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6.夜を漂う
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――俺のものにしたい 蓮はそう言った
鼓動が駆け出しそうだ。誰かのものになる そう思うだけで安心感が湧いてくる。
「俺と蓮はどういう関係になるの?」
見上げて来るジェイの額にキスを落とす。
「恋人だ」
声が出ない、胸が一気に高鳴る、手が蓮の体に回って力が入った。
「いいのか? それで」
頷いた。もう家族はいない。友だちもいない。けれど恋人が出来る。
「陽は当たらないぞ。誰もそんなこと認めちゃくれない。人前では他人でいなくちゃならない。俺とお前は上司と部下だ。他の者と選り分けてお前に接することは出来ない」
分からせておかなければならない、ジェイの心を守るために。上司として叱責する時もあるだろう。ジェイより他の者を優先したり褒めたり。自分が以前と態度を変えるわけには行かない。だが、いつかきっとそれはジェイを大きく傷つける。そういうことにきっとジェイは耐えられない。
「俺は今までと同じでなくちゃならないんだ。お前、それに耐えられるか? 分かっておいてほしいんだ、俺にはお前が一番だ。けどそれを表に出すことは出来ない。辛いぞ、これから」
こうなる前ならジェイには自分を守る外壁を自分で作ることが出来た。でももう、それはきっと出来ない。ジェイにはそれがまだ解っていない。
「蓮は……俺とのこと、困るって言ってるの?」
「違う。こんな話するのはお前が心配だからだ。お前が見かけ通り強いヤツならいいんだ。もしそうならこうはならなかっただろうけど。でもお前は」
背中を撫でた。髪にキスをする。傷つけたくない、どんなことでも。
「お前は違うだろう? そういうんじゃない。自分を守るために一生懸命強い振りをしてきただけだ」
お化け屋敷の中、『たすけて』と囁いた声を思い出す。自分と出会うまでの間、どれだけの数、それを心の中で言い続けてきたんだろう。
「だから俺はお前を守りたい。知っておいてほしいんだ、俺を信じていいんだってこと。例え何があろうと、俺が何を言おうと、お前は俺のものなんだ。お前が俺を必要とする限り」
現実がどうなのか、ジェイには見当もつかなかった。男同士だ、人前で手を握ったり甘えたり抱きついたり出来ないことくらいは分かる。でも信じ合ってるなら何を辛く思うことがあるだろう。
「俺は……大丈夫だと思うんだけど」
どうやったらこの若者を守って行けるだろう。こんな関係にしておきながら、今さらのように自分の取った行動が浅はかだったのではないかと思えて来る。もしかしたら自分は守るのではなく、真逆のことをジェイにしようとしているのではないのか?
「ジェイ。いいか、俺のことを信じろ。どんな時でも。俺を信じることがお前を守る。苦しかったら二人きりになった時に苦しいと言え。辛い、不安だ、寂しい、全部俺に正直に言え。ずっとお前を守りたいんだ」
「信じるよ。大丈夫だよ、そんなに心配しなくても大丈夫」
蓮は腕の中にいる脆い青年を抱きしめた。何かあればきっと壊れてしまう……ジェイは強くなんかない……
「苦しい、蓮 俺、大丈夫だから」
その体に覆いかぶさった。戸惑う唇を塞ぐ。僅かな回数のキスでもう感じることを覚えている。口の中を刺激すれば体が反応してくる。
唇を離して髪をかき上げた。
「お前、キスに弱いんだな」
赤くなったジェイに笑いかけ、また唇をそっと舐めた。もう胸が喘ぎ始める。感じやすい体は、そのままジェイの繊細な心を表わしていた。母が亡くなって、よくここまで生きて来れたものだ。どれだけ強固な壁を張り巡らしてきたのか。
「ジェイ、俺のものになるか? 本当のセックスをするか?」
「そしたら……ずっと一緒にいられる?」
泣きたくなるほど悲しい問いだった。『置いてかないで』その声が響く。縋りつくようなその問いに誰がNoと言えるだろう。
「ああ。一緒にいる。お前を離さない」
「俺を……蓮のものにして」
もう充分だった。自分にはもう不可能だ、ジェイを独りにするのは。
抱きしめてまだ柔らかい唇を何度も貪り、首筋を舐め上げ手は体中をまさぐった。小さな喘ぎ声が耳を犯す。猛るものを強く扱けば先から透明な露が滴り落ちた。それを掬っては後ろへと運ぶ。何度も何度もそれを繰り返す。
体中が感じ切っていて蓮のしていることが分からなかった。気づけば自分の全く別の場所が感じ始めていた。何度も後ろの孔が撫でられる。ただ撫でられるだけだ。けれど恥ずかしさとひっそり芽生えて来る小さな快感にどうしていいか分からずにいた。なぜそこを愛撫されるのかも知らない。
蓮の指先が自分の先端をくるりと撫でていく。息が止まる。指が離れていく。慌てて息を吸い込み吐き出す。蓮の指が後ろの孔を刺激して、また息が止まる。
けれど決定的な快感は来ない、ただ快感の縁を蓮の指が撫でていく。その繰り返す往復でジェイは心の中で叫び始めていた。
――イきたい イきたい イきたい!
「れん、もう……」
「だめだ、まだ我慢しろ」
足を広げられ、膝を立てられた。期待に膝が震える。指がもっと潜り始める。 うっ! と力が入る。
「ジェイ、力を抜くんだ。大丈夫だ、無理なことはしないから」
内腿を撫でながら、小さく前を扱きながら、徐々にジェイの窄まりの中へと指が進んで行く。閉ざされた固いその中を急ぐこともせずにやんわりと解していく。
まだはっきりとした快感になるわけがない、異物感しか感じないだろう。だからそっと中を撫で回した。穏やかな動きに少しずつ力が抜けていく。進みやすくなった指が中を広げるように回りながら奥へと入っていった。
出ては入り、出ては入り。前の雫を指先に掬ってはまた潜り。浅い息が辛そうで、蓮はジェイを咥えた。途端にジェイの体が跳ね上がる。空いている手でその腹を優しく撫でた。
口が上下するたびに小さく撥ねるその反動を利用して、指をさらに奥へと入れていく。蓮はそれ以上進むのを止めた。そこから入り口の間を何度も何度も撫でる。まるで感じているかのように肉が指にまとわりついてくる。動きに合わせて腰が蠢く。繰り返す動きに突然腰が大きく震えた。中がぎゅっと指に食らいついてくる。
――この辺りか?
そこを擦り上げた途端に声が漏れた。
あ! や、やめ……! ああ やだ、そこ……あふっ……
やめてくれという、その場所を擦り続けた。
はぁ、ぁ や……ぅぁ……
次第に声が細り大きく体が仰け反り一気に体が弛緩した。ジェイは達していた。我慢させられていた分、その快感は激しかったのだろう、止まらない痙攣に蓮は優しく体に唇を這わせていく。射精で精も根も尽き果てたようにぐったりした体に痙攣が走り続ける。
蓮は力が完全に抜けきった後ろに自分を当てがった。小さい動きでそっと先を入れて行く。まだまだそこは固くて道は狭い。
入る気は無い、ほんの先だけ。これはマーキングと一緒だ。二人が繋がった証が欲しかった。ここに最初に当てがったのは自分だと言う証が。迎え入れはしないそこを何度か自分の昂ぶりで撫でる。急激に蓮にも射精感が訪れた。
目の前にぐったりしている美しい青年に、自分のものが侵入しようとしている。そう思うだけで狂おしいほどの快感が突き上げて来る。後は本能に任せ快感に身を委ねた。
鼓動が駆け出しそうだ。誰かのものになる そう思うだけで安心感が湧いてくる。
「俺と蓮はどういう関係になるの?」
見上げて来るジェイの額にキスを落とす。
「恋人だ」
声が出ない、胸が一気に高鳴る、手が蓮の体に回って力が入った。
「いいのか? それで」
頷いた。もう家族はいない。友だちもいない。けれど恋人が出来る。
「陽は当たらないぞ。誰もそんなこと認めちゃくれない。人前では他人でいなくちゃならない。俺とお前は上司と部下だ。他の者と選り分けてお前に接することは出来ない」
分からせておかなければならない、ジェイの心を守るために。上司として叱責する時もあるだろう。ジェイより他の者を優先したり褒めたり。自分が以前と態度を変えるわけには行かない。だが、いつかきっとそれはジェイを大きく傷つける。そういうことにきっとジェイは耐えられない。
「俺は今までと同じでなくちゃならないんだ。お前、それに耐えられるか? 分かっておいてほしいんだ、俺にはお前が一番だ。けどそれを表に出すことは出来ない。辛いぞ、これから」
こうなる前ならジェイには自分を守る外壁を自分で作ることが出来た。でももう、それはきっと出来ない。ジェイにはそれがまだ解っていない。
「蓮は……俺とのこと、困るって言ってるの?」
「違う。こんな話するのはお前が心配だからだ。お前が見かけ通り強いヤツならいいんだ。もしそうならこうはならなかっただろうけど。でもお前は」
背中を撫でた。髪にキスをする。傷つけたくない、どんなことでも。
「お前は違うだろう? そういうんじゃない。自分を守るために一生懸命強い振りをしてきただけだ」
お化け屋敷の中、『たすけて』と囁いた声を思い出す。自分と出会うまでの間、どれだけの数、それを心の中で言い続けてきたんだろう。
「だから俺はお前を守りたい。知っておいてほしいんだ、俺を信じていいんだってこと。例え何があろうと、俺が何を言おうと、お前は俺のものなんだ。お前が俺を必要とする限り」
現実がどうなのか、ジェイには見当もつかなかった。男同士だ、人前で手を握ったり甘えたり抱きついたり出来ないことくらいは分かる。でも信じ合ってるなら何を辛く思うことがあるだろう。
「俺は……大丈夫だと思うんだけど」
どうやったらこの若者を守って行けるだろう。こんな関係にしておきながら、今さらのように自分の取った行動が浅はかだったのではないかと思えて来る。もしかしたら自分は守るのではなく、真逆のことをジェイにしようとしているのではないのか?
「ジェイ。いいか、俺のことを信じろ。どんな時でも。俺を信じることがお前を守る。苦しかったら二人きりになった時に苦しいと言え。辛い、不安だ、寂しい、全部俺に正直に言え。ずっとお前を守りたいんだ」
「信じるよ。大丈夫だよ、そんなに心配しなくても大丈夫」
蓮は腕の中にいる脆い青年を抱きしめた。何かあればきっと壊れてしまう……ジェイは強くなんかない……
「苦しい、蓮 俺、大丈夫だから」
その体に覆いかぶさった。戸惑う唇を塞ぐ。僅かな回数のキスでもう感じることを覚えている。口の中を刺激すれば体が反応してくる。
唇を離して髪をかき上げた。
「お前、キスに弱いんだな」
赤くなったジェイに笑いかけ、また唇をそっと舐めた。もう胸が喘ぎ始める。感じやすい体は、そのままジェイの繊細な心を表わしていた。母が亡くなって、よくここまで生きて来れたものだ。どれだけ強固な壁を張り巡らしてきたのか。
「ジェイ、俺のものになるか? 本当のセックスをするか?」
「そしたら……ずっと一緒にいられる?」
泣きたくなるほど悲しい問いだった。『置いてかないで』その声が響く。縋りつくようなその問いに誰がNoと言えるだろう。
「ああ。一緒にいる。お前を離さない」
「俺を……蓮のものにして」
もう充分だった。自分にはもう不可能だ、ジェイを独りにするのは。
抱きしめてまだ柔らかい唇を何度も貪り、首筋を舐め上げ手は体中をまさぐった。小さな喘ぎ声が耳を犯す。猛るものを強く扱けば先から透明な露が滴り落ちた。それを掬っては後ろへと運ぶ。何度も何度もそれを繰り返す。
体中が感じ切っていて蓮のしていることが分からなかった。気づけば自分の全く別の場所が感じ始めていた。何度も後ろの孔が撫でられる。ただ撫でられるだけだ。けれど恥ずかしさとひっそり芽生えて来る小さな快感にどうしていいか分からずにいた。なぜそこを愛撫されるのかも知らない。
蓮の指先が自分の先端をくるりと撫でていく。息が止まる。指が離れていく。慌てて息を吸い込み吐き出す。蓮の指が後ろの孔を刺激して、また息が止まる。
けれど決定的な快感は来ない、ただ快感の縁を蓮の指が撫でていく。その繰り返す往復でジェイは心の中で叫び始めていた。
――イきたい イきたい イきたい!
「れん、もう……」
「だめだ、まだ我慢しろ」
足を広げられ、膝を立てられた。期待に膝が震える。指がもっと潜り始める。 うっ! と力が入る。
「ジェイ、力を抜くんだ。大丈夫だ、無理なことはしないから」
内腿を撫でながら、小さく前を扱きながら、徐々にジェイの窄まりの中へと指が進んで行く。閉ざされた固いその中を急ぐこともせずにやんわりと解していく。
まだはっきりとした快感になるわけがない、異物感しか感じないだろう。だからそっと中を撫で回した。穏やかな動きに少しずつ力が抜けていく。進みやすくなった指が中を広げるように回りながら奥へと入っていった。
出ては入り、出ては入り。前の雫を指先に掬ってはまた潜り。浅い息が辛そうで、蓮はジェイを咥えた。途端にジェイの体が跳ね上がる。空いている手でその腹を優しく撫でた。
口が上下するたびに小さく撥ねるその反動を利用して、指をさらに奥へと入れていく。蓮はそれ以上進むのを止めた。そこから入り口の間を何度も何度も撫でる。まるで感じているかのように肉が指にまとわりついてくる。動きに合わせて腰が蠢く。繰り返す動きに突然腰が大きく震えた。中がぎゅっと指に食らいついてくる。
――この辺りか?
そこを擦り上げた途端に声が漏れた。
あ! や、やめ……! ああ やだ、そこ……あふっ……
やめてくれという、その場所を擦り続けた。
はぁ、ぁ や……ぅぁ……
次第に声が細り大きく体が仰け反り一気に体が弛緩した。ジェイは達していた。我慢させられていた分、その快感は激しかったのだろう、止まらない痙攣に蓮は優しく体に唇を這わせていく。射精で精も根も尽き果てたようにぐったりした体に痙攣が走り続ける。
蓮は力が完全に抜けきった後ろに自分を当てがった。小さい動きでそっと先を入れて行く。まだまだそこは固くて道は狭い。
入る気は無い、ほんの先だけ。これはマーキングと一緒だ。二人が繋がった証が欲しかった。ここに最初に当てがったのは自分だと言う証が。迎え入れはしないそこを何度か自分の昂ぶりで撫でる。急激に蓮にも射精感が訪れた。
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