転生先は小説の‥…。

kei

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第五章 もうゲームとは別物です。

ガリレシアからの手紙

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レティエル視点です。

ジオルドがザックバイヤーグラヤス公爵家に忍び込む前日の話です。

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「レティエルお嬢様、お手紙です」

見覚えのある紋章の書簡を受け取ると差出人は待ちに待ったガリレシア伯爵令嬢からだった。以前、お願いしたジオルド公爵とメモ書きの商会について調査結果だと思うと漸く届いた手掛かりに心が逸る。

ふむふむ何と書いてあるんだ‥…

ジオルド公爵と商会の繋がりは不明…‥か。ではエリックとジオルド公爵が繋がって‥‥下手すれば後ろ盾の可能性があるわけだ。これは面倒だな。

ふむふむジオルド公爵は噂通りの人か、ちょくちょく若い女を雇い入れて使用人の入れ替わりが激しいらしい。女好き公爵のことだ使用人でもお構いなく手をだしてんじゃねえか? 

ん? 黒い噂? はっ、何だこれ‥‥奴隷商人との裏取引? 

証拠がないだけで結構な噂が立っているってか。マジかよ。この国は奴隷売買は禁だろ。‥‥‥これマジだったら不味いよな。王弟のくせになにやってんだか。

手紙の内容はジオルドが違法取引の常習の疑いありを示唆していた。

考えたくはないが、こいつレティエルを買う気でいたのか? う~ん、断定はできないけど、かなり嫌だ。
どんな奴だったっけ? 会ったことある筈なのに覚えていない。イヤ~黒い噂のある人物とはお近づきになりたくないな。回避一択だね。

それと商会は‥‥現在所在不明か。逃げたかそれとも元々存在しない商会だったか。いや商会は国と領主に報告(登録)の義務が課せられている。不定期な監査や市場調査もあって商会や商人の動向は国や領主にしっかり掴まれている。税金が関係するからな。目を光らせるわ。

…‥ちょっとおかしいぞこれ。

公爵家も伯爵家も足取りが掴めない? それはないだろう。意図的に隠さない限り家のお抱え諜報員が何も掴まないのは不自然だよな。情報を隠しているか、それか本当に存在しない商会か‥…わかんね~わ。
エリックの手駒として警戒だけ怠らなければ今はいいか。 


気を引き締めて手紙の続きだ。

…‥これ‥…伯爵領との共同事業、親父が手を引いた?

貴族達の公爵家の利権を狙う動きが活発化‥‥ああ、災害復興の遅れている領地がドサクサに紛れてか。ハイエナかよ。俺では良くわからん。商務的なことは義兄が請け負っていたし親父は政まつりごとで多忙な身だったし。レティエルは王家に嫁ぐ予定だったから公爵家の内情は知らされていない。商品開発にしても俺は案を出すだけで製品化や流通は義兄が一手に行っていた。
うわ~、親父や義兄に任せっぱなしだったよ~。彼等はレティエルを甘やかすからね。俺もそれに慣れ切っていたわ。今もこうして守られている。


このまま守られっぱなしでいいのかな…‥はあ、ちょっと悩む。
おっと、悩んでいる場合じゃないな、続き続き‥‥え~と何々?

「はっ?」

そこにはクリスフォード元王子の側近候補だった奴等3人が揃ってザックバイヤーグラヤス公爵領と王都で他国の商人と行動を共にしていたって? 今は行方が分からない‥‥‥

あれだよな断罪のあと貴族から平民堕ちの処分を食らったんだっけ。そいつらが? えっと、高位貴族のあいつ等が商人? うっそ、信じられねえ。人に頭を下げることを知らない奴等だぞ、それならあいつ等が仕組んで公爵家を嵌めたって言われた方がまだ信憑性があるな。

‥‥‥しかしこのあからさまなのイヤな感じがする。

結局、何も分からず仕舞いか‥‥‥



ん、もう一枚あったのか‥…どれどれぇ…‥え? 

「はあ?」思わず声が出たわ。

社交界で母さんとジオルド公爵の甘い噂が再燃? えっ? 前にもあったの? それより二人は知り合いなの? 俺知らないよ…‥


ああ、追加情報の第二王子が帝国訪問ってのが霞むくらい母さんの噂が気になるんだけど。

母さん、これ噂だよね…‥

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