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第1話 隣人は美人のお姉さん

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「あー、でもそれだけじゃあ信じられないよね。はい、これ」

 ニコニコと微笑みながら、小さな長方形の紙面を出してくる。ああ、これ所謂名刺ってやつか。

「あ、どもっす」

 来月から大学1年生、名刺の正しい受け取り方など知るはずもなく、へっぴり腰でまるで卒業証書を受け取るかのような、かなり不格好な形での受け取り方となってしまった。
 確かに、名刺には小倉のぞみと書かれていた。どうやら不動産屋で働いているらしい。

「まあ、あれ。そういうことなんだ。あとさ、素性も分かったところでさ、ちょっとお家上げて貰っていい? ほらこれでも飲みながらゆっくりさ」

 まるで某発泡酒のCMのように恐らくおちゃけが入ったビニール袋を掲げてそう宣言する。言動の端々にツッコミどころがあるのだが、どこから突いていくべきだろうか。

「あの、俺は未成年……」

「はい、そういうのは無し。見た感じ大学生だよね? 大丈夫、もう立派な成年さ」

 悪い大人が居たもんだ。高校時代、この国で施行されている法律を粛々と守ってきた俺の偉業をぶち壊しにされるのか。
 あともう一つ、流石にこんな初対面の女の人を部屋に上げるのもどうかと。

「男の子なんだから、女の子をお部屋上げる甲斐性くらい見せなさいな。ほら、上がるね」


そう言うと、小倉さんは俺の脇をすり抜け、部屋へと侵入していった。嗚呼、父さん母さん。私は、一人暮らし初日からエキセントリックな経験をしてしまいそうです。
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