転生騎士見習いの憂鬱

鍋底の米

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考察※

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「坊っちゃま、お食事のご用意ができましたのでお持ちしました。食後はお体の清拭せいしきも致しましょうね」

 一礼してワゴンと共に部屋へ入ってきたメイドに声をかけられる。

「いや、入浴の用意をしてもらえないか?拭くのではなく湯に浸かりたい」

 綺麗にしてくれてはいるのだが二週間風呂に入っていないと思うどうも気持ちが悪い。

 メイドはちらりと兄の方を伺い、頷いているのを確認してから了承してくれる。

 用意された食事は流石に二週間寝たきりだっただけに、いつもの食事とは違い、スープ中心のものが用意されていた。
 ブイヨンスープにホロホロにほぐされた滋養の高いブラングルズという魔獣の肉がたっぷり入っている。それに茹でるとホクホクとした食感になるレグダという紅い野菜を潰したものが付け合わされていた。
 病人食といえばお粥という日本人的感覚からはかけ離れているが、現世人は内臓的にも前世の人より丈夫にできている為問題なく吸収できる。更にいえば俺はその中でもかなり丈夫な方だ。

 兄の監視の元、全て食べ終わると納得したように頷かれる。
 風呂にも付き添うと言うのをどうにか断り、一人で浴室に向かう。結界騒ぎですっかり兄の信用を失ったようだ。
 二週間寝たきりだった割にはしっかりと体が動く。やはりあちこち凝り固まっているようなところはあるが動くのに支障は無い。前世ならこうはいかなかっただろうが、現世の体はかなり丈夫に出来ていて有難い。

 そのようなことをぼんやりと考えながら衣服を脱ぎ捨て浴室へと移動する。
 体を洗っている最中にふと何か違和感を感じ、視線を下げてハタと気づいた。

 ーーーーーモザイクが無い?!

 股間を凝視する。
 長年そこにあり続けたモザイクが消えている。

 そういえば…。

 過去の記憶を取り戻したことで、あの事故以前にはモザイクが無かったかもしれないことにも思い当たる。

 感慨深い思いで自分の一物を握り、めつすがめつじっくりと眺める。
 成長してから初めて見るそれは、体格に見合う大きさにしっかりと育っていた。握った手をゆるゆると上下に動かし擦っていき、だんだんと角度を変えはじめたそれを確かめるように、亀頭の先やカリ首にも指を滑らせてみる。
 手に触れる感覚は確かに同じではあるのだが、見えているのと見えていないのとではやはり違う。モザイクがかかっていた時は快楽もまた薄い布を一枚隔てたような感覚を拭えず、どうしても違和感があった。
 そのせいで快楽を追うものというより、ただの処理作業となりがちだった自慰行為に新鮮ささえ覚える。
 しかし、この快楽が自分の手によるものではなく、ジストから与えられ、また与えるものであれば、と思わずにはいられない…。

 ジスト…………

 今ならジストの肢体の隅々まで見たり触れたり出来るのだ。
 両の乳首にひっかかっていた切り裂かれたシャツ。演習時モザイクのせいで見えなかった乳首も今ならきっと見えるはず。
 シャツの切れ目から手を差し入れて肌に密着させ円を描くようにそっと撫でさすると、大きな手のひらに転がされた二つの小さな突起が立ち上がるのが伝わる。

 想像に煽られて一物を擦る手が早まる。

 ジストの下肢に片手を這わせながら、慎ましくも存在を主張している乳首を舌の腹全体で舐め上げてから、唇に挟んで転がしたり舌先に力を入れて根元をなぞるようにして丹念に味わう。
 その刺激に呼応するようにジストの口からは甘い吐息がこぼれ落ちていく。
 舌を這わせたまま胸から首筋に移動して耳朶を口に含んで愛撫したあと、俺のものだと主張するように、首筋を舐め上げたところに所有印を落とす。
 耳元で愛を囁けばジストの体は喜悦に震えて応えてくれる。
 俺の言葉、与える刺激のひとつひとつに理性を溶かしていく愛しいジスト。
 甘い吐息を吸い上げようと夢中で口づけているうちに、ジストの口端からこぼれた唾液は、もうどちらのものなのか判からないくらいに混ざりあっていて………



 ーーーーー。

 俺は、今のこの状況の名前を知っている。
 前世での名前ではあるが。

 そう、賢者タイム。ただいまその真っ只中に身を置いている。

 自分のものを確かめるだけのはずが、ジストをおかずに致してしまいました…。
 父上兄上、心配御無用です。昨日まで意識不明ではありましたが、十二分に元気なようです…。



 着替えを済ませて浴室から戻り、ベッドにドサリと身を横たえる。

 それにしても……

 何故モザイクが消えたのか?
 
 股間のモザイクについての考察をしはじめる。
 きっかけは当然あの事故だろう。あの時は自分の持つ全ての魔力を出し切って対処した。そのことが原因で消えたとするならば、意図してはいないものの、やはり自分でかけた魔法であったのだろうか?魔力が完全に尽きたから、かけ続けていた魔法が途切れたということか?
 しかしそんな事が本当に可能なのだろうか?もしそうだとしたら、一定の魔法を常時10年以上もの間途切れることなくかけ続けていたことになるのだ。

 まさかな……

 そう思いながら目を閉じる。
 何だかんだで疲れていたのか目を閉じるとすぐに眠りに落ちていった。
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