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第6章 587年『衣摺の戦い』において、【物部守屋】討ち取られ、ここに【物部本宗家】滅亡す!
〔75〕【王太后・炊屋姫】の命にて、【佐伯連】、【土師連】、【的臣】らが【穴穂部王子】を暗殺す!【2】
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3人は一旦帰宅して、翌日の夜、各々兵を率いて、【穴穂部】の御所近くに集結した。
6月7日の月は少し前にもう沈んで、真の闇夜になっていた。
その暗い中を、静かにひたひたと御所に忍び寄り、すっかり包囲してから、門を叩いた。
「【海石榴市宮】から、王子に使わされた使者である。」
「門を開けられよ!」
門番は驚いて、少し門を開けた。
その門をこじ開けるようにして、3人を先頭に十数人の兵がなだれ込んで来た。
【佐伯連】は門番の胸元に刀を突きつけて、
「王子はいずれにお出でだ?」
門番は震えながら、母屋の高殿を指差した。
一行は母屋に踏み込み、目覚めている家人に出合う都度、兵の一人に刀を突きつけさせて騒がないようにさせた。
そして、他の10人の兵を母屋で待機させ、3人は高殿に上がり、寝所に入った。
薄い灯し火が枕元にあって、【穴穂部】は酒の臭いをプンプンさせ、女を抱いて寝ていた。
裾の方に置いた壺からは、蚊除けの煙が微かに立ちのぼっていた。
3人は先ず、枕元の灯火台を取り上げ、部屋の隅に置いた。
その気配に女が目を覚ました。
1人が、女のきゃしゃな喉に、刀を突きつけて言った。
「騒ぐな! そっと起きて離れよ!」
女は青ざめ、震えながら、言われた通りに離れた。
【佐伯連丹経手】は【穴穂部王子】の喉に、剣の切っ先を深々と沈めて、串刺しにした。
【穴穂部】は「グガッ」という声にならない呻き声と、多量の血を流しながら、絶命した!
6月7日の月は少し前にもう沈んで、真の闇夜になっていた。
その暗い中を、静かにひたひたと御所に忍び寄り、すっかり包囲してから、門を叩いた。
「【海石榴市宮】から、王子に使わされた使者である。」
「門を開けられよ!」
門番は驚いて、少し門を開けた。
その門をこじ開けるようにして、3人を先頭に十数人の兵がなだれ込んで来た。
【佐伯連】は門番の胸元に刀を突きつけて、
「王子はいずれにお出でだ?」
門番は震えながら、母屋の高殿を指差した。
一行は母屋に踏み込み、目覚めている家人に出合う都度、兵の一人に刀を突きつけさせて騒がないようにさせた。
そして、他の10人の兵を母屋で待機させ、3人は高殿に上がり、寝所に入った。
薄い灯し火が枕元にあって、【穴穂部】は酒の臭いをプンプンさせ、女を抱いて寝ていた。
裾の方に置いた壺からは、蚊除けの煙が微かに立ちのぼっていた。
3人は先ず、枕元の灯火台を取り上げ、部屋の隅に置いた。
その気配に女が目を覚ました。
1人が、女のきゃしゃな喉に、刀を突きつけて言った。
「騒ぐな! そっと起きて離れよ!」
女は青ざめ、震えながら、言われた通りに離れた。
【佐伯連丹経手】は【穴穂部王子】の喉に、剣の切っ先を深々と沈めて、串刺しにした。
【穴穂部】は「グガッ」という声にならない呻き声と、多量の血を流しながら、絶命した!
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