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目覚めたあと

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 「お前、本当に何も覚えていないのか? 全く?」

 目覚めたあと、入れ代わり立ち代わり人が訪れ、状況が分らずに混乱を招いたが、見知った顔がチラホラ。どうやら多大に心配をかけたようだ。

 (ひぇ~、皆さん、ごめんなさい-)

 まだまだ経過観察が必要と言われ、今だベットの住人である。憔悴した神官さんと疲労困憊の髭おじから見下ろされ、具合はどうかと心配される。

(知らない間に、めちゃくちゃ過保護になってない?!)

 状況説明を受けたものの、いまいちピンとこないで困惑したアイナだ。どうしたものか、思い悩んだところでどうにもならないと開き直る。考えても無駄なことは、無駄なのだから。

 いくら睡眠中のことを聞かれても、寝ている相手に、その質問は無茶だ。
 声に出して言わないが、心の中で呟いてやり過ごす。

(はぁ…私の方が知りたいよ。‥‥それにしても、何か大事なことを忘れてる気がする。あ~思い出せない!)


「おう、ガキンチョ。お前、暫くこの邸で療養な。呪いを身に受けたんだ、後遺症が出ないか様子を見たい。いいな? 大人しくこの家の主の世話になれ」
「えっ、そんな‥‥ご厄介になってもいいのですか? 私、記憶も、身元もわからない子ですよ? ご迷惑じゃ‥‥」
「はっ! ガキが生意気言うんじゃねえよ。主が良いって言ってんだ。ガキはガキらしく大人の世話になっとけ。変に気を使うな。アホたれ」
「ぬぅ…わかりました。後でお家の方にご挨拶します」

 分かり難いが、どうやら髭おじの心遣いのようだと、不器用な相手に、クスリと笑みが零れる。



(確かに幼女だもんね。大人の庇護下に置いて貰えるのはラッキーね)

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