115 / 361
第五章 もうゲームとは別物です。
消えた一人
しおりを挟む母さんとジオルドの関係が気になる‥…そう顔に書いていたのかな、母さんが駄目な子を見るような目で見つめてくる。
か、母さんなんだよその顔‥‥‥ああそうか俺の考えを見抜いているわけね、ちょっとバツの悪い思いをして顔を逸らした。
「ふふふ、そう緊張しなくてもいいのよティ…‥そうね貴女は何も聞かされていないのを忘れていたわ。ごめんなさいね。今宵は貴女も知らなければならない話をしましょうか」
母さんは先程迄の笑みを引っ込めて真剣な表情で見つめてくる。
ああ、何かあったんだな‥…いや親父が決めたことがあるんだろうな。
どうか、どうか、家庭を壊す話ではありませんように‥‥‥
部屋への移動後、用心のために結界と消音の魔法陣を母さんが発動させた?
えっ? 今の何? えっえっ、も、もう一回見たい見たい!
ついテンションが上がったのは仕方ないだろ~魔法見る機会がないんだから~
いや待てよ、流れるような母さんの術に見惚れて見逃しそうになったけど、母さん魔封じの道具を身に着けているよね? なのに魔法陣を発動させたの?
ええ、どうやって? 驚きの感情が顔に出ていたのか母さんは悪戯が成功したと良い笑顔で「ふふふ成功ね~」と楽しそうだ。
何その、サプラァ~イズ! みたいな顔。マジで驚いた。
魔封じの魔術具を身に着けた上で魔法展開した母さん。それ魔術具を身に着けている意味あるの?
魔力持ちが魔力を使う。魔力があるからそれを使う。これが本来の姿だよな、権力者の意向で能力を封じられる社会この国はやっぱクソだと改めて思った。
まあそれも入国時の着用義務の魔封じの魔術具も今では担当官への賄賂で誤魔化し放題。国家の魔術具着用の義務が聞いて呆れるわ。
王国は‥…いや王家や一部の貴族達の腐敗度には正直呆れている。王子妃教育の際も王家の事や後ろ暗い貴族の噂は聞いていた。俺は聖人君子でも正義感溢れる輩でもない。レティエルに実害が及ばぬうちは傍観を決め込んでいた。手を出して来たらお返しはするよ。
気に食わないエリックはボコボコで、冤罪容疑(多分だよね?)を晴らして義兄の釈放と公爵家おうちの処分撤回‥‥この際信用ならない貴族もそれ相応に痛い目を見てもらおうか。でもなぁエリックって家の使用人?だろ、個人の罰で終わらせてくれるかな‥‥いや、してもらわないと俺が安心して帝国に行けないじゃん!
もう悠長に構えるのは止めよう‥‥‥
親父の考え次第なのは分かっているが時と場合によっては逆らうのも致し方ない。結果的に公爵家の被害がなけれ‥‥いや利となれば許してくれる筈。
はぁ~なるだけ意向に沿おう‥‥でもその前に母さんの話を聞かないと‥‥‥これが一番厄介だなぁ
俺の動揺を気取られないよう目の前の母さんに集中した。
内心のドキドキが嫌な感じだ。頼むよ~~離婚話でありませんように!
でも気不味い話をする前にさっきの魔法陣の種明かしして欲しいなぁ~
ーーーーーーーーーー
母さんと話をしている間、女好き主従コンビは良い仕事をしてくれていた。
ジオルド達はこの場に残った専属護衛達に魔力残滓を見つけて侍従のダルに解術させていた。女好きって思ってゴメンね。
丁度、専属達は一人を望いて全員揃っていた。だがその一人の存在を俺以外は誰も覚えていないと言う。
母さんもそいつはじいちゃんの選抜雇用メンバーの中にはいなかったと。
恐らく逃げる際に記憶を弄って痕跡を消したのだろう。
グレイン達にも同じように記憶操作されていた。同じ奴の仕業と思われている。彼女達は巻き込まれたとジオルドがそう教えてくれた。
一体何時から紛れ込んでいたのか、誰の差し金か。
俺の身の周りって安全でなかったんだと身震いした‥…
0
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる