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今日は測定日です。

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 「皆さん、今日は測定の日ですよ」

 ジェーンさんの一声で始まった本日。
 一大イベント的なノリで孤児院は沸き立っている。

 子供達はソワソワと浮足立って落ち着きがなく中でも年長の男の子は「俺が」「一年待った」「引き取られる」と騒いで煩い。


 (何言ってるのかわからないけど楽しみなんだね~去年と比較して自慢したいの? やっぱ男の子だねぇ)

 燥ぐ男子に生暖かい視線を送るアイナは初測定。体力か身体かどっちかだろうと見当をつけたがアイナ的には両方御免被りたい。体力は底辺、身体もチビ。測る需要が見いだせない。


 早く早くと急かされて一同食堂に。既に大人の姿が見えた。

 子供を待ち受けていたのは、隣の教会の神官さん、白とオレンジのローブを着た恰幅のいいオジサン、無精ひげでローブなのか踝まであるロング丈の黒い服を着た30代(?)のオジサン。三人もいた。

 (医者じゃないよね。神官さんと似たローブだから教会の人なのかな) 

 神官は顔見知りだが後のオジサンは初顔。で、人相が悪い。何となく顔に傷でもあればモグリの天才医者っぽいなぁと前世で見た何かを思い出していた。

 挨拶もそこそこにさっさと測定するぞと無精ひげさんが急かしてくる。

 ‥‥この、せっかちさんめ。



 肝心の測定はと言うと。

 何をしているのか分からない‥‥。アイナが知っている測定とは程遠い光景に戸惑う。なんせ、オジサンたちの前にあるお盆?の上に手を置くだけなのだ。

 (ええ~もしかしてハイテク? 手が触れただけで何かわかるの? 血圧? 血中濃度? え、え、なになに?)

 思いもかけない所でハイテク技術を見た、とアイナはちょっと悲しくなった。ハイテクまで行かなくても他に文明進めるところあるじゃん、やるせなさで泣いた。 

 数人が終わり、あの年長の男の子の番が来た。思わずと言うか一人意気込む姿を興味本位でジッと見てしまった。

(あれ? キラリ光った?)

 他の子では現れなかった現象にアイナは目をパチパチと瞬く。見間違いかと目を疑ったが、オジサンズも子供達も「おっ」「わっ」「すごい」とはしゃぐのだから疑うことなく光ったようだ。

 (? 無駄にハイテク‥‥)

 男の子は褒められ羨ましがられで、ご満悦だ。

 良く分からないが光らせたら喜ばれることは分かった。ならばそれは健康優良児の証拠か。殆どの子供は光らなかったことが気になるものの無邪気に喜ぶ男の子が可愛く見える。男の子は『引き取られる』と喜び、周囲の子から、いいな、いいなと羨ましがられていた。
 
 いよいよアイナの番だ。最近栄養が足りていないと自覚がある、この測定で食改善出来ないものかと思案してみる。

 (‥…でも何で光るんだろ?)

 そもそも何の測定か知らないわと今更ながら疑問が湧いた。

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