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第三章 攻略対象三人目 第二王子は曲者です。取扱い注意。
おまけ:思い出すー③
しおりを挟むおまけ3話目。ラストです。
◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇
「ライムフォード第二王子殿下、指をどうかされたのですか?」
俺は先程から王子が右の人差し指を親指で押さえているのに気が付いた。
(なんだ?)
「うん、さっきしゃがんだときかな、お花のとげがささっちゃって。ぬいたのにまだいたい」
「えっ? (まじか? お付きと護衛、やばいよ。君らの不注意になるよ?)」
「うーん、おすといたい」
あーそれまだ刺さってるな。
しゃーない見てやろう。
「王子指を見せてください」
王子ははにかみながらおずおずと指を差し出して来た。
(あー素直でよろしい。どれどれ…やっぱ残ってる。だけどこれ取れないぞ?針で刺すわけにはいかないよな~。どうしようか)
俺は少し逡巡して、王子が可愛いのもあって棘を処分することにした。
そう、俺の珍妙な魔力を使って。
俺の身体に巡る魔力を傷口の中に流し込む。(あくまでイメージね)
異物があればそれを捕らえて分解できるから棘を絡めとってしまうイメージで。
小さい棘だったので直ぐに処分できた。良かった。
でも傷口は塞げないからね。
王子はポカ~ンとした顔で指と俺の顔を交互に見やる。
どうやらもう痛くないようだ。あーよかった。
王子は何が起こったのかわからないだろうと思っていたが、
「‥…いたくない。まほうみたい」
うおおお、王子正解したよ~。誤魔化さないとな。
「王子痛くないですか。良かったですね。でもこれは魔法じゃあありませんよ。刺さったあとは少し痛みが残ります。時間が経てば痛いのは消えますけど。王子は丁度痛みが消える時間が今だったのでしょうね」
(どうかこれで騙されてくれ)
王子は俺の顔をまじまじと見ていた。
何か言いたそうだ。
指を見て俺を見て、この繰り返し。
‥‥子供って同じこと何度もするよな。しつこい程に。
何度か繰り返した後やっと顔を上げた。
「傷口からなにかはいってきた。それでとげがなくなったよ」
うおおおおおおー。しっかりバレてるよ!
ああ失敗した。実は今日魔封じの器具を外していたのだ。
そもそも俺の能力珍妙だからね~
外していても問題ないかと思ったのが間違いだった。
使えるなら使っちまうわな俺なら。
この王子ちょっと頭緩そうに見えたから油断したよー
はあ。
「王子。わたくしが指を触ったからそう感じたのですか。確かに棘を抜きました。でもそれは軽く指を押したからです」
「ええ~?」
「ええそうです。わかりましたか王子」
俺は子供相手でも容赦なく圧をかける。
この王子素直そうだからな。誤魔化せるか?!
「うーん、わかった」
俺は心底ホッとした。
俺は結構な時間が過ぎていたことに気が付いた。
(そろそろお茶席はお開きかな? 戻らないと)
さてさて寂しがり屋の王子もそろそろお部屋に戻らせないと色々と不味いだろう。それに王妃に見つかりそう。
さっきからお付きの人がチラチラ見てくる。うざい。
「王子、喉は乾きませんか? 水分は摂りましたか」
「うん。僕のどかわいちゃった」
「そうですか。じゃあ王子、何か飲みに行きましょうか」
俺はそう言って王子をお付きの人がいるところへ連れて行った。
(頼むよ、子守ちゃんとしろよな~)
バトンタッチだ。
「では王子。ごきげんよう」
「えーもう帰っちゃうの? まだいいでしょ?」
ダメに決まってるでしょ。お付きの人の顔怖いわ
「王子。またお会いしましょう。わたくし王妃様にご挨拶しないといけません。ですので今日はお別れです」
王子はえーと言いながらも渋々またねと聞き分けてくれた。
ふー良かったいい子で。
俺は誤魔化せたことで安心していたから王子がぼそっと呟いた言葉を聞き漏らしてしまっていた。
「‥…まほう…つかい」
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