62 / 361
第三章 攻略対象三人目 第二王子は曲者です。取扱い注意。
有意義な時間
しおりを挟むあの日、王子はそれ以上の追求はせずに王都へと帰って行った。
公爵領で数日の滞在を希望されたが家人が出払っているので丁重にお断りをした。
こいつわかってて言ってるよな? どこまで本気か冗談かわからない。ふざけた野郎だ。
いやマジでホント勘弁しろよ。
未だ俺以外の家族は王都にいる。
母さんも暫く留まるそうだ。俺の後始末だと思うと面目次第もない。
すまん。
今は領地で大人しく過ごす予定だ。
一応、俺の生存は秘匿なので、邸宅からは出ずに本館で暇を持て余していた‥‥訳ではない。
今、母さん付きの侍女から帝国貴族に必要な知識を叩き込まれている。
ウヒィーー
だがしかし、これは基礎だから手は抜けれない。俺が困ることになる。
それと基礎授業には魔法も含まれているのだ。これは嬉しい。
俺の魔法に関する知識は幼児の頃に母さんから少し手解きを受けた程度だから、ほぼゼロだな。
全くの初心者だよ。だから一から丁寧にお願いします!
俺は期待に胸を膨らませながらまだ見ぬ魔法について妄想していた。
ああ、楽しい。
―――――――――――――
初めての魔法の授業。
‥…感慨深い‥‥。
始めて耳にする言葉ばかりだが俺はまるで乾いたスポンジが水を吸う如くスルスルと知識を吸収した。
だが残念ながら魔封じの器具は付けたままなのだ。魔術は使えない。
室内だから少しぐらいはいいのでは? と思うのだが侍女さんは許してくれない。
ルールはルール。と頑なだ。ちえっ。
まあ幾ら領地の屋敷内といえど誰に見られるかもしれないし。
用心するに限る。
俺は独りの時間でも魔法について考えていた。
前世のテレビとか物語りとかゲームとかの知識が勝ったと思う。
ついついい脳内イメージがテレビで観た魔法になちゃうのだ。
侍女さんからも覚えが良いと高評価いただいた。
おおー褒められると調子に乗っちゃうよ。
俺は褒められて延びる子だから。侍女さんもっと褒めて。
こうして俺は暇を持て余すことなく帝国に行く準備を着々と進めていた。
第二王子が陰に隠れて動き出していることに気が付かず‥…。
0
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる