チビ・デブ・ババアの異世界転生物語〜55歳子宮癌余命3ヶ月借金700万バツイチ無職〜

第二章 第一話

とうとう始まりました

　今日、わがアルラオネ公爵家が招待状を差し上げたお客様の数は国内外を含め300名。皆様パートナーをお連れになるので、600名と言う事になる。因みに、欠席の連絡は一切受けていないそうだ。
この離宮は、国外や遠方のお客様用の宿泊と大規模なパーティー、晩餐会の為に造らている。どの貴族家にも大なり小なりあるものだ。
　上位から順に入場する。皆、入場と同時に主催者に挨拶に列をなす。
今日の場合は、わたしの前。

「リリア様お招き感謝致します。成人おめでとうございます。本当にお美しい。叔母上の、嫁がれる前の絵姿そのままのようです。」
本日最も高位である賓客は、祖母ハウラの実家でもある隣国のリンベルネ公国の公子ラウロ殿下と奥方のレイラ様だ。
祖父の代には侯爵家に1人の姫もなく、2公爵家は共に他国から嫁を貰った。
ラウロ殿下は母の従兄になる。祖母と現リンベルネ公は兄妹。
「遠い処ご来臨を賜り、恐悦至極でございます。」恭しく淑女の最敬礼を捧げると、目を細め、ご夫妻で礼を返してくださった。そうして、
「さあ、顔をお上げ。本当に、大きく、綺麗なレディになったね。おめでとう。」と、親しげに付け加えて下さった。
今夜はどの人もこんなふうに、好意しか持たない、否悪意が入り込む筈ないただの、小娘の誕生日夜会の、筈だったから。