目が覚めたら奇妙な同居生活が始まりました。気にしたら負けなのでこのまま生きます。

kei

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測定は、健康診断ではないの?

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 周囲も自分も冷静を取り戻した今、流石に看過できない状況に置かれたと警戒心が高まる。場の雰囲気に飲まれかけたがよく考えてみると変な話だ。

 (…弟子にするって、それ使い走りのことでしょ!?)

  幼女にパシリをさせるのか? そもそも弟子は自ら希望して入門するものではなかろうか。有無を言わさず強制的にされるものではないと思う。

 もの凄く嫌な予感しかしない。ここは幼児らしく地面に寝転んで手足をバタバタさせ拒否るべきか、悩む。

 私は忙しくしていたジェーンさんをひっ捕まえて『測定』の説明を頼んだ。認識の相違を確認したいのと弟子入りの話を断って欲しいのとで必死でジェーンさんに食い付いたのだが…‥‥

 「そうだったわ貴女記憶が無かったのよね~。じゃあ測定も知らないわよね。あのね測定は成人を迎えるまで毎年測らないといけないの‥‥‥」

 忙しい彼女の時間を割いてまで説明してくれた内容に頭を抱えてしまう。彼女の荒唐無稽な話は俄には信じられない‥‥‥

 (いや、真に受けてどうするよ私。ここは笑うとこなの!?)

 今の気分じゃ笑えない、笑えない冗談を聞かされた時ほど気不味いことはないだろう。子供向けのジョークを思い付いたから言ったのだろうか、狙った受けが外れた時のことは考えなかったのだろうか。

 (引き攣った笑みしか返せないよジェーンさん!)

 「測定は魔力を測っているの」

 言われても笑えない。

 測定は魔力を測り必要があれば教会に引き取られ養育され、成人後は教会に従ずる事が決まっている。己が持つ魔力を国の為、教会の為に行使する事が義務。これは孤児に適用だと言う。

 要約するとこんな感じだった。

 どうしてこうふざけた話が出来るのかと彼女を睨んでしまった私は大人気ないだろうか。それともここは幼児らしく「わ~い」と喜べば良いのか? 

 ‥‥馬鹿馬鹿しさに乾いた笑みが零れる。

 室内は微笑むジェーンさんに対峙した苛つきの隠せない幼児の二人、空気はめちゃくちゃ悪い。イライラを隠す気はもう無い。どう聞いても人権侵害ではなかろうか。孤児だからと言って将来を勝手に決めらるなんて溜まったもんじゃない。怒りが湧いてきた。

 真剣な相手に冗談で切り替えすことに苛ついたのか、人の気持ちを無視して弟子にされたことにムカついたのか、孤児への差別が許せないからか、何がそんなに腹立たしく気分を害したのか自分でも良く分からない。分からないが非常にムカムカしている。

 

 「はあ? ‥‥‥ふざけないで下さい。真面目に答えて貰えますか」

 ムカつきで幼児の振りなどしていられない。イライラが口調を尖らせたのは許して欲しい。

 (‥‥いい大人が何言ってるの? そんな冗談要らないから!!)

 「あらあらアイナちゃん、どうしたの怖い顔して? …‥本当に何もかも覚えていないのねぇ」

 ちょっと首を傾げ困った様子を見せるが考えを読ませないジェーン。

 「‥…魔力は分かるかしら?」
 「‥…わかりません」
 「そこからなのね‥…口で説明するより見せた方が早いわねぇ」

 

 返答と共に溜息を吐いて神官さんのいる隣の教会に連れて行かれた。
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