転生先は小説の‥…。

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第一章 攻略対象一人目 正しい第一王子の取り扱い方

婚姻無効ー⑤

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「ふっ、ふざけないで! あんた悪役令嬢でしょっ! 何、勝手なこと言ってんのよ。ヒロインは私よ! これは私のイベントなのよ! 邪魔しないで! あんたなんか大人しく断罪されればいいじゃない! 黙れ黙れ、黙れ!モブ共!」



「マ、マリエラ! 黙るんだ! おい、お前達マリエラを黙らせろ!」

王子は必死に側近候補に指示を出す。その顔には悲壮感がありありと現れている。

胸中では、こんなはずではなかった。今頃はマリエラと浮かれに浮かれて甘い時間を過ごしていただろうに‥‥。何故こうなった? 何が起こったんだ? 俺が間違えたのか? ならどこで間違えたのだ…。

いくら自問自答を繰り返してみても答えは出ない。当たり前だ。王子は浅慮な考え方しかしない。己の迂闊さに気が付くこともない。

マリエラは自分を窘めようとする王子も攻略対象者(側近候補達)にも頭に来ていた。

ふざけるな! マリエラは再び叫んで暴れている。
レティエルは怒り心頭のマリエラの形相にちょっぴりビビッていた。

(このおんなこわいよ~。俺のことも睨んでくるよ~)

実はレティエル、女性に対してはチキンハートなのだ。

ビビりが過ぎて涙目だ。



今の今まで静観していた神官長がそっとレティエルの肩に手をやる。

そして低音ボイスの良い声で、会場の護衛達に王子とその仲間を連行するよう指示を出した。

神官長はレティエルの涙を拭いながら優しくもう大丈夫だ。怖がらなくていいと慰めてくれた。

神官長はちょっと誤解している。

レティエルは可憐で心優しいご令嬢だと。

‥…人って自分が信じたいことにしか目を向けないよね。

内心レティエルはちょろいぞ神官長と思いながらも、この場は乗っかることにした。

ありがとう神官長!

ようやく騒動は終焉に向かう。

後は、神官長にお任せだ。王子が退室した後のこの場では一番の高位者だ。



レティエルは神官長に丸投げを決めた。

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