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悲しみは突然に
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人を好きになるのは、初めてだった。達也さんの前までは、ただ彼氏というステータスが欲しいという理由で付き合っていた。だから、初めて好きと思えた達也さんに好きって言ってもらえて、付き合えて、すごく嬉しかった。
私の人生の中で、すごく幸せな時間だったのに、人生はなかなか上手くいかないものです。
「たーつや!今日は私を選んでくれたんだね♡」
「その言い方やめろよ。誤解されるだろうが」
「だって、達也全然かまってくれないからさ~。それに、いっぱいいる女の子から選び放題なのは事実じゃない」
「……」
「でも、私みたく達也の女遊びの凄さを知ってる人は良いけど、知らない人は勘違いしまくりでほんと可哀想!ちょっとは痛みとか感じないのー?」
「いや、感じるけど、1人じゃ満足できないんだから仕方ないだろ。それに、色々な女の子を喜ばせて生きていくことが俺の人生の楽しみなんだからさ~」
「ほんと罪な男ね~」
これは、私が達也さんとデートをした日のこと。デートが終わって達也さんと別れた後に、その付近で傘を置き忘れたことに気がつき、別れた場所に戻ったときに達也さんと女の人との会話を聞いてしまったのだ。ほんと、私って運が悪いわよね。いや、むしろ良かったのかな。
私は、思わず達也さんに話しかけてしまった。
「達也さん、今のどういうこと?」
「……!み、緑ちゃん……」
達也さんは、すごく驚いた表情をして、私の方へと振り向いた。
「今の話、本当なの?」
「……言い訳するつもりはない。さっきの話は事実だよ」
「そんな……」
「俺は、君以外にもたくさん呼んだら来てくれる女の子がいる。君には、うぶな女の子として、俺の側にいてもらう設定だった」
「……」
「それで、緑ちゃんさえ良ければ、これからも俺の側にいてくれないかな?」
「最低っ。さようなら」
「緑ちゃんっ」
達也さんがあっさり認めたこと、それでも俺の側にいて欲しいと堂々キープ宣言をされたこと、すべてに怒りが湧いてきて、私はその場をすぐに立ち去った。
でも、私が達也さんに別れを告げて、その場から離れている途中で、達也さんは「ちっ。俺みたいな男の側にいられるのに何なんだよ。ま、良いか、あんな女いなくても他に腐るほどいるしな」と隣にいた女にぼやいているのが薄っすらと聞こえた。
正直、達也さんに腹が立つ気持ちはあるけれど、それ以上に自分の見る目のなさにも嫌気がさした。ほんと、恋愛なんてしなければ良かったと思ってしまった。
これが、達也さんと付き合い始めて3ヶ月後の出来事だった。
お姉ちゃんに話したら、責任を感じちゃうんじゃないかとか思ったりして、話すべきか話さないべきか悩んだけど、いつかはバレてしまうことだし、話すことにした。
「ただいまー」
「おかえりー!今日達也くんとデートだったんでしょー?どうだったー?まあ、あの感じだとラブラブなんだろうけど!」
「……別れてきた」
「え?!どしたの?!」
「実は……」
私は、お姉ちゃんに今日あった出来事をすべて話した。お姉ちゃんは、いつに無く真剣に私の話を聞いてくれた。
「そうだったのね……。達也くんって、なんか真面目な風に見えるけど、なんとなく軽い時があるなと思ってたけど、そういうことだったのね。ごめん、緑、ほんとごめん……。私のせいだ……。私が達也くんの本性に気がついて別れていればこんなことにならなかったのに……」
「お姉ちゃんが謝ることじゃないし、全然お姉ちゃんは悪くないから!私がきちんと見分けられなかっただけ」
「緑……」
「しばらく、恋愛はいいかもって思ったわ~」
「そっか。よし!今日はとことん飲もう!」
「いや、私未成年だし」
「そうだった!じゃあ、私が緑の分まで飲むわ!」
「それ意味ある?!」
姉は、やっぱり責任を感じちゃってるようだけど、完全に私の見る目のなさが産んだ結果だ。本音を見破るのって難しいことだなって改めて感じてしまった。
あー、もう恋したくないー!
そして、もれなく私はしばらく、恋することを辞めようと決めた。
1ヶ月後……。
「俺、鳳蝶さんと別れたんだ」
一ノ瀬からそう告げられた。
「そう、なんだ。理由は?」
「前の彼氏が忘れられなくて、もう一度頑張ってみることにしたって言われた」
「なるほど」
「それで、俺と友達になってくれないか?」
「ん?」
「俺と友達になってください」
「んー?」
なんだか、色々なことが起きすぎて、頭が追いついてないんですけど、とりあえず、あ、私たちまだ友達ではなかったんだと思った。まあ、確かに以前よりたくさん話すようにはなったけれど、友達って感じではなかったかと冷静に思い返してみる。
一ノ瀬は、私の戸惑いはスルーして、話を続けた。
「まあ、友達になったというふりを鳳蝶さんの前だけでやってもらえれば大丈夫だから」
「はあ、なるほど。私と親しくなったというステータスがあれば、お姉ちゃんにもまた近づけるってわけね」
「その通り」
その後、一ノ瀬は私のおさがり彼氏にならない理由も説明してきた。別れてすぐに私のおさがり彼氏になったら、軽い男だとお姉ちゃんに思われてしまうかもしれないから、そう思われない方法で尚且つお姉ちゃんに近づく方法といえば、私の友達になることだと結論付けたらしい。
「一ノ瀬って、なかなか策士よね」
「まあな」
「それにしても、私にメリットがないんだけど?」
「お前が姉から彼氏をおさがりしてもらってるってみんなに言っていいのか?」
「うわ、急にげすいなー。はいはい、友達になってあげましょう。好きな人の為ならほんとすごいわね」
「よし、決まりだな」
また面倒なことになったわね。まあ、一ノ瀬とカップルするよりかはマシか。
うー、家帰ったらお姉ちゃんはどんな様子なんだろ。まあ、お姉ちゃんから振ったわけだから、普通か。というか、お姉ちゃんって元彼忘れられない系女子だっけ?んーこれは調査する必要がありそうね。
私の人生の中で、すごく幸せな時間だったのに、人生はなかなか上手くいかないものです。
「たーつや!今日は私を選んでくれたんだね♡」
「その言い方やめろよ。誤解されるだろうが」
「だって、達也全然かまってくれないからさ~。それに、いっぱいいる女の子から選び放題なのは事実じゃない」
「……」
「でも、私みたく達也の女遊びの凄さを知ってる人は良いけど、知らない人は勘違いしまくりでほんと可哀想!ちょっとは痛みとか感じないのー?」
「いや、感じるけど、1人じゃ満足できないんだから仕方ないだろ。それに、色々な女の子を喜ばせて生きていくことが俺の人生の楽しみなんだからさ~」
「ほんと罪な男ね~」
これは、私が達也さんとデートをした日のこと。デートが終わって達也さんと別れた後に、その付近で傘を置き忘れたことに気がつき、別れた場所に戻ったときに達也さんと女の人との会話を聞いてしまったのだ。ほんと、私って運が悪いわよね。いや、むしろ良かったのかな。
私は、思わず達也さんに話しかけてしまった。
「達也さん、今のどういうこと?」
「……!み、緑ちゃん……」
達也さんは、すごく驚いた表情をして、私の方へと振り向いた。
「今の話、本当なの?」
「……言い訳するつもりはない。さっきの話は事実だよ」
「そんな……」
「俺は、君以外にもたくさん呼んだら来てくれる女の子がいる。君には、うぶな女の子として、俺の側にいてもらう設定だった」
「……」
「それで、緑ちゃんさえ良ければ、これからも俺の側にいてくれないかな?」
「最低っ。さようなら」
「緑ちゃんっ」
達也さんがあっさり認めたこと、それでも俺の側にいて欲しいと堂々キープ宣言をされたこと、すべてに怒りが湧いてきて、私はその場をすぐに立ち去った。
でも、私が達也さんに別れを告げて、その場から離れている途中で、達也さんは「ちっ。俺みたいな男の側にいられるのに何なんだよ。ま、良いか、あんな女いなくても他に腐るほどいるしな」と隣にいた女にぼやいているのが薄っすらと聞こえた。
正直、達也さんに腹が立つ気持ちはあるけれど、それ以上に自分の見る目のなさにも嫌気がさした。ほんと、恋愛なんてしなければ良かったと思ってしまった。
これが、達也さんと付き合い始めて3ヶ月後の出来事だった。
お姉ちゃんに話したら、責任を感じちゃうんじゃないかとか思ったりして、話すべきか話さないべきか悩んだけど、いつかはバレてしまうことだし、話すことにした。
「ただいまー」
「おかえりー!今日達也くんとデートだったんでしょー?どうだったー?まあ、あの感じだとラブラブなんだろうけど!」
「……別れてきた」
「え?!どしたの?!」
「実は……」
私は、お姉ちゃんに今日あった出来事をすべて話した。お姉ちゃんは、いつに無く真剣に私の話を聞いてくれた。
「そうだったのね……。達也くんって、なんか真面目な風に見えるけど、なんとなく軽い時があるなと思ってたけど、そういうことだったのね。ごめん、緑、ほんとごめん……。私のせいだ……。私が達也くんの本性に気がついて別れていればこんなことにならなかったのに……」
「お姉ちゃんが謝ることじゃないし、全然お姉ちゃんは悪くないから!私がきちんと見分けられなかっただけ」
「緑……」
「しばらく、恋愛はいいかもって思ったわ~」
「そっか。よし!今日はとことん飲もう!」
「いや、私未成年だし」
「そうだった!じゃあ、私が緑の分まで飲むわ!」
「それ意味ある?!」
姉は、やっぱり責任を感じちゃってるようだけど、完全に私の見る目のなさが産んだ結果だ。本音を見破るのって難しいことだなって改めて感じてしまった。
あー、もう恋したくないー!
そして、もれなく私はしばらく、恋することを辞めようと決めた。
1ヶ月後……。
「俺、鳳蝶さんと別れたんだ」
一ノ瀬からそう告げられた。
「そう、なんだ。理由は?」
「前の彼氏が忘れられなくて、もう一度頑張ってみることにしたって言われた」
「なるほど」
「それで、俺と友達になってくれないか?」
「ん?」
「俺と友達になってください」
「んー?」
なんだか、色々なことが起きすぎて、頭が追いついてないんですけど、とりあえず、あ、私たちまだ友達ではなかったんだと思った。まあ、確かに以前よりたくさん話すようにはなったけれど、友達って感じではなかったかと冷静に思い返してみる。
一ノ瀬は、私の戸惑いはスルーして、話を続けた。
「まあ、友達になったというふりを鳳蝶さんの前だけでやってもらえれば大丈夫だから」
「はあ、なるほど。私と親しくなったというステータスがあれば、お姉ちゃんにもまた近づけるってわけね」
「その通り」
その後、一ノ瀬は私のおさがり彼氏にならない理由も説明してきた。別れてすぐに私のおさがり彼氏になったら、軽い男だとお姉ちゃんに思われてしまうかもしれないから、そう思われない方法で尚且つお姉ちゃんに近づく方法といえば、私の友達になることだと結論付けたらしい。
「一ノ瀬って、なかなか策士よね」
「まあな」
「それにしても、私にメリットがないんだけど?」
「お前が姉から彼氏をおさがりしてもらってるってみんなに言っていいのか?」
「うわ、急にげすいなー。はいはい、友達になってあげましょう。好きな人の為ならほんとすごいわね」
「よし、決まりだな」
また面倒なことになったわね。まあ、一ノ瀬とカップルするよりかはマシか。
うー、家帰ったらお姉ちゃんはどんな様子なんだろ。まあ、お姉ちゃんから振ったわけだから、普通か。というか、お姉ちゃんって元彼忘れられない系女子だっけ?んーこれは調査する必要がありそうね。
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