転生先は小説の‥…。

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第六章 狙われた理由。

王妃と毒ー②

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全然、進む気がしない俺達の話し合い。これからは引き締めて行こう。こっそり内心で仕切り直していればジオルドもこちらの意図を感じたのか、お道化た振りを止めてシリアスモードになった。最初からそれでお願いします。





「王妃の毒は致死毒ではないよ。だが体調に影響が出て王妃も怪しんだろうね、今や離宮に籠られ面会を拒絶されている。ご自分の置かれた状況をよくご理解しているのだろう‥‥」



どうやらジオルドは心配のようだ。

言葉尻が小声で何を言ったのかは分からないが頭を軽く横に振り母さんを見る。その表情には困惑が浮かんでいた。



「カレンシア、あの話は本当かい?」



「ええ、残念ながらね」



何の話? ここで母さんに話を振る?



「‥‥僕たちの共闘はここまでにしよう。ああ、約束を反故にしてしまって申し訳ない。だが僕はどんなことがあっても君達を助けると約束する。協力も惜しまない。それは信じて欲しい」



一体何があったんだ。母さんは分かっている顔をしている。



「暫くは様子を見るしかないか‥‥しかしこのタイミングで‥‥」



独り言を呟くジオルドが虚空を眺めて、そしてその重い口を開く。



「王妃は用済みの捨て駒となった。ただ君達‥‥レティエル嬢を囲うための罠として王妃は生き長らえていると見ていい。初めは牽制の為だった筈が、クッ!‥‥彼女の必要性を‥‥」



最後の言葉が聞き取れない。俺達に向かっての言葉でなく自分に言ったのか? 王妃の必要性? ‥‥あれ? 俺なにか忘れてない?





「王妃の件は陛下は関わっていらっしゃらない。まだ彼女には陛下の横に立って貰わなければならなかったから‥…だがそれも、兎に角、王妃派の切り崩しが行われている」



「えっ!?」 



「本当にすまないカレンシア、レティエル嬢。ヴァンダイグフ一族は王妃を捨て駒にザックバイヤーグラヤス公爵家を完全に潰すつもりだと思われる。これは僕の推察だけど可能性は捨てられない」



ど、どういうことだ? ちゃんと説明してくれよ。

母さんは黙ったままだ。多分、親父の意向が分からないからか。





俺は堪らず口にした。



「王妃様の毒の摂取は間違いないのですか? 誤報の可能性は考えられませんか」



「ああ、それはないよ。僕の手の者が現場を目撃している。口封じされなくて本当に良かった。まあ、目撃者が必要な毒飲だったんだろうね。ふふ僕を動かす目的もあったのかも…‥」



ジオルドの声は消え入りそう‥‥‥その意味するところは何なのか。





「やられたよ‥…僕の動きを読まれていたようだ。目算を誤ったね、これで僕も一蓮托生か‥‥」





その先の言葉は続けないのか。何を隠している。







誰も口を開かない。時間だけが経つ。

黙考は後でいい。俺は時間を無駄にしたくない。聞きたいことはまだあるのだ。それにジオルドのこの様子では今後俺達と距離を取りそうだ。そうされると不味い、まだ此奴とダルさんは我が家には必要だって。



しかし‥…



二人は何を隠している? 母さんの出した手札は何だ? 俺に教える気がないのは未だに黙秘しているのがその証拠だ。でも、母さんそれでは俺を守れないよ。



それならジオルドか。目算がどうこう言っていたが、それを教えて欲しい。





此奴の戦意喪失は母さんの話が原因だよな。元々母さんは、此奴の口から王家に関する話をさせるのを嫌がってた。この男の持つ情報って何だ? 多分、俺に聞かせたくない類の話なのは薄々感じた‥…





はぁ~、一人で悩んでも仕方ないか‥‥出来ることやっとこ。

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