上 下
26 / 71

診断結果は呪われっ子

しおりを挟む

 「お前、呪われたぞ」


 ‥…髭おじ、何言ってんの?

 「聞こえなかったか? お前、呪いを受けたな」

 ‥…師匠呼びしないからって嫌がらせ? 大人気ないぞ!

 「だぁかぁらぁ、お前、呪われてんだよ。呪われっ子」

 ‥‥あんたは子供か!


 「おい、聞いているか? チッ! 言葉の意味がわからねえのか。くそ、だからガキは嫌なんだ」

 ‥…聞こえてるし意味わかるし。髭おじの言い方に戸惑ったの!

 うら若き乙女に対してその言い方はないわ、ないない。



 なぜ冒頭から髭おじに不吉な言葉を掛けられたのか‥…

 診察が必要だと言われ、医者じゃなく髭おじに診察されただけでも不服なのに、その診断が冒頭のセリフ。ちょっといい加減怒ってもいいかな私。

 ‥‥診断したなら説明義務放棄しないでちゃんと言葉で説明して欲しい。

 不満顔でジトリと髭おじを睨んでいると観念したのか説明を始めた。

 「経緯は知らねえがお前は呪術具に触れた。それが僅かだがお前の体内に残っているんだ。‥‥と言ってもお前にわかるか?」
 「わかるわからないではなくて、わかるように説明して下さい。その、呪術具とは一体何ですか? 呪いと言いますがそんな象徴的な言葉でなく具体的に説明して下さい。それで?」

 グイグイ行くのは仕方ないと思う。だって意味不明な言葉で誤魔化そうとする髭おじが悪い。説明は相手が分かって初めて説明になるのだ。自分だけ理解してては駄目なんだぞ、髭おじ。

 
 「お、おう、わかった。しかし、お前本当に幼女か?」
 「ええ、まごう事なき幼女ですが何か?」

 メガネがあればクイって上げてるよね。

 「‥…まあいい。本来の術具は魔力を使って具現化するための補助目的で魔術具がある。生活補助の魔術具や医療補助、軍用補助と言った多岐に渡る用途の魔術具が作成されているのは‥‥お前は知らないんだな。それは追々教えるか。それで呪術具は‥‥禁術の術具でな、今はどの国も製作禁止だ」

 「え? はっ?」

 (? 何言ってんのこの人。魔術具? え? マジックグッズ? マジシャングッズ? 多岐に渡るマジックグッズ?!)

 不吉な言葉を聞いたがマジックグッズの響きで楽しくなった。多岐に渡るマジックグッズ! ふわぁぁ~、ちょっ面白そう! 何だか宴会芸に持って来いじゃない?! うわ~隠し芸にピッタリ! 

 わ~私も一つ二つ欲しいな、宴会グッズ! いいね! 
 マジックショーを思い浮かべてニマニマした私を見た髭おじが、

 「‥‥理解してない顔だな。仕方ない、一丁ここで見せるしかないか」



 そう言って髭おじが出して来たのは小瓶。ちょっと形が徳利に似てなくはない代物。その徳利には記号なのか図形なのか文字なのか、見たことのない絵柄が刻まれていた。それに向かってどこから出したかペンサイズの棒切れを一振り。

 動作のショボさが手品だね。マジックと手品だったらどっちがそれっぽい言い方かな? やっぱ手品だよねこれは。

 どうでもいい事を考えているうちに髭おじは何処からか出してきた小さいコップ。そんなモノ出してどうするの? ニヤリと笑った髭おじは小さいコップに徳利の中身を注ぎ、中に水が入っていることを私に確認させた。

 徳利に刻まれた絵柄に手を触れた髭おじは心なしか嬉しそう。笑みを浮かべて小声で何か喋った。聞き取れない。


 「おう、出来たぞ」

 何が?!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生悪役令嬢は双子執事を護りたい~フィギュア原型師は推しの為なら異世界生活も苦じゃありません!~

天咲 琴葉
ファンタジー
推しのフィギュアを公式に認めてもらうーーその一心で人生最高傑作を造り出した私。 しかし、企業との打ち合わせ前に寄ったカフェでフィギュアの原型を盗まれそうになり、犯人と揉み合った挙げ句刺されてしまう。 目が覚めると私は赤ちゃんになっていた。 母が私を呼ぶ名前はーー推しであるイケメン双子執事の主、悪役令嬢サシャ!? ならば私の目指すべき未来は1つ! 推し達の幸せは絶対に私が守る!

いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と

鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。 令嬢から。子息から。婚約者の王子から。 それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。 そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。 「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」 その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。 「ああ、気持ち悪い」 「お黙りなさい! この泥棒猫が!」 「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」 飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。 謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。 ――出てくる令嬢、全員悪人。 ※小説家になろう様でも掲載しております。

神々の仲間入りしました。

ラキレスト
ファンタジー
 日本の一般家庭に生まれ平凡に暮らしていた神田えいみ。これからも普通に平凡に暮らしていくと思っていたが、突然巻き込まれたトラブルによって世界は一変する。そこから始まる物語。 「私の娘として生まれ変わりませんか?」 「………、はいぃ!?」 女神の娘になり、兄弟姉妹達、周りの神達に溺愛されながら一人前の神になるべく学び、成長していく。 (ご都合主義展開が多々あります……それでも良ければ読んで下さい) カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しています。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。

▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ...... どうしようΣ( ̄□ ̄;) とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!! R指定は念のためです。 マイペースに更新していきます。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

処理中です...