博学英才の【太子】と、【日御子】の超常能力を受け継いだ【刀自古姫御子】

第６章 ５８７年『衣摺の戦い』において、【物部守屋】討ち取られ、ここに【物部本宗家】滅亡す！

〔７６〕【穴穂部王子】の家人が、【大王弑逆】に関与した、と自白す！

　　【穴穂部王子】が絶命した翌日、王子の異母弟である【宅部ヤカベ王子】も殺された。

【穴穂部】と仲がよく、【大王弑逆】の共謀共同正犯であった、という理由からだ。


　　【厩戸王太子】は、『主犯格の二人の王子』以外の侍従や舎人達実行犯は命じられて協力したに過ぎない、として、罪には問わないという方針の元、事情聴取のみに留められた。

その事情聴取によって、【大王弑逆】事犯の全貌が次第に明らかとなって来た。

行方不明となった【王宮女官】にしても、家族を人質に取られ、やむを得ず、実行犯にされたあげく、犯行後は口封じのために、惨殺された事も、明白となった。

また、【物部守屋】と【中臣勝海】にしても、事前に知っていながら、【弑逆事犯】という大罪を、『未必の故意』で黙認したのは、主犯格の二人同様、大罪に問われるは当然であろう！


　　【太子】は【勝海】を暗殺したことに、少なからず、良心の呵責を感じていたが、『未必の故意』ということで、その罪悪感から解放され、安堵していた。

しかしながら、【守屋】と【勝海】が【弑逆事犯】の共謀正犯ということのみ、公表を控えたのだった。

その結果として、来るべき【物部本宗家】との戦いで、【中臣軍】が【物部本軍】に味方することはなくなったのである。


　　また、【馬子】は【物部本軍】との戦いを前に、建前上、正妻の【鎌姫】を離縁していた。

【鎌姫】は自ら、離縁を申し出て、【物部本軍】を内部から分裂させる権謀術策の自信があったればこそである。