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第四章 新たな攻略対象者 隠れたままでいて欲しかった。
推察してみたー②
しおりを挟む‥…公爵家の状況を考えてみようか。
俺が行方知れずになったと公爵家では捜索隊が編成されているだろうな。
もし母さんも行方不明のままだったら俺達の捜索隊が別個に編成されているか。
この状態で公爵領に攻め込まれたらちょっと不味い。
俺達が人質扱いだと公爵家は迂闊に手出し出来ないだろう。
厳粛な領主なら領地を守るため人質を切り捨てそうだが、あの親父ならそんな非道なことはしない。いや、出来ないんだ。
なんせ俺と母さんは帝国貴族籍を有している。そしてもっと恐ろしいことに皇帝の親戚だ。
だから俺と元第一王子の婚姻は彼奴の地盤固め(王妃の目論見)と帝国との関係強化(王の目論見)とがあったんだと思う。後で分かったことだけど元王子との破局後弟王子達との縁談話が出たらしい。
親父と義兄がめっちゃキレてた。こわかった。
それもあって俺を逃がす算段を付けた筈、なのに今ここ。なんでだ。
俺と親父達の計画は頓挫した。
いらんちょっかいを出してくる輩がいるのはわかった。
でも要求がわからないんだ。
俺を狙ってか、親父を狙ってか。それとも公爵領地を狙ったのか。
情報が少ない。だけどそれでも可能性を考えないと。
でもでもでも‥‥疲れたわ。
久し振りに頭使ったからめっちゃ疲れた。
疲れを意識したら甘いもん欲しくなったわ。
糖分ほしー。
侍女ちゃん。お願いなんか用意してよ。
序でに休憩するし。
侍女ちゃんにお茶と甘い物を用意してもらって休憩してます。
‥‥一人でお茶するの寂しいな。
ねえねえ侍女ちゃん。お話しようよ。
えっ?ダメだって。そんなー。
俺寂し過ぎて病気になっちゃうよ? いいの? 俺病気になって。
おっ、揺れてる揺れてる。あと一押し。
ここに来て日光にも当たっていないし、お喋りもしていない。
こんな環境は不健康だと思わない~?
あ~あ、病気になったら誰の責任かな~。
あっ侍女ちゃん、深い深いため息ついた。ふふふ。交渉成立。
俺は取り敢えず取り留めのない会話をすることにした。
侍女ちゃんの警戒心が半端ないしね。
俺は警戒はしていない。侍女ちゃんの役割はあくまで俺の世話ぽいし。
聞くと俺が閉じ込められて4日経ってた。びっくり。
この部屋で目覚めたのが2日経ってからだって。
ふーん。あの魔術具の効果がどれ程かは分からないが公爵領からそんなに離れていないのかも知れない。
もしあの魔術具で一週間とか眠ったままだとしたら俺の体力は落ちているだろうし普通に食事は摂れなかったと思う。
あっそういえばこの部屋で初めて食事をした時、殆ど食べれなかった。
腹が減っていないのかと思っていた。
でも2日も寝たままだったら胃が小さくなるわな。そうかなるほど。
えっ水分だけは飲ませてくれたの? 侍女ちゃんが? ありがとね。
侍女ちゃんとの大切な語らいの時を終えて再度、思考を始める。
糖分補給したからね。ちょっとは頭働くでしょ。
えっと公爵領地から1日以内で移動可能な距離は‥‥。
雨の降る夜中だ。そうそう早く移動は出来なかっただろう。
でもな、そんな悪天候の中、馬車が走っていれば捜索隊に目撃されたんじゃないの? 母さんを捜すのに人手出したからね。
確か捜索範囲は王都へ向かう道、隣の領地に向かう道、そう言えば倒木はどの地点だった? 王領地内だったよな足止めくったのは。
ううーん。すると俺ん家から見ると王都の方角は北東か。隣の領地なら若干南に降る感じ? 地図が無いと分かり難いわ~。
それなら有力な可能性は北西方面か西だと領地を超えて帝国に差し掛かるし、公爵領は広大だ。領地内でないなら北西?
でもな、捜索隊の目を上手く潜り抜けたとしたら俺の予想は当てにならない。
ううー。
もう、お手上げだ。
誰か助けに来てよ。頼むよ切実に。
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