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第二部延長戦っっ ここまでの登場人物紹介
真夜中のワーキングガール
しおりを挟む【午後十時から午前五時】
この七時間に渡る深夜の時間帯を、あなたはいつも どこで何をして過ごしていますか?
大抵の方はお風呂を済ませて パジャマに着替え、本を読んだり テレビや動画を見たり 趣味に費やしたり 各々のリラックスタイムを経て、暖かくて真っ暗な部屋の中で床に就き 夢を見るのでしょう。
世の中の大多数の皆さんは、こうやってゆっくりと夜を過ごし、明日に備えて鋭気を養っているのです。
でもこの夜の深い時間に、実は世の中には一生懸命に働いている人たちがいます。
その人たちのことを、日本では一般的に夜勤従事者と呼びます。
この夜勤従事者の方たちの中には、いろんな業種の人がいて、様々な働き方をしています。
まず一つ目に挙げられるのは【働き方の違い】です。
実は夜勤を英語に訳すときには、二つのパターンがあるのだそうです。
【ナイトシフト】と訳す場合は、朝昼夜のさまざまな時間帯に働くシフト体形の職業の人が
「今日のシフトは夜勤だよ 」
の意味合いで使うのだそうです。
医療現場や介護職はじめとする沢山の職種に従事する人が、人類の法則に抗って不規則な生活に挑み社会を支えてくれています。
【ナイトデューティ】と訳す場合は、ずーっと夜勤に従事している人が使う単語なのだそうです。
つまり毎日毎日、昼夜逆転した日々を過ごすしているということです。この方たちはいつも朝日を浴びながら家に帰って、生活騒音のなか睡眠を取る生活をしています。
生活リズムがコロコロ変わるのも、毎日お日様が出ているなか眠る生活も、どちらもとても大変なのだそうです。
そしてもう一つは【働く理由】です。
深夜に働くことになった人々には、それなりの理由があり 様々な事情があります。
よく耳にするのは、お金の面です。
午後の十時から翌朝の五時、合計七時間の間が深夜間の労働として計算され、雇用主は従業員に対して深夜手当を払う義務が課せられています。 法律は時給に対しての25%割増のお給料を払うように求めていて、これは管理職に当たる人も例外ではありません。少なからず体に負担が掛かるのだから、お金を対価に深夜に働く選択をする人もいるのです。
でも大半の方の深夜に働く理由は、もっとシンプルで単純です。
【就いた職業が たまたま夜中も稼働している職種だった】
ただ、それだけのことなのだそうです。
よく深夜に働いてると
「夜中まで働くなんて仕事好き過ぎでしょ」「深夜手当てで儲かりそう」「婚期遅れそう」とか、なんだか遠回しにプライベートがない生活を否定されることがあります。その何気ない心無い言葉を聞くたびに傷つき、心がモヤモヤします。
まあ、健康など様々な犠牲を承知で、深夜に働いています。
確かに仕事には多少のプライドを持っているし、好きか嫌いかと問われれば好きです。
ある程度の努力してやっと掴んだ職業ですからね。
でもだからといって、夜中に働きたかったわけではありません。土日の夜くらいは家族や恋人と一緒に時間を共にしたいし、年越しくらいは家でゆっくり過ごしてみたい。アフター5は友達と夜の街に繰り出してみたいとも思うのです。
だけど彼らはそんな気持ちを抱きながら、色々な犠牲を払いつつ、夜中に働き続けるのです。
世の中には星の数ほど職業があるのに、彼らが個を犠牲にしてでも働く理由。
それを厭わない彼らの原動力は、一体どこにあるのでしょうか。
私は以前ある夜勤従事者に、こんなことを教えてもらいました。
その人は
「私の仕事の先に、自分が求める未来があると信じているから 」
と答えてくれました。
私は凄いな、と思いました。
本当に本当に感動しました。
正直言って、夜中に働くのはキツいです。
でも暗闇の中から溢れでるエネルギーは生半可なものではないと、世間の人に声を出して伝えたと思いました。
愚直に働いて、何がいけない?
好きなことを仕事にした!夢を叶えた!と堂々と言って、何が悪いの?
私はこの言葉を聞いて、自分の仕事に誇りを持てるようになりました。
キレイに働こうと、這いつくばって働こうと、全部世の中のためになってる。
仕事は本来そういうもので、人生はその人自身が決めるもの。
他の誰にもそれを安易に肯定したり否定したり、口出しする権利があるとのかと、私には思えなくなりました。
だから誰から何を言われても、私は私だと思えるのです。
きっとこの物語のヒロインも心にそんな複雑な気持ちを抱えつつ、長い時間地道に世の中の一般的な価値観に抗ってきたのでしょう。
それは凄くパワーがいることだし、お昼に働いていれば考えなくていいことだってあります。
そしてその戦いは深夜に働き続ける限り終わりはないし、先の見えない勝負でもあります。
でも彼女たちには支えてくれる大切な人や仲間がいて、辛いも苦しいも全部パワーに変えて、この先も突き進んでくれるのだろうと期待をしてしまいます。
彼女たちは何だかんだ言いながら、いつもとても楽しそう日常を謳歌しているからです。
そう、このお話はこのディープでコアな夜中の時間帯を主戦場としているアラサー女子の物語。
そして今宵……
彼女たちの、昼夜逆転ラブコメディな日常が始まります。
いつも真夜中の深い時間に働いて下さる夜勤従事者の皆様に、心からの愛を込めて。
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