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  第3章 【崇仏論】の【蘇我氏】と、【廃仏論】の【物部氏】との対立!

 〔22〕【物部尾輿】と【中臣鎌子】を中心とする【反蘇我派門閥貴族】が悪辣な噂話を、一般民衆の間にバラまいたからに他ならない!

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  この疫病は、朝鮮からの進貢船によって、入って来たのであるが、渡来人や帰化人を多く抱える【蘇我邸】を中心に、あたかも枯野を焼く火の勢いで広がり始めた。

死者続出、人心戦々恐々たる様相を呈して来た。

「これは【蘇我大臣】様が異国の神様を拝んでいなさるため、この国の神々方がお腹立ちになって、タタっていなさるのだ!」

「そら、見たことか! この疫病は【蘇我邸】に、たむろする異人達がだっちゅう噂だべ!」

更には、その疫病の『瘡』のことを民衆は『稲目瘡』と呼ぶようになった。


  こういった、まことしやかな噂を【蘇我邸】の渡来人や帰化人が広めるはずもなく、ましてや、上流階級の内実を下々の一般庶民が知っているはずもない。

これは明らかに、【物部尾輿】と【中臣鎌子】を中心とする【反蘇我派】門閥貴族が、手下に命じて、悪辣な噂話を下々の一般庶民に、バラまいた結果に他ならない。


  この噂話が、一般民衆に十分浸透した頃合いを見計らって、【尾輿】と【鎌子】は【大王オオキミ】の御前に伺候した。

「最近大流行の【疫病・死病】について、世間では、然々シカジカと申しております。」

「まさしく、天神地祇のお怒りの表れでございますぞ!」

「私共があれほど申し上げましたのに、【大臣】殿に、お下げ渡しになって信奉させられた故でございまする!」
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