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長い長い夜明け
不思議な気分
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どれくらい吉岡の腕を貸してもらっただろうか……
あれから私は凄く泣いた。
怖くて怖くて、我慢してた感情が込み上げてきて、声を圧し殺すように泣いてしまった。
こんなことは大人になってからあっただろうか。
いやむしろ今までの人生で、経験したことがある出来事だったろうか。
それからは先ははっきりとは覚えていない。
朱美が次に気がついたときには、真っ暗な部屋で、リビングのソファーに半分横たわっていた。
何で…… 私はここにいるのだろう。
どうやってここまで移動したのだろう。
しかも足元には ソファーに脱ぎ捨てていた部屋着のパーカーがかかっている。泣き疲れた思ったら、急に意識が遠退いていた。そもそもこの二日間殆ど寝てなかったのもある。
どのくらい時間が経ったのかもわからない。
そして、一番の問題は……
吉岡の胸に飛び込んでしまったこと……だった。
朱美はゆっくりと起き上がると、人の気配がある方へ体を向けた。
部屋は台所の照明だけついていて、その微かな明かりの下で吉岡が手帳とスマホを片手に何やら書き物をしていた。
無駄に鼓動が早くなる。あまりの恐怖と、その場の雰囲気に流されて思わず飛び付いてしまった。
後々のことなんて考える余裕もなかった。
それに………
吉岡は朱美が起き上がったことに気がつくと、作業を止めて静かに朱美に向き直った。
「先生…… 少しは落ち着きました? 」
「あっ、うん。ありがとう…… 」
吉岡は、普通…… だった。
少なくとも、見た目の様子はいつもと変わらない。強いていえば服装がいつものワイシャツスタイルでなくて、私服のポロシャツを着ていることくらいしか違いはなかった。
朱美は自分だけ この変な状況を意識しているのが少し悔しくなったが、今の朱美には寧ろ好都合だった。
ここは掘り起こさないのが賢明だろう。
「本来は こんな時間なんで、電気をつけたいんですけどね。たまたま先生が部屋に戻ったときに、明かりを点けなかったのは効を奏しました。多分、マスコミの皆さんは、先生の部屋は別の場所だと思って張ってますよ。流石にエアコンはつけましたけどね。この部屋の室外機は下からだと見えないでしょうし、音も下までは聞こえないでしょうから 」
吉岡は微笑を浮かべて朱美に話しかけた。そして朱美は静かに頷いた。朱美は決して 深い理由を考えて電気を点けなかった訳ではなかった。単純に怖くて玄関から動けなくて、ただ座り込むのがやっとだった。しかし吉岡はそんな些細なことすら機転が利かせて、朱美を励ますプラス思考な言葉に変える。ちょっと怒りっぽいところもあるが、根は優しい人なのだろう。
「取り敢えず 編集長には連絡しました。うちの会社の人間が下の軍団に混ざっていれば、その取材を止めさせるくらいなら直ぐにできるとは思います。
あわよくば うちの者に適当な噂と圧力を流布させて、マスコミを撤退させる…… いま描いてるシナリオはそんな感じです 」
「はあ…… 」
そんなことが、出来るのだろうか?
朱美がそんなことを思いながら少し俯くと、朱美の心を見透かすように吉岡が続けた。
「まずは 確認をしないことには、わかりません。先ほど キャンディの編集長から、弊社の…… 新訳公論のトップに連絡がついたって報告がありましたから。今日中って訳にはいかないかも知れないですけど 」
吉岡は少し真面目な顔をして、朱美に話をした。すると吉岡は喉が乾いたから冷蔵庫を開けていいかと、唐突に朱美に許可を求めた。朱美がご自由にどうぞと声を掛けると、吉岡は二人分の麦茶を注ぎ朱美の隣に腰を下ろした。
「あの…… 」
「はい? 何か? 」
吉岡は麦茶を一気飲みすると、朱美を振り返った。
「編集長も今日は休日でしょ? 休みの日に連絡しちゃうとか…… ちょっと、申し訳ないというか。私のあくまでプライベートな問題だし。それに、吉岡も完全に巻き込んじゃっている訳であって 」
「先生が、今さらそんなことを言うなんて 意外ですね。編集長のところに、しょっちゅう二十四時間体制で原稿落とすの落とさないの、ひっきりなしに連絡させてる元凶の発言とは思えませんけど? 」
「だっ、だって、今回の件は…… 私の完全なプライベートか問題の助太刀をしてもらっちゃってるわけだし 」
朱美は申し訳なさそうに、少しモジモジしながら目線を落とした。本来ならば朱美もどちらかというと被害者なのだが、吉岡や編集長は全く関係ないのに業務外で巻き込まれている。
すると そんな神妙な顔をした朱美の様子を見た吉岡が、堪えきれずに吹き出した。
「……神宮寺センセも、たまにはマトモなこと言うんですね。ちょっと僕は感激ですよ 」
朱美は吉岡の震える背中を見るなり、納得できないと言わんばかりに顔を膨らませる。
「なっ、そんな人を何だと思って…… だって完全に業務外勤務だし、タダ働きってことでしょ? 」
朱美は少しムッとしながら麦茶に手を伸ばし口に運ぶと「はあー」と溜め息をついた。その溜め息を聞いた吉岡は 朱美からは見えない角度で一瞬だけ安堵するような表情をみせたが、すぐにまた向き直った。
「僕たちは大丈夫です。仕事に生き甲斐と誇りは、それなりには感じていますから。寧ろ 知らされないことの方が僕らには酷い 」
「…… 」
朱美は吉岡の言葉を聞いて、少しだけ真顔になった。吉岡の意図することが、いまの朱美には直ぐに理解できなかった。
「それにもっと正確に言うと、今日の僕はここには自分の意思かつ 完全なプライベートできました。二、三日は掛かりますが、時期に収まります。暫くは不自由をかけますが…… すみません 」
「なんで、吉岡が謝るの? 」
「……何となくです。うちの会社も週刊紙は抱えていて、その売り上げの一部で僕らも食ってますから。個人的には噂話や人の不幸ををエンターテイメントにすること自体に賛成はできません。ただ僕たちも企業に属している人間である以上、需要に抗うことはできません…… 」
「…… 」
吉岡は朱美の反応を待たずに立ち上がると、ゆっくりとベランダの方へ向かい ゆっくりと窓を開いた。そして慎重に外に出ると一瞬だけ柵の下を覗きこんで、またすぐに部屋に戻る。
「かなり 退き始めましたね。多分 朝には一人二人いるか、いないかですよ。思ったより 早くクスリが効いたみたいです 」
吉岡は少し嬉しそうにスマホを取り出すと、何かを素早く打ち始めた。
「なんか吉岡…… やけに詳しいね 」
「ええ、まあ…… 一応、出版従事者なんで、大体の検討はつきます 」
吉岡は朱美と目を合わさずに返事した。
言葉を慎重に選んで嘘にならないように気を付けるのは、もはや無意識の領域だった。
「じゃあ 先生、僕から一つ提案があります 」
「……何よ? 」
「先生が気にしている、僕の今日のギャラの件です 」
「へっ? 」
「どうせ今日は終電もありません 」
「……あの? 」
「それに外はマスコミだらけだし 」
「……えっと? 」
「僕は今日はこちらに泊まるしか選択肢がありません 」
「……えっ? 」
「だがら…… 」
「だから? 」
「……夜食と缶ビール一本、それでチャラにしませんか 」
「夜食? ビール? 」
「はい、別に飲めれば何でもいいんですけど…… 」
「あっ、そうだね。私もお腹空いちゃった。冷蔵庫は、いまはスッカラカンなんだけど…… 」
朱美は僅かな光を頼りに台所まで歩くと、冷蔵庫の中身を物色した。量は多くないがベーコンと卵があるなら、カルボナーラが作れそうだ。
いつもの調子で動き出した朱美の様子を見た吉岡は 僅かに微笑を浮かべると、通常の自分の定位置まで移動した。薄暗い部屋の中ではあるが、慣れた手つきで蛸足配線の中から充電コードを引っ張り出しすと、すぐにスマホを充電する。バッテリーの残量は殆どなかった。
取り敢えずは、良かった……
吉岡がふっと息をつこうとした瞬間、朱美は鍋に水を張りながらポツリと呟いた。
「……っていうかっッ。息吹たちは、どうなったんだろう 」
「ああ。彼らからは無事に会えたって連絡がきました 」
「へっ……? あっ、それなら良かった 」
朱美は蛇口を閉めると コンロに火をかけた。パスタを取り出そうと戸棚を開けたとき、ふと みんなの顔が朱美の脳裏をよぎった。
桜ねぇは心配してるだろうから、返信をしなくてはいけない。
息吹には謝りたい。
そして、茜には一言 いってやりたい。
そんな気持ちだった。
だけど今はとりあえず、自分を助けてくれた吉岡の方が先だと思った。
朱美は、キッチンの壁に目をやった。給湯器の電子表示盤に示された時間は、テッペンを越えていた。
どれくらい吉岡の腕を貸してもらっただろうか……
あれから私は凄く泣いた。
怖くて怖くて、我慢してた感情が込み上げてきて、声を圧し殺すように泣いてしまった。
こんなことは大人になってからあっただろうか。
いやむしろ今までの人生で、経験したことがある出来事だったろうか。
それからは先ははっきりとは覚えていない。
朱美が次に気がついたときには、真っ暗な部屋で、リビングのソファーに半分横たわっていた。
何で…… 私はここにいるのだろう。
どうやってここまで移動したのだろう。
しかも足元には ソファーに脱ぎ捨てていた部屋着のパーカーがかかっている。泣き疲れた思ったら、急に意識が遠退いていた。そもそもこの二日間殆ど寝てなかったのもある。
どのくらい時間が経ったのかもわからない。
そして、一番の問題は……
吉岡の胸に飛び込んでしまったこと……だった。
朱美はゆっくりと起き上がると、人の気配がある方へ体を向けた。
部屋は台所の照明だけついていて、その微かな明かりの下で吉岡が手帳とスマホを片手に何やら書き物をしていた。
無駄に鼓動が早くなる。あまりの恐怖と、その場の雰囲気に流されて思わず飛び付いてしまった。
後々のことなんて考える余裕もなかった。
それに………
吉岡は朱美が起き上がったことに気がつくと、作業を止めて静かに朱美に向き直った。
「先生…… 少しは落ち着きました? 」
「あっ、うん。ありがとう…… 」
吉岡は、普通…… だった。
少なくとも、見た目の様子はいつもと変わらない。強いていえば服装がいつものワイシャツスタイルでなくて、私服のポロシャツを着ていることくらいしか違いはなかった。
朱美は自分だけ この変な状況を意識しているのが少し悔しくなったが、今の朱美には寧ろ好都合だった。
ここは掘り起こさないのが賢明だろう。
「本来は こんな時間なんで、電気をつけたいんですけどね。たまたま先生が部屋に戻ったときに、明かりを点けなかったのは効を奏しました。多分、マスコミの皆さんは、先生の部屋は別の場所だと思って張ってますよ。流石にエアコンはつけましたけどね。この部屋の室外機は下からだと見えないでしょうし、音も下までは聞こえないでしょうから 」
吉岡は微笑を浮かべて朱美に話しかけた。そして朱美は静かに頷いた。朱美は決して 深い理由を考えて電気を点けなかった訳ではなかった。単純に怖くて玄関から動けなくて、ただ座り込むのがやっとだった。しかし吉岡はそんな些細なことすら機転が利かせて、朱美を励ますプラス思考な言葉に変える。ちょっと怒りっぽいところもあるが、根は優しい人なのだろう。
「取り敢えず 編集長には連絡しました。うちの会社の人間が下の軍団に混ざっていれば、その取材を止めさせるくらいなら直ぐにできるとは思います。
あわよくば うちの者に適当な噂と圧力を流布させて、マスコミを撤退させる…… いま描いてるシナリオはそんな感じです 」
「はあ…… 」
そんなことが、出来るのだろうか?
朱美がそんなことを思いながら少し俯くと、朱美の心を見透かすように吉岡が続けた。
「まずは 確認をしないことには、わかりません。先ほど キャンディの編集長から、弊社の…… 新訳公論のトップに連絡がついたって報告がありましたから。今日中って訳にはいかないかも知れないですけど 」
吉岡は少し真面目な顔をして、朱美に話をした。すると吉岡は喉が乾いたから冷蔵庫を開けていいかと、唐突に朱美に許可を求めた。朱美がご自由にどうぞと声を掛けると、吉岡は二人分の麦茶を注ぎ朱美の隣に腰を下ろした。
「あの…… 」
「はい? 何か? 」
吉岡は麦茶を一気飲みすると、朱美を振り返った。
「編集長も今日は休日でしょ? 休みの日に連絡しちゃうとか…… ちょっと、申し訳ないというか。私のあくまでプライベートな問題だし。それに、吉岡も完全に巻き込んじゃっている訳であって 」
「先生が、今さらそんなことを言うなんて 意外ですね。編集長のところに、しょっちゅう二十四時間体制で原稿落とすの落とさないの、ひっきりなしに連絡させてる元凶の発言とは思えませんけど? 」
「だっ、だって、今回の件は…… 私の完全なプライベートか問題の助太刀をしてもらっちゃってるわけだし 」
朱美は申し訳なさそうに、少しモジモジしながら目線を落とした。本来ならば朱美もどちらかというと被害者なのだが、吉岡や編集長は全く関係ないのに業務外で巻き込まれている。
すると そんな神妙な顔をした朱美の様子を見た吉岡が、堪えきれずに吹き出した。
「……神宮寺センセも、たまにはマトモなこと言うんですね。ちょっと僕は感激ですよ 」
朱美は吉岡の震える背中を見るなり、納得できないと言わんばかりに顔を膨らませる。
「なっ、そんな人を何だと思って…… だって完全に業務外勤務だし、タダ働きってことでしょ? 」
朱美は少しムッとしながら麦茶に手を伸ばし口に運ぶと「はあー」と溜め息をついた。その溜め息を聞いた吉岡は 朱美からは見えない角度で一瞬だけ安堵するような表情をみせたが、すぐにまた向き直った。
「僕たちは大丈夫です。仕事に生き甲斐と誇りは、それなりには感じていますから。寧ろ 知らされないことの方が僕らには酷い 」
「…… 」
朱美は吉岡の言葉を聞いて、少しだけ真顔になった。吉岡の意図することが、いまの朱美には直ぐに理解できなかった。
「それにもっと正確に言うと、今日の僕はここには自分の意思かつ 完全なプライベートできました。二、三日は掛かりますが、時期に収まります。暫くは不自由をかけますが…… すみません 」
「なんで、吉岡が謝るの? 」
「……何となくです。うちの会社も週刊紙は抱えていて、その売り上げの一部で僕らも食ってますから。個人的には噂話や人の不幸ををエンターテイメントにすること自体に賛成はできません。ただ僕たちも企業に属している人間である以上、需要に抗うことはできません…… 」
「…… 」
吉岡は朱美の反応を待たずに立ち上がると、ゆっくりとベランダの方へ向かい ゆっくりと窓を開いた。そして慎重に外に出ると一瞬だけ柵の下を覗きこんで、またすぐに部屋に戻る。
「かなり 退き始めましたね。多分 朝には一人二人いるか、いないかですよ。思ったより 早くクスリが効いたみたいです 」
吉岡は少し嬉しそうにスマホを取り出すと、何かを素早く打ち始めた。
「なんか吉岡…… やけに詳しいね 」
「ええ、まあ…… 一応、出版従事者なんで、大体の検討はつきます 」
吉岡は朱美と目を合わさずに返事した。
言葉を慎重に選んで嘘にならないように気を付けるのは、もはや無意識の領域だった。
「じゃあ 先生、僕から一つ提案があります 」
「……何よ? 」
「先生が気にしている、僕の今日のギャラの件です 」
「へっ? 」
「どうせ今日は終電もありません 」
「……あの? 」
「それに外はマスコミだらけだし 」
「……えっと? 」
「僕は今日はこちらに泊まるしか選択肢がありません 」
「……えっ? 」
「だがら…… 」
「だから? 」
「……夜食と缶ビール一本、それでチャラにしませんか 」
「夜食? ビール? 」
「はい、別に飲めれば何でもいいんですけど…… 」
「あっ、そうだね。私もお腹空いちゃった。冷蔵庫は、いまはスッカラカンなんだけど…… 」
朱美は僅かな光を頼りに台所まで歩くと、冷蔵庫の中身を物色した。量は多くないがベーコンと卵があるなら、カルボナーラが作れそうだ。
いつもの調子で動き出した朱美の様子を見た吉岡は 僅かに微笑を浮かべると、通常の自分の定位置まで移動した。薄暗い部屋の中ではあるが、慣れた手つきで蛸足配線の中から充電コードを引っ張り出しすと、すぐにスマホを充電する。バッテリーの残量は殆どなかった。
取り敢えずは、良かった……
吉岡がふっと息をつこうとした瞬間、朱美は鍋に水を張りながらポツリと呟いた。
「……っていうかっッ。息吹たちは、どうなったんだろう 」
「ああ。彼らからは無事に会えたって連絡がきました 」
「へっ……? あっ、それなら良かった 」
朱美は蛇口を閉めると コンロに火をかけた。パスタを取り出そうと戸棚を開けたとき、ふと みんなの顔が朱美の脳裏をよぎった。
桜ねぇは心配してるだろうから、返信をしなくてはいけない。
息吹には謝りたい。
そして、茜には一言 いってやりたい。
そんな気持ちだった。
だけど今はとりあえず、自分を助けてくれた吉岡の方が先だと思った。
朱美は、キッチンの壁に目をやった。給湯器の電子表示盤に示された時間は、テッペンを越えていた。
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