転生先は小説の‥…。

kei

文字の大きさ
上 下
76 / 359
第四章 新たな攻略対象者 隠れたままでいて欲しかった。

推理してもー②

しおりを挟む


侍女が控え目にお茶を用意しましょうかと尋ねて来た。

俺は悠長にお茶なんか飲む気になれなかったが、今はこの侍女から情報が得られないか探ることにした。

取り敢えず彼女に聞いてみよう。


「貴女は知っていて? わたくし一体どうしてここにいるのかしら」

「わたくしは何も存じ上げません。ただお嬢様の身の回りのお世話をするよう言い遣っただけでございます」

「そう。それなら貴女に依頼したのはどなたかしら」

じっと侍女の顔を見つめるが彼女は無表情で佇んでいる。

まるで人形のようだ。こわ~




公爵家に出入り可能な者の身元はしっかりと調査されている。親族まで。

雇うとなれば身元保証人の推薦が必要だ。ほいほいと雇用などしない。

これはどこの高位貴族でも同じだ。

スパイを入れかねないからな。


そう考えるとあの侍女さんは‥…?

母さんの専属侍女だから身元は調査済みだろう。

帝国からこの国に来てまで俺を埒る動機は何だ?

犯人が帝国側だったら帝国に入国してから犯行に及んだ方が確実だろう。

他国でやるなんてリスクが大きいぞ。

だったら犯人は国内の者か。

でもそれだと俺は死亡扱いだ。それこそ俺の生存を知っている者になる。

なら第二王子か? 王子が俺を埒らせるか?これこそ不可解だわ。

あの王子なら俺に帝国貴族籍があるのを知っているだろう。

俺の身に何かあれば一応皇族の血筋でもあるからリスクが半端なく大きいぞ。

帝国(祖父)にバレたら報復が怖いわ。

多分、王国乗っ取る気で攻めるだろうな。手段は知らないよ?

それよか、母さんの行方が分からなくなったのと関係あるとみるべきか。

それとも別口? どさくさ紛れにしては準備が整いすぎだ。

前から計画していたと思うべきだな。

あの侍女さん、母さんの身に何かあったから俺に魔術具を作動させたんだろう。

だとするとあの侍女さんは母さんの身に何か起こるって知っていた?

若しくはもしもの場合を考えて事前に母さんと打ち合わせをしていた?

それだと母さんも危険を承知していたことになる。

一体何に巻き込まれているんだ俺達。

あ~あ~わからんっ!



俺が内心で頭を搔き毟るほど苛立っていたら侍女さんがお茶を出してくれた。

気持ちが安らぐハーブティだそうだ。



あー美味い。



俺疲れてるわー

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる

花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

【完結】リクエストにお答えして、今から『悪役令嬢』です。

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「断罪……? いいえ、ただの事実確認ですよ。」 *** ただ求められるままに生きてきた私は、ある日王子との婚約解消と極刑を突きつけられる。 しかし王子から「お前は『悪』だ」と言われ、周りから冷たい視線に晒されて、私は気づいてしまったのだ。 ――あぁ、今私に求められているのは『悪役』なのだ、と。  今まで溜まっていた鬱憤も、ずっとしてきた我慢も。  それら全てを吐き出して私は今、「彼らが望む『悪役』」へと変貌する。  これは従順だった公爵令嬢が一転、異色の『悪役』として王族達を相手取り、様々な真実を紐解き果たす。  そんな復讐と解放と恋の物語。 ◇ ◆ ◇ ※カクヨムではさっぱり断罪版を、アルファポリスでは恋愛色強めで書いています。  さっぱり断罪が好み、または読み比べたいという方は、カクヨムへお越しください。  カクヨムへのリンクは画面下部に貼ってあります。 ※カクヨム版が『カクヨムWeb小説短編賞2020』中間選考作品に選ばれました。  選考結果如何では、こちらの作品を削除する可能性もありますので悪しからず。 ※表紙絵はフリー素材を拝借しました。

冷たかった夫が別人のように豹変した

京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。 ざまぁ。ゆるゆる設定

処理中です...