にも縋る思いからか。彼に我が国で縋る人脈が無いのだ。
話を聞いて疑問が湧いた。
ダルは何故ジオルドを助けたいのか。諜報活動の隠れ蓑の場所が無くなるから?
ううん、それだけじゃない何かがダルにはあるんだ。聞きたいけど‥‥。
もう一つは殺人容疑って一体、誰が殺されたの? これは聞いていいよね。
‥‥何その皆の微妙な顔。またしても俺だけが知らないのね。
除け者感半端なくて、ちょっぴり悲しい気分で沈んでいたら
「おいダル、訳あり女って何だ?」
気が付けばギルガがダルに話しかけていた。向こうの話し合いは終わったのか?
「‥‥後にしろ、今は不味い‥‥お前の発言はもっと不味い」
「え~何が? いいから教えろよ‥‥」
二人の遣り取りを小耳にはさんだ所で俺は気が付いた。
「訳ありな女」‥‥確かにそう言ってたな。それって、もしかして俺と母さん?
ギルガは小声だったんだろうが、バッチシ俺達にも聞こえていた。
‥‥ああ、護衛の、それ言っちゃいけない! って顔が
‥‥気を遣わせちゃったか~。何かごめん。
引き攣り顔のライオネルが、ちょっぴり申し訳なさそうに
「訳あり‥‥そうでした。我等失念しておりましたが表向きは奥様は邸内で謹慎中です。お嬢様も鬼籍の人。今は帝国貴族の御身分ですが‥‥どうみてもザックバイヤーグラヤス家のお嬢様です。お二方が公に外を出歩いていると知られると大問題になるのは間違いないかと」
「‥…そうでしたねえ。陛下のご命令でしたわ」
それ、忘れてたーーー!!
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