138 / 359
第七章 それぞれの思惑
思い出すカレンシア
しおりを挟む
カレンシア視点、三話目です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうそう幼いティを人質に取られたと同然でしたわ。あの殿下と婚約…それってあの毒婦が姑になるってことでしょ? どんな嫌がらせよあの王妃。
勿論そんな地獄をティに味わせるのかと旦那様に詰め寄りましたわ。
政治的なお話されてもねえ‥‥それはそれ、これはこれよ。
一人娘が茨の道を歩むのを黙ってみていられませんでしたの、わたくし。
あの王妃にしてやられたかと思うと悔しくて悔しくて煮え湯を飲まされた気分でしたの。
ムシャクシャした腹いせに王宮に広域魔法陣繰り広げ爆撃魔術ぶっ放そうとしたら旦那様に止められましたの。悔し過ぎて離縁状叩きつけて実家に戻ったら慌てた旦那様が追いかけて下さって‥…うふふ。
ですがティがこの縁組を楽しんでると聞かされ渋々了承致しましたのよ。
ええそうなの、『嬉しい』と喜んでいるのではなくて、『今から楽しみ』と。そう旦那様は仰って黒くて悪い笑みを零されたのよね。だから権力の行使を諦め様子を見ることにしたわ。旦那様は『この縁組は時が来れば破談になるよ』…そう朗らかに黒い笑顔で仰って。勿論、旦那様は有言実行のお方、信じました。
わたくしも遅かれ早かれ王家との縁組は不幸な終わりを遂げると思っていましたの。だってティに魔力がある限りこの国では幸せに成れませんもの。神殿の上層部を筆頭に貴族も魔力保持者を異端者と見て差別的で魔力保持者の排斥を願うくせに魔石の需要に与ろうとしているのよ、ふざけないで頂きたいわ。
そうそう、ジオルド様の言うティに毒を盛った犯人、わたくし神殿関係者か神殿支持者ではないかと疑っていますの。ティの安全の為、飲食が許されるのは限られたお茶会。不特定多数の出入りのある場所では必ず侍女が毒見を行うわ。それを掻い潜る‥‥主催者側は同派閥か王家のお茶会しか出席しないティなのに。動機は魔力保持者の排斥ってところかしら? 彼等にしてみれば未来の国母となる娘が魔法を使えるとなれば信仰の冒涜とでも思ったのでしょうね。ふん馬鹿馬鹿しい。そもそもこの国の守護神って魔法を禁じていないじゃないの。曲解してんじゃないわよ! うざったい! 何が神の領域を犯さんと欲す悪しき力よ! お前達、怒りの業火で灰となれ!
…‥イヤだわ口が悪くなっちゃう。
それから、ジオルド様は王妃派の切り崩しだと仰っていましたが、嫌ですわ、既に崩しましてよ。何の為にわたくしが王都にいたと? 王妃って敵の多い方でしたのね、ああも陣営が脆いとは思いませんでしたわ。
あの王妃、隣国と強い繋がりをお持ちでそれを交渉の切り札に良くなさっておいででしたが‥‥好い様に使われて用済みってところでしょうか。隣国も継承権問題で荒れていましたもの。‥…そう言えば王妃と仲の良い大使、罪人になり処刑されたのでしたわね。小耳に挟んだ程度ですので良くは存じませんの。政治に関するお話は殿方の領域ですから。
そう言えば王妃と第一側妃と犬猿の仲でしたわねえ。大方、第二王子陣営が毒でも盛ったのではなくて? 目に余るお方でしたものアレを支える殿方達には同情致します‥…
さて王妃様の身に何が起こったのかしら…‥知らないわよそんなこと。どうせ自業自得なのよ、あのお方らしいわ。
ジオルドはわたくし達を巻き込みたいのでしょう。でもごめんなさいね、わたくしの与り知らぬことよ‥‥悪しからず。
どのみち帝国貴族としてこの国に滞在しているティに‥…他国の貴族であるティが王妃様にお目通りする理由などございませんわ。
そこは間違えないでね、ジオルド様。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読み下さりありがとうございます。
後、二話でカレンシア視点終わります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうそう幼いティを人質に取られたと同然でしたわ。あの殿下と婚約…それってあの毒婦が姑になるってことでしょ? どんな嫌がらせよあの王妃。
勿論そんな地獄をティに味わせるのかと旦那様に詰め寄りましたわ。
政治的なお話されてもねえ‥‥それはそれ、これはこれよ。
一人娘が茨の道を歩むのを黙ってみていられませんでしたの、わたくし。
あの王妃にしてやられたかと思うと悔しくて悔しくて煮え湯を飲まされた気分でしたの。
ムシャクシャした腹いせに王宮に広域魔法陣繰り広げ爆撃魔術ぶっ放そうとしたら旦那様に止められましたの。悔し過ぎて離縁状叩きつけて実家に戻ったら慌てた旦那様が追いかけて下さって‥…うふふ。
ですがティがこの縁組を楽しんでると聞かされ渋々了承致しましたのよ。
ええそうなの、『嬉しい』と喜んでいるのではなくて、『今から楽しみ』と。そう旦那様は仰って黒くて悪い笑みを零されたのよね。だから権力の行使を諦め様子を見ることにしたわ。旦那様は『この縁組は時が来れば破談になるよ』…そう朗らかに黒い笑顔で仰って。勿論、旦那様は有言実行のお方、信じました。
わたくしも遅かれ早かれ王家との縁組は不幸な終わりを遂げると思っていましたの。だってティに魔力がある限りこの国では幸せに成れませんもの。神殿の上層部を筆頭に貴族も魔力保持者を異端者と見て差別的で魔力保持者の排斥を願うくせに魔石の需要に与ろうとしているのよ、ふざけないで頂きたいわ。
そうそう、ジオルド様の言うティに毒を盛った犯人、わたくし神殿関係者か神殿支持者ではないかと疑っていますの。ティの安全の為、飲食が許されるのは限られたお茶会。不特定多数の出入りのある場所では必ず侍女が毒見を行うわ。それを掻い潜る‥‥主催者側は同派閥か王家のお茶会しか出席しないティなのに。動機は魔力保持者の排斥ってところかしら? 彼等にしてみれば未来の国母となる娘が魔法を使えるとなれば信仰の冒涜とでも思ったのでしょうね。ふん馬鹿馬鹿しい。そもそもこの国の守護神って魔法を禁じていないじゃないの。曲解してんじゃないわよ! うざったい! 何が神の領域を犯さんと欲す悪しき力よ! お前達、怒りの業火で灰となれ!
…‥イヤだわ口が悪くなっちゃう。
それから、ジオルド様は王妃派の切り崩しだと仰っていましたが、嫌ですわ、既に崩しましてよ。何の為にわたくしが王都にいたと? 王妃って敵の多い方でしたのね、ああも陣営が脆いとは思いませんでしたわ。
あの王妃、隣国と強い繋がりをお持ちでそれを交渉の切り札に良くなさっておいででしたが‥‥好い様に使われて用済みってところでしょうか。隣国も継承権問題で荒れていましたもの。‥…そう言えば王妃と仲の良い大使、罪人になり処刑されたのでしたわね。小耳に挟んだ程度ですので良くは存じませんの。政治に関するお話は殿方の領域ですから。
そう言えば王妃と第一側妃と犬猿の仲でしたわねえ。大方、第二王子陣営が毒でも盛ったのではなくて? 目に余るお方でしたものアレを支える殿方達には同情致します‥…
さて王妃様の身に何が起こったのかしら…‥知らないわよそんなこと。どうせ自業自得なのよ、あのお方らしいわ。
ジオルドはわたくし達を巻き込みたいのでしょう。でもごめんなさいね、わたくしの与り知らぬことよ‥‥悪しからず。
どのみち帝国貴族としてこの国に滞在しているティに‥…他国の貴族であるティが王妃様にお目通りする理由などございませんわ。
そこは間違えないでね、ジオルド様。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読み下さりありがとうございます。
後、二話でカレンシア視点終わります。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
一家処刑?!まっぴら御免ですわ! ~悪役令嬢(予定)の娘と意地悪(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。
この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。
最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!!
悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
悪役令嬢?いま忙しいので後でやります
みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった!
しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢?
私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
【完結】リクエストにお答えして、今から『悪役令嬢』です。
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「断罪……? いいえ、ただの事実確認ですよ。」
***
ただ求められるままに生きてきた私は、ある日王子との婚約解消と極刑を突きつけられる。
しかし王子から「お前は『悪』だ」と言われ、周りから冷たい視線に晒されて、私は気づいてしまったのだ。
――あぁ、今私に求められているのは『悪役』なのだ、と。
今まで溜まっていた鬱憤も、ずっとしてきた我慢も。
それら全てを吐き出して私は今、「彼らが望む『悪役』」へと変貌する。
これは従順だった公爵令嬢が一転、異色の『悪役』として王族達を相手取り、様々な真実を紐解き果たす。
そんな復讐と解放と恋の物語。
◇ ◆ ◇
※カクヨムではさっぱり断罪版を、アルファポリスでは恋愛色強めで書いています。
さっぱり断罪が好み、または読み比べたいという方は、カクヨムへお越しください。
カクヨムへのリンクは画面下部に貼ってあります。
※カクヨム版が『カクヨムWeb小説短編賞2020』中間選考作品に選ばれました。
選考結果如何では、こちらの作品を削除する可能性もありますので悪しからず。
※表紙絵はフリー素材を拝借しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる