悪役令嬢?えっ、誰が?

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そんなこんなで、アニデロイド家にやって来ました。
出迎えは…何故か!
アニデロイド侯爵と、ハルレアです。

「お待ちしておりました。ユトラ=エメラルド王子殿下。この度は我が屋敷にようこそおいでくださいました。
ここにおりますのは、娘のハルレアでございます。お見知り置きを。」

アニデロイド侯爵が、恭しく礼をし話すことは、胸糞悪いことこの上ない。

「ハルレア=アニデロイドです~。ユトラ=エメラルド王子殿下にお会いでき、ハルレアはかんげきです!」

5歳のくせに立派な猫なで声。でもそこには自信も垣間見えていて、その挨拶は、俺の神経を逆なでるものでしかない。
吐き気がする。
けど、王子が吐くわけにも、えづくわけにもいかず、愛想笑いを浮かべ、挨拶する。

「わざわざ出迎えありがとうございます。ユトラ=エメラルドです。」

一拍おいて、少し顔をキョロキョロと動かしてから、

「ところで…
ベルリアーナ嬢はどちらに?」

表面的には、優しく言う。
でも、俺は中で怒りを燃やす。

「ああ、ベルリアーナは少し体調を崩しておりまして、自室で安静にしております。」

何でもないように言ってるけど、絶対に嘘だよな!目の奥のニヤケが隠せていないですからね。まじでクソ野郎だな!
俺はベルに会いに来てるんだけど⁉︎
ナメてんのか?あぁん?

「そうでしたか…
でしたら、見舞いをさせてください。今日はベルリアーナ嬢に会いに来ているので…」

ニッコリと笑顔で返す。
心の内を悟られるわけにはいかない。いや、悟られてもいいのか、この場合は。

「ベルリアーナは今寝込んでいましてね。目が覚めたら殿下の元に向かわせましょう。それまでは、ぜひお茶でも。」

「寝込むほど体調が芳しくない令嬢を、無理に動かすのは忍びない。
彼女の自室で会うことはできないのですか?」

うざすぎるー!どれだけベルに会わせたくないわけ?言外に、"ハルレアと"ってついてるのわかりますけどー?
こんなやつお断りなんですけど…

ってな感じでさっさっとベルに会わせろ!って伝える。
わからない。とは言わせない。
侯爵の顔が引きつっているけど、そんなの知ったこっちゃねぇよ。
にっこりと笑顔で返す。

「わかりました…
殿下をベルリアーナの部屋に案内して差し上げろ!」

苦渋を噛んだような顔をして了承し、
執事に指示を出す。

俺は無事にベルに会えることになった


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