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第1章 無法
亀裂
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眠いー。起きたくねーなー。あー今日学校かー。あ、そんなこと言ってる場合じゃなかった!岬を迎えに行かないと。そうだ、もし怒ってたらどうしよう。うー朝から気持ちが沈むなー。ま、色々考えてても仕方ないし、もし岬が怒ってたら、理由を聞いてみよう。
「行ってきまーす!」
「あら、綾人今日は少し早いのね」
「ああ、ちょっとね」
「そう、行ってらっしゃい」
岬の家に到着。インターホン鳴らすか。
ピンポーン。
「はーい!ごめん綾人ちょっとだけ待っててー!」
「うん、全然大丈夫!」
あれ?全然怒ってないな。たぶん。
「お待たせー!今日ちょっと早かった?」
「あ、ちょっと準備が早く終わって、ごめんな早く来て」
「あ、全然大丈夫!綾人に少しでも早く会えて嬉しいし!」
「ちょ、朝から反則だろ」
あれ?いつも通りか?なんならいつもより推しが強い?こないだの優奈の件も勘違いだったのかな。まあ何はともあれ良かったー。
「今日って、たしか小テストだよね?」
「そうだな。うわー嫌なこと思い出しちゃったなー」
「あれれ~?勉強してないのかな~?」
「してないっす」
「小テストは4時限目だから、お昼休みとかに教えてあげるよ!出そうなところとか」
「ほんと!よっしゃ!持つべきものはやっぱり女神みたいな彼女だな~」
「みたいなじゃなくて、女神よー」
「ははあー!岬様ー!」
いつものたわいもない会話をしていたら、学校に到着していた。教室へと向かう途中で、岬が妙なことを聞いてきた。
「綾人は、私だけだよね?」
「急にどうした?当たり前だろ」
「そっか!良かった!わ!授業始まっちゃう!」
「あ、ちょ、岬!」
なんだったんだろう。いつも通りに見えたけど、やっぱりそうじゃなかったのかな。
この1週間、特に何か特別なことはなく、普通通りの日常が過ぎていった。ただ、岬はいつものように明るいし、俺に対しても普通に接してくれているが、なんとなく距離があるような気もする。そんな微妙な感情のまま、明日はもう1つの人生に行く日だ。気持ちを切り替えないといけないのに……。
ーー次の日ーー
「千郷ー!お友達よー!」
「うわ!びっくりした!え?友達?」
「全く、もう起きる時間でしょ。早く支度しなさーい」
「あ、う、うん。って友達って誰?」
「えっとー、坂上裕斗くんだったかな?」
「ゆ、裕斗?!なんで家に?!」
「あ!もしかして彼氏?」
「ち、違うよ!」
「あら、そうなの~?ざーんねん」
「も、もう準備するから一回出てって!」
「はいはーい」
な、なんで裕斗が家に?!私、呼んでないよね?うー分からなすぎる。もしかして、なんかやらかしたのかな。と、とりあえず支度しよう。
「おはよー!ごめん、お待たせ!」
「おはよう。ごめんね、急に来ちゃって」
「い、いや大丈夫だよ!ちょっと驚いたけど」
「ごめんごめん、特に何かあるわけじゃないんだけど、一緒に登校したいなって思ってさ」
「そ、そうだったんだ」
「うん、良いかな?」
「うん、大丈夫だよ」
「ありがとう。よし、じゃあ行こう!お邪魔しました~」
な、なんか今日はすごいグイグイ来るなー。やっぱり何かあったのかな。
「裕斗、今日何かあるの?それとも何か悩み事とか?」
「え、何もないよ!」
「みんなの前じゃ、言いづらいこと?」
「いや、ほんとに違くて」
「今なら2人だから何でも言って!」
「そんなに言うなら、言わせてもらうね」
「うん」
「千郷、好きです」
「うん……え!!ん?え!!」
「好きです」
「え、いや、その、それは冗談ですよね?」
「冗談だったらこんな真剣に言わないよ」
「それを言いに来たってこと?」
「いや、違うんだけど。このままアプローチしても千郷は気づいてくれないのかなって思って、今、言うことにした」
「……」
「急にこんなこと言われても困るよね。すぐに返事が欲しいわけじゃないんだ。ただ、少しずつで良いから考えてみてほしい」
「わ、分かった」
「ま、あんまり気は遣わないでね~」
そう言って、裕斗は私の頭を撫でてきた。ちょっとキュンとしてしまった。
ふと周りを見たら、優奈が遠くの方にいたのが見えた。うわ、最悪だ。見られた気がする。今、目合った気がするけど、行っちゃったし。
今日は、朝の衝撃的な出来事以外は、普通に日常が流れていった。優奈は、やっぱり不機嫌そうだけれど。裕斗のことも、どうしよう。1つ解決したと思ったらまた1つと問題が起こるなー。ま、これも人生の醍醐味ってやつかー。でも、色々考えてても仕方ない気がしてきた。もういっそのこと優奈に直接聞いてみようかな。よし、そうしよう。
「優奈、ちょっと」
「葵ー!委員会今日だよね?やばっ!もう始まるんじゃない?」
「あ、そうだった!急ごう!」
タッタッタッタッ。
あ、行っちゃった。今日委員会だったかー。んー。1時間くらいかなー。ちょっと待ってみるか。
ーー30分後ーー
「お!千郷まだいたんだね!」
「うん、ちょっと優奈を待っててさー」
「成田さん?」
「うん、ちょっと聞きたいことがあって」
「そうなんだ。なにかあったの?」
「いや、特に喧嘩したとかじゃないんだけどさ」
「俺で良かったら何でも言って!話すことで楽になれることもあるかもしれないから」
「ありがとう。なんとなく、優奈が最近冷たい気がして、私何かしちゃったのかなって思ってさ、それで悩んでても仕方ないし、直接聞いてみようかと思って」
「なるほど。それ、もしかしたら俺のせいかもしれない」
「え?」
「もし、千郷が良ければ、成田さんと3人で話せないかな?俺にも原因がありそうなんだ。成田さんに直接聞かないとまだ確信は出来ないけど」
「裕斗のせいだとは全然思えないけど、なんとなく2人で上手く話せるか分かんないって思ってたから、もし裕斗が良ければお願いします」
「分かった!ありがと!じゃあ、成田さんには俺から連絡しとくよ」
「分かった。ありがと」
「じゃあ、俺の家が一番近いからそこで話そっか」
「う、うん」
ほんとにこれで良いのかな。でも、なんとなく、優奈の機嫌が悪いのは、ここ1ヶ月くらいの話だし、確かに裕斗が関係してなくもない気がするから、ここは甘えてみるか。
「ごめんね散らかってて、どうぞ、どうぞ」
「お邪魔しまーす。全然綺麗じゃん!1人暮らしなのー?」
「うん、親とは今別々に暮らしてて」
「そうなんだね」
「ちょっと飲み物持ってくるから、くつろいでて~」
「あ、私も手伝うよ」
「大丈夫だよ、ゆっくりしてて!」
「ありがと~」
ベッドにあるぬいぐるみある。めっちゃ可愛い。ちょっと触っちゃおっと!裕斗もこんなの好きなんだー。意外だなー。
「お待たせ~。ごめん、お茶しかなかった!」
「全然!ありがと!」
「はいどーぞ」
「ありがとー!おいし~」
「ぬいぐるみ触ってたの?」
「うん!可愛いね!裕斗もぬいぐるみとか持ってるんだね」
「このなんとも言えない憎たらしい顔が癖になってさー笑」
「なるほど!確かに癖になるかも」
プルルルルッ。
「ごめん、電話だ」
「うん、行ってきてー」
裕斗の電話が鳴り、部屋から出ていった。なんか眠くなってきたなー。まだ委員会終わらないのかな、優奈。ちょっとだけ眠っちゃおうかなー。私の意識は少しずつ遠のいていく。
「行ってきまーす!」
「あら、綾人今日は少し早いのね」
「ああ、ちょっとね」
「そう、行ってらっしゃい」
岬の家に到着。インターホン鳴らすか。
ピンポーン。
「はーい!ごめん綾人ちょっとだけ待っててー!」
「うん、全然大丈夫!」
あれ?全然怒ってないな。たぶん。
「お待たせー!今日ちょっと早かった?」
「あ、ちょっと準備が早く終わって、ごめんな早く来て」
「あ、全然大丈夫!綾人に少しでも早く会えて嬉しいし!」
「ちょ、朝から反則だろ」
あれ?いつも通りか?なんならいつもより推しが強い?こないだの優奈の件も勘違いだったのかな。まあ何はともあれ良かったー。
「今日って、たしか小テストだよね?」
「そうだな。うわー嫌なこと思い出しちゃったなー」
「あれれ~?勉強してないのかな~?」
「してないっす」
「小テストは4時限目だから、お昼休みとかに教えてあげるよ!出そうなところとか」
「ほんと!よっしゃ!持つべきものはやっぱり女神みたいな彼女だな~」
「みたいなじゃなくて、女神よー」
「ははあー!岬様ー!」
いつものたわいもない会話をしていたら、学校に到着していた。教室へと向かう途中で、岬が妙なことを聞いてきた。
「綾人は、私だけだよね?」
「急にどうした?当たり前だろ」
「そっか!良かった!わ!授業始まっちゃう!」
「あ、ちょ、岬!」
なんだったんだろう。いつも通りに見えたけど、やっぱりそうじゃなかったのかな。
この1週間、特に何か特別なことはなく、普通通りの日常が過ぎていった。ただ、岬はいつものように明るいし、俺に対しても普通に接してくれているが、なんとなく距離があるような気もする。そんな微妙な感情のまま、明日はもう1つの人生に行く日だ。気持ちを切り替えないといけないのに……。
ーー次の日ーー
「千郷ー!お友達よー!」
「うわ!びっくりした!え?友達?」
「全く、もう起きる時間でしょ。早く支度しなさーい」
「あ、う、うん。って友達って誰?」
「えっとー、坂上裕斗くんだったかな?」
「ゆ、裕斗?!なんで家に?!」
「あ!もしかして彼氏?」
「ち、違うよ!」
「あら、そうなの~?ざーんねん」
「も、もう準備するから一回出てって!」
「はいはーい」
な、なんで裕斗が家に?!私、呼んでないよね?うー分からなすぎる。もしかして、なんかやらかしたのかな。と、とりあえず支度しよう。
「おはよー!ごめん、お待たせ!」
「おはよう。ごめんね、急に来ちゃって」
「い、いや大丈夫だよ!ちょっと驚いたけど」
「ごめんごめん、特に何かあるわけじゃないんだけど、一緒に登校したいなって思ってさ」
「そ、そうだったんだ」
「うん、良いかな?」
「うん、大丈夫だよ」
「ありがとう。よし、じゃあ行こう!お邪魔しました~」
な、なんか今日はすごいグイグイ来るなー。やっぱり何かあったのかな。
「裕斗、今日何かあるの?それとも何か悩み事とか?」
「え、何もないよ!」
「みんなの前じゃ、言いづらいこと?」
「いや、ほんとに違くて」
「今なら2人だから何でも言って!」
「そんなに言うなら、言わせてもらうね」
「うん」
「千郷、好きです」
「うん……え!!ん?え!!」
「好きです」
「え、いや、その、それは冗談ですよね?」
「冗談だったらこんな真剣に言わないよ」
「それを言いに来たってこと?」
「いや、違うんだけど。このままアプローチしても千郷は気づいてくれないのかなって思って、今、言うことにした」
「……」
「急にこんなこと言われても困るよね。すぐに返事が欲しいわけじゃないんだ。ただ、少しずつで良いから考えてみてほしい」
「わ、分かった」
「ま、あんまり気は遣わないでね~」
そう言って、裕斗は私の頭を撫でてきた。ちょっとキュンとしてしまった。
ふと周りを見たら、優奈が遠くの方にいたのが見えた。うわ、最悪だ。見られた気がする。今、目合った気がするけど、行っちゃったし。
今日は、朝の衝撃的な出来事以外は、普通に日常が流れていった。優奈は、やっぱり不機嫌そうだけれど。裕斗のことも、どうしよう。1つ解決したと思ったらまた1つと問題が起こるなー。ま、これも人生の醍醐味ってやつかー。でも、色々考えてても仕方ない気がしてきた。もういっそのこと優奈に直接聞いてみようかな。よし、そうしよう。
「優奈、ちょっと」
「葵ー!委員会今日だよね?やばっ!もう始まるんじゃない?」
「あ、そうだった!急ごう!」
タッタッタッタッ。
あ、行っちゃった。今日委員会だったかー。んー。1時間くらいかなー。ちょっと待ってみるか。
ーー30分後ーー
「お!千郷まだいたんだね!」
「うん、ちょっと優奈を待っててさー」
「成田さん?」
「うん、ちょっと聞きたいことがあって」
「そうなんだ。なにかあったの?」
「いや、特に喧嘩したとかじゃないんだけどさ」
「俺で良かったら何でも言って!話すことで楽になれることもあるかもしれないから」
「ありがとう。なんとなく、優奈が最近冷たい気がして、私何かしちゃったのかなって思ってさ、それで悩んでても仕方ないし、直接聞いてみようかと思って」
「なるほど。それ、もしかしたら俺のせいかもしれない」
「え?」
「もし、千郷が良ければ、成田さんと3人で話せないかな?俺にも原因がありそうなんだ。成田さんに直接聞かないとまだ確信は出来ないけど」
「裕斗のせいだとは全然思えないけど、なんとなく2人で上手く話せるか分かんないって思ってたから、もし裕斗が良ければお願いします」
「分かった!ありがと!じゃあ、成田さんには俺から連絡しとくよ」
「分かった。ありがと」
「じゃあ、俺の家が一番近いからそこで話そっか」
「う、うん」
ほんとにこれで良いのかな。でも、なんとなく、優奈の機嫌が悪いのは、ここ1ヶ月くらいの話だし、確かに裕斗が関係してなくもない気がするから、ここは甘えてみるか。
「ごめんね散らかってて、どうぞ、どうぞ」
「お邪魔しまーす。全然綺麗じゃん!1人暮らしなのー?」
「うん、親とは今別々に暮らしてて」
「そうなんだね」
「ちょっと飲み物持ってくるから、くつろいでて~」
「あ、私も手伝うよ」
「大丈夫だよ、ゆっくりしてて!」
「ありがと~」
ベッドにあるぬいぐるみある。めっちゃ可愛い。ちょっと触っちゃおっと!裕斗もこんなの好きなんだー。意外だなー。
「お待たせ~。ごめん、お茶しかなかった!」
「全然!ありがと!」
「はいどーぞ」
「ありがとー!おいし~」
「ぬいぐるみ触ってたの?」
「うん!可愛いね!裕斗もぬいぐるみとか持ってるんだね」
「このなんとも言えない憎たらしい顔が癖になってさー笑」
「なるほど!確かに癖になるかも」
プルルルルッ。
「ごめん、電話だ」
「うん、行ってきてー」
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