50 / 71
呪夢ー⑨ 続き
しおりを挟む
✿
「こんな場所に呼び出して用向きは一体なんだ」
「ふふ、お日柄も良く‥‥珍しいお菓子を頂きましたの。ご一緒に如何と思いまして」
「ふん、ご機嫌を取ろうとしても無駄だからな!」
くっ、この子と仲良くできる気がしないわ。先生、これ無理じゃない?
「あら、おほほほ。ご機嫌を取ろうだなんて。おほほ(怒)」
「ふん、気を惹きたいのなら、まあ仕方がないな。ふん、その珍しいお菓子とやらを食べようではないか」
くぅ、何て捻くれた子供よ!
そう、今は先生の研修室に王子様を呼び出した先生と3人でお茶をすることになったのだ。
どうしてこうなったのか‥…私が聞きたいよ。
切っ掛けは何度となく繰り返した作戦会議で、王子様ってもしかするとフローレンスちゃんに気があるのでは? と。くーちゃんの暴言が。
「ねぇ、私達、何か思い違いしていないかしら?」
「くーちゃん?」
「今まで、フローレンスの悲劇を回避するのに躍起になっていたでしょ? それがもし違っていたらと思ったの」
「‥‥それ、前提条件が違うってこと? じゃあ誰?」
「そこよ~それが問題なの。ねぇ誰だと思う?」
いや聞いたの私なんだけど‥‥まあいいか。
「そうだね。私達以外と思うのが妥当かな」
「‥‥そうよね。となると貴女の妹ちゃん?」
「う‥‥ん、それも…違う気がする。だって王子とくっつけた回あったでしょ。それでも巻き戻ったもん。違うんだよきっと」
「そうかぁ…はぁ。一体これ誰の世界なのかしら…」
ポリ、ポリッ、ガリッ、 ズズズ~~
「ちょっと貴女、緊張感無いわね。もう少し気を引き締めなさい。もうっ」
「ごめん。でもさ~二人でいる時ぐらいよくない?」
「…そう…ねぇ…ねえ、フローレンスと結ばれなかった人って誰かいた? レギオンと赤髪の幼馴染に言い寄って来た男性に…まだな人いたかしら?」
「う~ん、そう言えば…あれ? 肝心の王子とは一度も結婚してなくない?」
「えっ? それ本当?」
「うん。結局、結婚式を挙げる前に死に別れちゃうからまだだよ」
くーちゃんは何かを考え策を練る。私は横で小腹を満たす。うん、適材適所。
「もしかして…もしかしてよ、この世界って‥‥王子様の?」
「? え~~ないない、ないよ~」
「そう? でも王子様は本当にフローレンスを嫌っていたのかしら? もしかしてよ、実は好きだったり?」
「うえ~最悪じゃん! ‥…でもその可能性もあるのかなぁ」
「でしょ? こうなりゃあの手この手よ!」
「う~まあ確かに? でもねぇ…間近で見てても、そう見えないの…」
くーちゃんの目力に負けた。
「うう、わかった。で、どうすればいい」
「そうねぇ…一番の邪魔は妹よね。消す?」
「わわわっ! それ止めてーー! 穏便でお願いします」
「冗談よ。ふふ。うーん、そうなるとフローレンスが頑張るしかないか~」
「うっ! これ以上、何を頑張れと?」
「だからぁ貴女が王子様に甘えるの!」
‥‥‥それは無理ゲーではなかろうか。
✿
くーちゃんの作戦には無理がある。と思うのは私だけだろうか。でもそれしか手がないと言われれば、そうかと従うしかない。ふー、困った。
教室で物思いに耽るフローレンスをジッと見ている視線に気が付かない私には王子の…男の子の恋心を知るなんて高等技術は装備されていないのだ。
先生に指摘され始めて知ったよ。王子、ストーカーの素質あるじゃん!
やはりどう考えてもこのミッションはこなせない。
私に任すと進展しないと判断したくーちゃんによるお膳立てが功を奏した。
先生、英断です!
今、くーちゃんの研究室で私と王子はお茶をしてる。ちょっと色々言いたい言葉は呑み込んでますよ。大人だからね!
そう言えば、王子と二人でお茶飲む(くーちゃんもいる)ってあったかな?
覚えている範囲ではいつも誰か(義妹)がいた。
そうか、私達って二人で話した時間が少なすぎたのかも。
「こんな場所に呼び出して用向きは一体なんだ」
「ふふ、お日柄も良く‥‥珍しいお菓子を頂きましたの。ご一緒に如何と思いまして」
「ふん、ご機嫌を取ろうとしても無駄だからな!」
くっ、この子と仲良くできる気がしないわ。先生、これ無理じゃない?
「あら、おほほほ。ご機嫌を取ろうだなんて。おほほ(怒)」
「ふん、気を惹きたいのなら、まあ仕方がないな。ふん、その珍しいお菓子とやらを食べようではないか」
くぅ、何て捻くれた子供よ!
そう、今は先生の研修室に王子様を呼び出した先生と3人でお茶をすることになったのだ。
どうしてこうなったのか‥…私が聞きたいよ。
切っ掛けは何度となく繰り返した作戦会議で、王子様ってもしかするとフローレンスちゃんに気があるのでは? と。くーちゃんの暴言が。
「ねぇ、私達、何か思い違いしていないかしら?」
「くーちゃん?」
「今まで、フローレンスの悲劇を回避するのに躍起になっていたでしょ? それがもし違っていたらと思ったの」
「‥‥それ、前提条件が違うってこと? じゃあ誰?」
「そこよ~それが問題なの。ねぇ誰だと思う?」
いや聞いたの私なんだけど‥‥まあいいか。
「そうだね。私達以外と思うのが妥当かな」
「‥‥そうよね。となると貴女の妹ちゃん?」
「う‥‥ん、それも…違う気がする。だって王子とくっつけた回あったでしょ。それでも巻き戻ったもん。違うんだよきっと」
「そうかぁ…はぁ。一体これ誰の世界なのかしら…」
ポリ、ポリッ、ガリッ、 ズズズ~~
「ちょっと貴女、緊張感無いわね。もう少し気を引き締めなさい。もうっ」
「ごめん。でもさ~二人でいる時ぐらいよくない?」
「…そう…ねぇ…ねえ、フローレンスと結ばれなかった人って誰かいた? レギオンと赤髪の幼馴染に言い寄って来た男性に…まだな人いたかしら?」
「う~ん、そう言えば…あれ? 肝心の王子とは一度も結婚してなくない?」
「えっ? それ本当?」
「うん。結局、結婚式を挙げる前に死に別れちゃうからまだだよ」
くーちゃんは何かを考え策を練る。私は横で小腹を満たす。うん、適材適所。
「もしかして…もしかしてよ、この世界って‥‥王子様の?」
「? え~~ないない、ないよ~」
「そう? でも王子様は本当にフローレンスを嫌っていたのかしら? もしかしてよ、実は好きだったり?」
「うえ~最悪じゃん! ‥…でもその可能性もあるのかなぁ」
「でしょ? こうなりゃあの手この手よ!」
「う~まあ確かに? でもねぇ…間近で見てても、そう見えないの…」
くーちゃんの目力に負けた。
「うう、わかった。で、どうすればいい」
「そうねぇ…一番の邪魔は妹よね。消す?」
「わわわっ! それ止めてーー! 穏便でお願いします」
「冗談よ。ふふ。うーん、そうなるとフローレンスが頑張るしかないか~」
「うっ! これ以上、何を頑張れと?」
「だからぁ貴女が王子様に甘えるの!」
‥‥‥それは無理ゲーではなかろうか。
✿
くーちゃんの作戦には無理がある。と思うのは私だけだろうか。でもそれしか手がないと言われれば、そうかと従うしかない。ふー、困った。
教室で物思いに耽るフローレンスをジッと見ている視線に気が付かない私には王子の…男の子の恋心を知るなんて高等技術は装備されていないのだ。
先生に指摘され始めて知ったよ。王子、ストーカーの素質あるじゃん!
やはりどう考えてもこのミッションはこなせない。
私に任すと進展しないと判断したくーちゃんによるお膳立てが功を奏した。
先生、英断です!
今、くーちゃんの研究室で私と王子はお茶をしてる。ちょっと色々言いたい言葉は呑み込んでますよ。大人だからね!
そう言えば、王子と二人でお茶飲む(くーちゃんもいる)ってあったかな?
覚えている範囲ではいつも誰か(義妹)がいた。
そうか、私達って二人で話した時間が少なすぎたのかも。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
転生悪役令嬢は双子執事を護りたい~フィギュア原型師は推しの為なら異世界生活も苦じゃありません!~
天咲 琴葉
ファンタジー
推しのフィギュアを公式に認めてもらうーーその一心で人生最高傑作を造り出した私。
しかし、企業との打ち合わせ前に寄ったカフェでフィギュアの原型を盗まれそうになり、犯人と揉み合った挙げ句刺されてしまう。
目が覚めると私は赤ちゃんになっていた。
母が私を呼ぶ名前はーー推しであるイケメン双子執事の主、悪役令嬢サシャ!?
ならば私の目指すべき未来は1つ!
推し達の幸せは絶対に私が守る!
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
神々の仲間入りしました。
ラキレスト
ファンタジー
日本の一般家庭に生まれ平凡に暮らしていた神田えいみ。これからも普通に平凡に暮らしていくと思っていたが、突然巻き込まれたトラブルによって世界は一変する。そこから始まる物語。
「私の娘として生まれ変わりませんか?」
「………、はいぃ!?」
女神の娘になり、兄弟姉妹達、周りの神達に溺愛されながら一人前の神になるべく学び、成長していく。
(ご都合主義展開が多々あります……それでも良ければ読んで下さい)
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しています。
幼女神の物見遊山観光記
小雨路 あんづ
ファンタジー
世界はいつだって気まぐれだ。
神様だって手を焼くくらい……。
この世界の創造主は「キメラ」と呼ばれ、神として崇拝されていた。
現在、その名を継いだ少女の名は…咲也子。
その日、咲也子はいつも通り自分の「才能」たちとお茶を楽しんでいた。
和やかな慣れ親しんだ時間……。
だがそんな空気も虚しく、突然「世界の気まぐれ」によって知らない場所へと飛ばされてしまう!
帰る方法はひとつだけ、「誰かが迎えに来るのを待つこと」。
それまで帰れない!?
神といえども(見た目的に)幼い非力な少女の運命や如何に!
しかし当の神様は呑気なもので。
気まぐれな世界の事など知らん顔だ。
出不精な彼女としては久しぶりの外の世界。
せっかくだし楽しんでいこうじゃないか。
思いっきり観光と洒落込むことにしよう、と。
百年余りも引きこもりっぱなしだった神様が、世界を満喫し始める!
そこで出会った<災厄>と不遇な名をつけられた心優しいモンスターとともに……。
先代の作った世界を生きる様々な人々に出会い、触れ合いながら。
迷宮に足を運んでみたり、
モンスターに挑んでみたり、
奴隷を買ってみたり、
自分の祀られている神殿に行ってみたり、
冒険者スクールに行ってみたり。
時々美味しいお菓子をつまみながら紅茶を飲んで、
のんびり気ままに小さな神様観光中!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる