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第四章 新たな攻略対象者 隠れたままでいて欲しかった。
レティエルの魔力ー②
しおりを挟むパッカパッカと聞こえてくるリズミカルな蹄の音がどこか平和的だ。
とても拉致犯と被害者が同乗しているとは思わないだろう。
手掛かりかどうかもわからないメモと許可書を手に俺は、そんなことを考えていた。
‥‥無情にも馬車は揺れ動く。
「このまま乗っていればアジトに着くか?」
焦燥から俺は悪手を選ぼうとしていた。
俺が悶々と悩んでいるとエリックが意識を取り戻したようだ。
苦虫潰したような顔で睨みつけてくる。
「くそ、油断した。‥‥はっ? お前、逃げなかったのかバカな女だ。逃げていれば…‥」
ムカついたので繋げたままの魔力を操作しました。
あ~ちょっとした出来心で。
どうも、エリックからエネルギーを吸い取っているようだ。
死なせない程度に吸い取ってますね。
当然俺の魔力は増し増しです。
当のエリックは再び気絶している。
ああなるほど。
ゲームのレティエルがヤバイ魔法使うっての、このことか!
他人の体内で魔力を自由に動かせるのか。しかもエネルギーの補給もかよ。
‥‥レティエルは特殊魔力持ちだったんだ。知らんかった。
他人から吸収したエネルギーを自分の魔力に換えることが出来るって。
ちょっと怖すぎ。
まさか、こんな形でレティエルのヤバイ能力が分かるなんて…。
悪役令嬢どころじゃないよな。
これじゃ、魔女だ。
…‥ちょっと冷静になろうか?
これバレたらヤバくない?
レティエル魔女どころか悪魔扱いされちゃうレベルでヤバイんじゃね?
隠蔽か!
証拠消さなきゃ!
もしかして帝国のじいちゃんが俺に帝国籍を取得させたのもこれが理由?
じいちゃんの帝国勧誘、凄かったし。
多分、母さんから聞いたんだろうな。
ああ、しまった。
母さんから絶対に魔力を他人に流すなって注意受けてたのに。忘れてた。
やっちまった。
緊急事態だから許される‥‥はずだ。
…‥って、今は回顧している場合じゃない。
兎に角、身の安全をキープしなきゃ。家族が心配だけど今はグッと我慢。
丁度、馬車が止まったので俺は逃げることにした。
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